田舎に引っこむ芹霊②それからの芹沢の行動力は、休みの日は家にいますねとのんびりと微笑んでいた普段の彼からは考えられないものだった。
土日を挟み、例の件から初の出勤日。
芹沢は「土曜日に役所が開いてる地方移住相談会?みたいなのに行ったんですけど、」と昼食の牛丼のふたを開けながら言い放ち、霊幻は頭を抱えた。
朝からその話題に触れられなかったために、霊幻は完全に油断していたのだ。
忘れてたんじゃなかったのか、というか本気だったのか。
裏切り者め!と内心悪態をつくと同時に、霊幻の背中にじんわりと汗が浮かんだ。
「俺、かあちゃんも歳が歳だから心配で、なるべくすぐに帰れるところがいいなと思ってて。それを相談したら〇〇町はどうですかって言われたんですけど、どうですかね。なんか一軒家をタダで貸してくれるらしいんですよ。あ、3年は住まなきゃいけないんですけど…」
1337