エイプリルフールでした!ネタバレはないです!「40-30!」
審判の声が響いた。マッチポイントだ。ここを取られるとデュースにもつれ込むことになる。7ゲームマッチ。4ゲーム先取すれば勝ち。ゲームカウントは3-2。ここを取れば、次はいよいよ決勝だった。
快晴はネット近くに詰め、相手の動向に目を凝らす。背後から、何度もボールをつく音が聞こえた。
「入るぞ!」
後ろを振り返ることなく、しかし、すべてを預けるように声を飛ばす。
応えるように、桐継が細く息を吐く。シュル、とボールが高く上げられた音がする。
スパァン!
小気味良い音がして、サーブが入る。安定性と回転を両立した、美しささえあるサーブ。
相手がなんとか返したレシーブに飛びつく。弾くようにボレーを打ったが、フレームに引っかかる感覚に嫌な汗が伝う。
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