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    osame_jr

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    osame_jr

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    ゴスワ二次創作のつもりです。
    今回は本編中の一幕。

    I see him as a ...ストーリーに触れてはいませんが、一部の会話をそのまま使っています。
    途中で視点が変わります。


    -------------------------------------------------------------------------


    左手に力を集中させ、それを宙に落とす。
    水滴が落ちるような音と同時にそこから波紋が広がり壁などをすり抜けて、様々な物体の輪郭を青く浮かび上がらせる。
    建物やエーテル結晶体、漂う霊たちに動物たち、そして点在するマレビト。
    (右側のビルの上に霊がいるな…空の形代あといくつあったっけ。先に電話ボックスに寄った方がいいかな。…でも、見失うと面倒だな。そもそも天狗は見当たらないからどこかから上に行ける場所を探さないと…。)
    視えた情報から言葉に出さないまま、次の目的とそこに至る手順を思案する。
    「ボク、街の幽霊なんて知ったこっちゃないよ」
    思考に沈んでいたところに、いつもと調子を変えた声音が横入りしてくる。
    「なにそれ?」
    「え?オマエの真似だよ」
    「僕、そんなこと言わないよ」
    からかうようなヘタクソな声真似も、その内容も小学生みたいだ。
    僕に憑りついた亡霊はどうしてこうも減らず口ばかりたたくのか。
    意思の疎通のはかれない霊や化け物がほとんどの現状で、話し相手がいることはそれだけで気がまぎれて緊張をほぐしてくれるけど、腹立たしいから言ってやるつもりはない。

      ◇   ◇   ◇   ◇

    オレが憑りついた伊月暁人というガキは、小生意気なガキかと思っていれば案外素直な奴だった。
    暁人が周囲の様子を伺うために霊視を使って力が波紋のように広がっていく。力の届く範囲に意思の疎通の可能な妖怪や動物がいればそれらの思念も読み取ることができる。
    それと同じようにオレの目には暁人の周囲に浮かぶ思念が見えていた。
    化け物どもの様子を伺う時には「恐・緊張・警戒」、まだまだ救いを求める霊が山ほどいるのを視たり般若を追う道のりがまだまだ遠いことを知れば「焦・不安」、犬や猫を愛でている時には「癒・愛」など、暁人の周囲には思念が踊っている。
    最初はちっともこちらのいうことを聞きやしない面倒なガキだとばかり思っていたが、落ち着いて考えてみればこんな特異な環境に突然一人で放り出されれば、それに動揺したり反発することは至極当然の反応だろう。
    かといって、気づいたそれに対して素直に謝罪できるような性質ではない。
    だから、できる事と言えば不安や焦りに押しつぶされそうになる暁人にちゃちゃを入れて、気を紛らわせてやるくらいだろう。
    また、一つの鳥居を浄化した暁人が霊視を使って周囲の敵の気配を探る。
    そこに浮かぶのは「警戒・緊張」
    すぐ近くに敵はいないことを確認できたのか、目元に滲んでいた険は薄れたが「焦」が踊りだす。
    大方、まだまだ先が見えないこの戦いに心が張り詰めているのだろう。
    「ボクはお金のために、魂を救ってるんだよ。世の中すべて金だよ」
    決して暁人が言いそうもないことをわざとからかいたっぷりに「僕」とつけて言ってやる。暁人は虚を突かれたような顔をした後に呆れたようなため息交じりに返してくる。
    「僕の真似?」
    「ああ」
    「…全然似てないよ」
    上手いこと気が逸れたようで、不満げな様子ではあるが表情から余裕の無さは拭われただろうか。
    全く、手のかかるお子様だ。
    そうだ。まだ見守って支えてやる必要のある強がりの子ども。
    本当なら、こんな厄介ごとに巻き込むべきではないのだろうが、こいつはどこまでも優しく、他者の為を思って行動できる奴だ。それが家族となれば尚更であるようで、オレの想像などひょいと超えて腹を括ると「取引」なんぞと宣いやがった。
    最近の若者ってやつは恐れ入るぜ。


    進路上に1体の影法師が確認できた。まだこちらに気が付いていないようだし、都合の良いことに中空に浮かぶ霊を見上げていて背中がガラ空きだ。
    暁人がすっと姿勢を低くして、音を立てないように忍び寄る。手が届く距離まで来たところで一息に即浄札を貼り付け露出したコアを握りつぶすとその体は粒子となって虚空に消えた。
    「あっけないな」
    「オマエの腕がいいんだろ」
    素直に褒めてやれば、一瞬口元をもごつかせた後に敵が残っていないかと霊視を使う。
    その横顔に浮かぶのは「喜・照・嬉」
    これはまた、新しい顔を見る事ができた。
    もれそうになった笑い声は喉奥で押し殺す。ご機嫌を損ねられてはかなわない。
    まったく、素直でかわいい相棒殿だ。


    end
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