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    ria_velvetblue

    @ria_velvetblue
    1ユリレスの民の掃き溜め。
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    ユーリス誕生日おめでとう!何年か前のユリ誕で書いたユリレス小説の全年齢部分です。R18ありのフルバージョンはこちらhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13503486
    ※蒼月ルート、名前だけですがバルコニペアED描写あり

    翠雨の節十二日、君と過ごす幸せ「ただいま、ユーリス…寝るならベッドで寝ようよ。風邪ひくよ。」
ベレスを待ちながらソファで読書をしていたら、どうやら寝落ちしていたらしい。
折角俺の名前を呼んでくれる機会だというのに、勿体ないことをした。
「いや、あんたを待ってたんだ。」
「ここのところ、仕事が詰まってて、遅くなるから先に寝てていいのに。」
「いやいやいや、そういうわけにはいかねえだろ。あんたが頑張ってるのに…いや、そもそも頑張り過ぎじゃねえか、あんた。」
「うーんそうかな?」
「そうだって。」
この一週間くらい、ベレスが寝室に入ってくるのは日付が変わるころ。正直そこまで働き詰めで心配になってくる。いくら大司教とはいえ、頑張り過ぎだ。
最初のうちはこういう日もあるかと一人で寝る夜を何日か送ったこともあるが、少しばかり、自分のことをおろそかにし過ぎだ、彼女は。というわけで、彼女を待つようになった。
「何がしたいのかは知らねえけど、自分を大事にしてくれ。」
「わかった、努力する…」
今日のところは、彼女が折れたわけだが、そんな上手いこと事が運ぶわけもなく、また数日俺は同じような目に遭ったのだった。
    ***
    そういったことが続いたある日。
「おはよう、ユーリス。そして誕生日おめでとう。」
「ベレス…」
目を覚ました瞬間、彼女の声が聞こえた。ベレスの心配をし過ぎて忘れかけてたが、今日は自分の誕生日だ。
「おはよう。今日も仕事…」
現実を見て仕事頑張ろうなと言おうとした瞬間。
「今日は休みにしたんだ。君と一緒に過ごしたくて。」
予想外の話が飛び出してきた。
思い返すと、今日やその付近の日の予定をかなり探られていた。なるほどな。
となると、昨日まで頑張っていたのは。
「もしかして、あんた、今日のために今まで夜遅くまで頑張っていた訳か?」
「うん、そうだよ。ごめんね、今まで一人にして。」
「全く、あんたって人は…まあそういうことなら許すぜ。」
まあこれで当分無茶なことはしないと見た。
「お詫びというわけじゃないけど、今日は君の好きにしていいよ。そうそう、まずはプレゼントもなんとか用意したから。」
そう言って、ベッドから出た彼女は包みを自分の前に持ってきて、開けてみてと促してくる。開けてみると、新しい剣帯が入っていた。そういや今のは随分使い込んでボロくなっていた。色柄も自分好みだ。
もっといいものを用意できたら良かったんだけど、と申し訳なさそうにするベレスだが、あれだけ忙しく仕事を片付けていく中で、贈り物まで手配していたとは。
「ありがとな、丁度買い替えだと思っていたところだった。あんたよく見てるな」
「ユーリスの奥さんだからね、私は」
ふふ、と得意そうに彼女は笑う。
彼女からの贈り物は一旦仕舞って、身支度に取り掛かる。
今日は一緒に過ごす日になる。服装も化粧も俺好みに仕上げてやれる。
彼女の化粧は結婚してからというもの、自分が施している訳だが、普段は大司教としての平服に合わせて、華美過ぎず…などと多少は制約がある。
さて、どうしようか。にやけてしまうな。その前に、好きにしていいとは言われたが、ベレスはどこか出かけるとか既に候補は考えているかもしれない…一応聞いておこう。
「で、本当に今日はあんたを俺の好きにしていいってか?」
「もちろん。特に何も決めてないよ。遠乗りとかもいいかなって思ったけど、君はあまり乗馬好きじゃないし…」
「そうだな…久しぶりに、あんたと料理したりゆっくり茶会がしたい。」
「そんなことでいいの?私に気を遣ってない?」
ベレスは心配そうに言うが、それでいい。
あの戦争が終わってからもうすぐ一年になる。
戦争が終わってからというもの、セイロス聖教会の大司教に担ぎ上げられた彼女は毎日仕事ばかりで、茶会こそ時間を見つけて時々するが、ゆっくりくつろいだりできることも少なく。さらには料理したり、修道院を散策したりということはかなり減っていた。
俺としては、一日彼女を独占できるのであればなんでもいい。
「気は遣ってねえよ。遠出するって気分じゃなくてな。ここであんたと過ごしたい」
「じゃあ、一緒にお菓子を作ってそれでお茶会をするのはどう?」
「おっそれいいな」
彼女の提案にすぐに乗る。
それならば、彼女が着慣れた過ごしやすい格好にしよう。前掛けも用意しなければ。
俺たちはいつも通りの手際で身支度を済ませた。
    ***
    急だったが運よく食堂の厨房を借りることができた。
時間はあるので、二種類くらいは作れそうだと二人で話していた。
そこで、俺はその内の一つに、よく茶会で出されていた、ベレスが焼いた焼き菓子がいいとお願いした。彼女は快諾してくれて、その焼き菓子とシンプルなケーキを作ることにした。
「久しぶりだから上手く作れるかな…」
心配そうに焼き菓子の生地を捏ねているものの、生徒たちと頻繁に茶会をしていたくらいだし、身体が覚えるくらいやっていたのだろう、手際はかなり良い。
一緒に生地の形を整えて、焼いていく。ベレスはいつもより慎重に焼き加減を見張っていた。
やがて、理想の焼き加減になり、ベレスは嬉しそうな顔をする。初めて出会った時はあんなに無表情だったのに、今ではいろんな表情も見せてくれるようになった。
「ユーリス、一つ味見していいよ」
そう言って、彼女はできた焼き菓子を差し出した。俺は遠慮なく口にする。
焼き立てで熱いが、あの時食べた格別の美味さは変わらない。寧ろ、焼き立てなのもあり更に美味い。
「やっぱりあんたの作った菓子、すっげえ美味いな」
「うまくできてよかった!」
安心したような、嬉しそうな表情でベレスは出来上がった菓子を籠に入れていく。
そして次にもう一つのケーキも焼き始めた。
    ***
    菓子を作り終えた時には昼飯時だったので、軽めに昼食を取り、修道院を少し散歩してから部屋で茶会をすることにした。まあ、焼き立てはその場で試食して堪能したので異論はない。ベレスが作る焼き菓子はとてもおいしい。楽しみにしつつ、他愛無い話をしながら、散策をする。
途中、温室で果物を頂戴し、さらに、今も面倒を見ているアビスの住人やいつも仕事で世話になっている修道士たちから、彼らが用意した花束や贈り物が渡された。修道士曰く、送られてきた手紙や贈り物もあるので部屋に入れておいたとのこと。仲間たちからのものだろう。かつての仲間達も今ではそれぞれの居場所に戻ったり、新天地で暮らしたり、あるいは自分たちのように仲間同士で結婚している奴もいる。そんな訳で多少荷物が増えてしまったので頃合いかとベレスの部屋へ向かう。
温室で貰った果物を切り分けて、午前中に作った焼き菓子に普段から食べている菓子を少し追加して、茶会の準備を進める。花束も花瓶に差して飾った。
ベレスが淹れようとしている茶葉はセイロスティーのようだ。俺の好みとこの特別な日に合わせてくれたのだろう。
    ***
    「これ、バルタザールとコンスタンツェからだって。」
「へえぇ、あいつらの領地でこういう酒作ってんのな」
お茶を嗜みながら、貰った贈り物を少しずつ開けている。
コンスタンツェはヌーヴェル家の再興が認められて貴族に返り咲いたわけだが、それと同時にバルタザールと結婚し、元の領地ではなくバルタザールの故郷の近くを所領として希望、それがそのまま通ってからはあいつららしく生活しているらしい。それで、自領の名産の酒を俺の誕生日の贈り物の一つに寄越してきた。多分バルタザールの発案だろうなと笑いながら話すと、ベレスも間違いないね!と笑う。
他にも贈り物や、手紙がいくつか届いており、その中にはディミトリ王からのものもあった。
「国王陛下からもあるのか、畏れ多いな…」
「ディミトリも君のことは評価していたからね。」
手紙の内容も、祝いの言葉はもちろんあるが、これからも先生のことを頼んだだの、君が提案した聖教会の事業には助けられただの、と堅苦しいものが並んでいたのはあの人らしい。
一通り貰ったものを堪能して、今日作ったお菓子もしっかりと味わう。ベレス特製の焼き菓子も、二人で作ったケーキも最高にうまい。
にこにこしながら俺を見るベレスが口を開く。
「ユーリス、すごく嬉しそう」
まあ、今の俺の顔は最高に緩んでいると思う。
「はは、あんたとこうやって、穏やかに過ごせるとは、身に余る幸せだ」
あんたと出会って、いろんなことを学んだ。最初は休日にあんたが俺と料理や茶会をしたいと誘ってきたは、何故俺が、と思ったりもしたが。今思えばあの頃の俺、勿体ないことをしてたな。
「私も幸せだよ」
俺は、あんたがそう言って微笑む姿を、ずっと大事にしていたいんだ。
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    ※蒼月ルート、名前だけですがバルコニペアED描写あり
    翠雨の節十二日、君と過ごす幸せ「ただいま、ユーリス…寝るならベッドで寝ようよ。風邪ひくよ。」
ベレスを待ちながらソファで読書をしていたら、どうやら寝落ちしていたらしい。
折角俺の名前を呼んでくれる機会だというのに、勿体ないことをした。
「いや、あんたを待ってたんだ。」
「ここのところ、仕事が詰まってて、遅くなるから先に寝てていいのに。」
「いやいやいや、そういうわけにはいかねえだろ。あんたが頑張ってるのに…いや、そもそも頑張り過ぎじゃねえか、あんた。」
「うーんそうかな?」
「そうだって。」
この一週間くらい、ベレスが寝室に入ってくるのは日付が変わるころ。正直そこまで働き詰めで心配になってくる。いくら大司教とはいえ、頑張り過ぎだ。
最初のうちはこういう日もあるかと一人で寝る夜を何日か送ったこともあるが、少しばかり、自分のことをおろそかにし過ぎだ、彼女は。というわけで、彼女を待つようになった。
「何がしたいのかは知らねえけど、自分を大事にしてくれ。」
「わかった、努力する…」
今日のところは、彼女が折れたわけだが、そんな上手いこと事が運ぶわけもなく、また数日俺は同じような目に遭ったのだった。
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