とりしし ゾンビパロぼんやりとした意識の中で、ゆっくりとした動きでナイフとフォークをそれぞれ持ち上げる。眼前に並べられた一つ一つの皿には、芳しい香りを漂わせた料理が丁寧にセッティングされている。
「……郎、お……!」
白いテーブルクロスに覆われたテーブルが、ずうっと向こうまで続いている。終わりの見えないくらいに。
これは、何という料理なんだろう。手元に視線を戻し、ナイフとフォークで料理を口に運んだ。
家族や友人と行ったレストランではついぞ食べたことのない味だった。口いっぱいに旨みが広がって、舌の上で食材がとろけた。喉の奥に落ちていくその一片に至るまで、愛おしくなるほどだった。
ーー俺、結構いろんな料理を小さい時から食べてきた自覚があるのに。
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