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    osame_jr

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    osame_jr

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    間に合いました!伊月暁人誕生日 2025!!
    これ祝ってるか?って自分でも思いましたが、彼の人生まだまだ長いのできっといろいろな日があって続いていくと思うのでそんなある年の出来事だと思ってください。

    ケが重なってハレとなる「じゃあ、行ってきますね」
     最低限の装備をそろえたバッグを肩にかけながら暁人が声をかける。
    「悪いわね。こんな日に」
    「大丈夫ですよ。ご指名ですし」
     元々、今日は暁人は休日の予定だった。何を隠そう今日は9月8日、伊月暁人の誕生日だ。それがどうしていつもの仕事道具の収まったボディバッグを手にしているのかと言えば、定期的に依頼のある相手先から連絡が入ったのだ。暁人も一人で依頼に行くのがすっかり板について、時には「ご指名」で依頼が入ることもあった。
     基本的に本人たちが了承した場合を除いて指名は受けておらず、厄介だと感じる物や他のメンバー含めて違和感のあるものは断っている。KKの指名は前職や縁のある寺社の関係の依頼が多く、暁人の場合は人の好さに好感をもった年配の方々や動物や妖怪たちが関わる依頼だ。
     今回は座敷童と暮らす老婆からの依頼だった。座敷童を狙った輩が近寄れないように家の祓いや結界の管理を依頼してくる。一人暮らしをしていて依頼で訪ねたついでに霊的なことなども関係ない家の手伝いなどもしていたことで暁人の事をいたく気に入ってくれている常連さんだ。
     どうやら家に何かが入り込んで座敷童にちょっかいをかけたようで座敷童が泣いていたというのだ。あまり強い結界だと座敷童にも影響を与えるかもしれないので堅牢な結界は張れないが、何かが入り込むほど弱るには早すぎるのでできれば様子を見て欲しいという事だった。日程を調整しようとしたが暁人が担当する案件の予定と病院通いなどがあるおばあさんの都合がかみ合う日がなかなか無かった。でも、泣いている座敷童を我慢させるのはかわいそうだなので様子を見るくらいならと出向くことになったのだ。依頼主にも何か目に見える障りが出ている訳ではないし、座敷童も驚いてしまったりというものだろうと予想をつけて。
    「報告書は後日で構わないから依頼が終わったらその後は自由にしてもらって構わない。アジトのお祝いは夜の予定だから時間を見て来てくれたら大丈夫よ」
     凛子の言葉に暁人は少し照れくさそうな笑みを浮かべながら返事をしてアジトを後にした。

     一仕事を終えたKKは白い箱を片手に歩いていた。今日は年若い相棒の誕生日だ。アジトの仲間たちからもその他の諸々からも愛されている相棒は光栄なことに今日という年に1度の特別な日にアジトを選んでくれたらしい。年のころの近い友人たちなどと過ごさないのかと言ってみたが、社会に出るとどうしても都合を合わせることも難しくなるらしい。平日ならば尚更か。その点、職場のアジトの面々であればそんな気遣いはいらない。なんて理屈をこねてみるが、選んでもらえたなら悪い気はしない。
     KKの手にあるのはパーティーのメインたる誕生日ケーキ。絵梨佳が選んで予約してくれたものを仕事の帰りに受け取ってきたのだ。主役である暁人に料理などをさせる訳にはいかないと絵梨佳が台所を取り仕切ってくれているので、そこに手を出せないKKはおつかいを任された訳である。
     片手にしっかりとケーキの重さを感じながらKKは苦笑する。
    「今日まで人助けに行くなんて、お人好しな奴だ」

     暁人が顔見知りの老婆から連絡を受けた時KKが他の依頼のついでに様子を見に行こうと提案した。指名の依頼主ではあるがKKも面識があるし、KKが対応してもそれに文句を言ってくるような厄介な人間でもない。せっかく休みなのだからと思っての提案だったが暁人本人が大丈夫だと断ってきたのだ。
    「そんなに厄介な事になってる感じはしないから大丈夫。特に予定も無いし、誕生パーティーの為にお腹空かして来るから準備よろしく。期待してるから」
    「わかったよ。行ってこい行ってこい」
     いたずらっぽく笑う顔を見ればそれ以上無理に勧めることも無かった。

    「戻ったぞ」
     アジトの玄関を開けながら声をかける。部屋の奥からは食欲をそそる香りが漂ってきていた。
    「おかえり、KK。ケーキ受け取ってきてくれた?」
     キッチンから絵梨佳が言葉だけで出迎えた。料理番は手が離せないらしい。
    「おう。冷蔵庫に入れとくぞ」
    「お願い。上の方の段寄せれば入ると思う」
     調理中の品以外にも出来上がったものや材料などが詰まった冷蔵庫はいつにも増して混みあっているが絵梨佳の言葉通りケーキが入る余地は残されていた。酒の進みそうな肴も見えてKKの機嫌も自然と上向く。KKはもちろん酒好きだし、出会った当時は高校生だった絵梨佳までみんな酒を飲める年になった。それもまた感慨深いものがある。
     今はアジトの依頼の実働部隊は基本的にKKと暁人でこなしつつ、絵梨佳も時々協力している。あくまで学生の身なので学業優先というのがアジトのメンバーの総意であり、絵梨佳もそれは理解して学生生活を謳歌して将来に向けて勉学に励んでいる。
    「何か手伝うか?」
    「大丈夫、KK最近仕事詰めてたでしょ。ゆっくりしてて」
     お言葉に甘えさせてもらう事にして邪魔にならないように和室に移動した。
    『お疲れさま、KK。今日も問題なく依頼は完遂したみたいだね』
     エドがいつものボイスレコーダーで迎える。デイルも無言で片手を上げて見せる。
    「凛子は出てるのか?」
     姿の見えないもう一人のメンバーの行方を尋ねると、急ぎの要件に対応中とのことだった。
    『もうそろそろ帰ってくるはずだから、パーティーには問題なく間に合うだろう』
     それなら安心だと息を吐いた。そして間もなく玄関が開いた。

     それから1時間。
    「遅いね、暁人さん」
     料理の支度を一通り終えた絵梨佳が時計を見ながら眉を下げて呟いた。
     秋の気配を醸し出した空気が暮れ始める時間になってもまだ暁人はアジトに戻ってきていなかった。常ならば遅くなりそうなときには入る連絡も来ていなかった。
    「電話も電源が入ってないか電波が届かないって。何かあったのかしら」
     無機質なアナウンスの流れるスマートフォンに凛子も眉根を寄せる。単純に電話に出ないのであれば移動中で電話をとることができない等のシチュエーションも考えられるが、そうでないとなると心配する気持ちも湧いてくる。
     誰も具体的な言葉にはしないまま、みんなの視線が1点に集中する。
     腕組みをした二の腕をトントンと叩く指先。大きな音がしている訳ではないが、他に注目を集めるようなものも無い。
    「何か起こってるような感覚は無いな。連絡できなくて困った事にはなってる可能性はあると思うが」
     今はそれぞれの体を持っているKKと暁人ではあるがあの夜の後遺症とでも言うべきか、致命的な事態に陥った時には虫の知らせのようなものを感じることがあった。今回に関してはKKは感知していないのでそう言ったことが起こっている可能性は低いだろう。
     しばしの沈黙の後、深々としたため息を吐いたのは誰だったか。
    「今日の依頼の場所もそれほど遠くないし見に行ってくる。何かあったら連絡くれ」
     そう言い残してKKはアジトを出て行った。

     KKは歩き出して間もなく無事に暁人と行き会うことができた。しかし、その様子は予想していないものだった。
     髪はところどころ乱れて、顔はどことなく疲れた表情だ。そして、身に着けている服は泥か何かで汚れていたり擦れていたり、終いに雨も降っていないのに足下は水に濡れて色が変わって道に足跡を残している。
    「暁人」
     俯き加減なせいでKKの姿に気が付いていなかった暁人にKKから声をかける。その声にハッと顔を上げた暁人は足を速めてKKの下に駆けてくる。
    「ごめん、遅くなっちゃって」
    「いやまぁ、無事なら良いが。どうしたよ、その恰好」
    「うん、まあ、いろいろあって」
     KKの問いかけに困ったように眉を下げていきさつを話し始める。

     今回の依頼主からの相談の原因は案の定妖怪だった。
     まずは座敷童に話を聞くと老婆の家に入り込んだ何かはどうやら床下に隠れているらしい。座敷童が示す辺りを霊視してみると、なるほど確かに床下に何か丸っぽい影が見える。様子を伺っているとその影はヒョイと伸び上がり床下を不規則に動き始める。その動きはすばやく捕捉するのが困難に思えたが、突然それがゴンという鈍い音と共に止まる。音の発生源と影の様子を見るとどうやら柱にぶつかったらしい。
     影が動き回る様子を見た暁人はそれに見覚えがあった。
    「もしかして、鎌鼬かな?」
     鎌鼬はマレビトの攻撃性とは異なるがその特性上どうしても飛び回る際に周囲を切りつけ物や人を傷つけてしまう。万が一にも老婆が怪我をするようなことがあっては大変なので、何とか退散してもらう必要がある。
     まずは対話を試みようと家の外から床下に呼びかけてみる。すると鎌鼬は案外素直に姿を現した。霊視で思念を読み取ってみると、曰く「見つからないように上手に飛ぶ練習をしたかった」とのことだった。この鎌鼬はまだ年若く且つ若干鈍い性質の為飛ぶのがヘタクソで仲間たちからバカにされているのだという。それを何とか見返してやりたくて秘密の特訓をしていたそうだ。
     人間などがいなくて他の妖怪にも見つからない床下は練習にうってつけではないかと思ったが、実際のところ高さがあまりに低すぎて上下の動きが練習できないしあまりあまり向いていないのではないかと鎌鼬自身も悩んでいたらしい。
    「こっそり練習できそうなところか…」
     少し考えた暁人はある場所を思い出し、鎌鼬を連れてそこに向かうことにした。たどり着いたのは霧ヶ丘禁足地の東にある住宅地の中のマンホール。誘うようにその蓋が空いているのは危険な気もするが、おそらくは限られた人しか見つけることができないのだろうと思う。近くに行くとどこからともなく郷愁を感じさせる空気が漂ってきて、暁人は自分が当てにしていた場所に案内してやることができそうだと安堵した。
     化け物退治の依頼で地下鉄を歩いたりマンホールから下水に降りる経験もなんだかんだと積んできているのでためらい無く壁の足場を伝って下っていく。
     そうして下水道に不釣り合いな明かりの方を目指していけば開けた視界に押し寄せる日差しにとっさに手をかざして目を庇う。瞬きを繰り返し少しずつ目を慣らしながら辺りを見回した。そこには想像通りの光景が広がっている。生い茂った夏草に足下から続く小道。それに囲われるように広がる池はその穏やかな水面に周囲の景色を映し出している。
     池に小さな波が立ったのを見て暁人はそちらに目をやった。池の中からそっと目から上だけを出した河童がこちらを警戒するように見ている。
    「邪魔してごめんね。今日は君を捕まえに来たわけじゃないんだ」
     あの夜は緊急事態だったことを言い訳にここで静かに暮らしていた河童まで脅かすことになってしまって本当に申し訳なかったと思っている。今回はそもそもこの場所に用があっただけで河童に何かする気は微塵も無いので先に話をしておく。
    「鎌鼬の練習の為に少しだけここを使わせてくれないかな?ここなら人間も他の妖怪もほとんど来ることは無いし」
     河童は暁人に害意がないことはわかってくれたようだが、自分の住処に他者が踏み込むことには思うところがあるようだ。
    「頼むよ。今度、お礼にキュウリも持ってくるから」
     暁人の真摯な訴えとキュウリに心が揺らいだ様子の河童はスイと水の中に消えていった。
    どうやら許してくれるらしい。それに胸を撫で下ろして連れてきた鎌鼬に声をかける。
    「ここなら柱にぶつかることも無いから好きに飛んで大丈夫だよ。練習して仲間を見返してやろう」
     初めてやって来たらしい他の妖怪の住処にこちらも警戒心を示していた鎌鼬も暁人の優しい声音と笑顔に安心したように風をまとってそっと浮かび上がり暁人の周りをぎこちないながらもくるりと回った。
     と、ここまでは良かった。だがこの鎌鼬、暁人の予想以上に飛ぶのがヘタクソで鈍かったのである。飛びながら悪意無く暁人の頭スレスレを掠めて行ったり、勢い余って草の茂みに突っ込んでのびてしまったり。そのあまりのひどさに水の中に身を潜めていた河童さえもそれを忘れて姿を現し心配そうに眺めるくらいには。
     挙句の果てには池の水にまで突っ込んだ。あまりの事態に暁人はざぶざぶと靴のまま池の中に分け入って、鎌の前足では上手く水を掻くことができずに藻掻く鎌鼬を救出した。
     鎌鼬を岸に引き上げてしょんぼりしているのを慰めていると河童が控えめに近づいてきてそっと何かを暁人の足下に置いた。
    「げっ」
     そこに置かれたのは見覚えがあり過ぎるスマートフォンだった。河童が拾ってくれたということは、もちろん水の中に落ちていたという訳だ。
    「うわぁ、水没か…。ちゃんと乾かしてからなら復活する可能性もあるんだっけ?とにかく、拾ってくれてありがとう」
     お礼は言ったがどうにもガックリ来てしまった。エドや凛子に頼めば修理してもらえないだろうかとダメ元で考えながら乾いたハンカチに包んで今度は落とさないようにカバンの中にしっかりとしまった。

     そんなこんなで河童と共に鎌鼬の飛行練習に付き合って、異空間では時間の経過の実感も湧かずに出て来てみればこんな時間だった。という事らしい。
     自信をつけて嬉しそうな鎌鼬を見送るとどっと疲れを感じ、依頼終わりに時間があればショッピングにでも行こうと思っていた服は汚れて擦れて、お気に入りの靴もびしょ濡れという事態に悪いとは思いつつも急いでアジトに向かうような気力が湧かずにトボトボと俯きがちに歩いていたらしい。
    「問題が解決したなら良かったじゃねえか。終わり良ければ総て良しって言うだろ」
     KKが努めて明るくカラカラと笑って見せるが、暁人はどうしても吹っ切れない表情だ。
    「依頼主さんの問題も解決したし、鎌鼬も喜んでくれたのは良かったなって思うのはもちろんそうなんだけどさ…」
     アジトに向かって並んで歩く足取りはやはり少し重い。
    「長い人生生きてりゃ、そんな日だってある。せっかくの誕生日にって思うかもしれないが、来年にはきっと笑い話になってるさ」
    「そういうもん?」
     最近はすっかり一人前の暁人がふと人生の先輩として頼ってくるこの仕草を少しだけ嬉しく思ってしまう事は胸の内に隠してKKは大げさに頷いて見せる。
    「ああ。予定通りいかない事なんて山のようにあるだろ?それで失敗した経験なんかも酒の肴にできるようになるのが大人になるってことだよ」
    「まだそこまでは至ってないや」
    「まだ20代の青二才が何言ってんだ。人生まだまだ長いんだぞ」
     苦笑交じりだがやっと暁人が笑ったことにKKはほっとする。せっかくの誕生日に駆けずり回った上にしょんぼりで終わるんじゃあまりにかわいそうというものだ。
    「それに今日だって、まだまだ終わりじゃないぜ。絵梨佳がはりきって料理してたし、凛子たちもお前が帰ってくるの首を長くして待ってる。オレもとっておきの酒を出してやろうと思ってたんだがな」
     KKがニヤリと笑って見せれば暁人の目が輝いた。疲れにつられて落ち込んでいたが、この後の祝いの席の事を聞いて持ち直したようだ。妖怪たちとドタバタしたならさぞ腹も減っている事だろう。
     そう言っている間にアジトのアパートが見えてきた。
    「ほら、お待ちかねの誕生パーティーだ。早くいこうぜ」
     人生まだまだ長いのだ。上手くいかないことだってもちろんあるけれど、そんな苦みもっ笑い飛ばしてくれる仲間がいればきっと大丈夫。

     年に一度のハレの日を祝おう。なんてことない日常も山あり谷あり一緒に笑ってくれる仲間と一緒に。


    END


    Happy Birthday to AKITO


    *以下、蛇足
    後日、まず鎌鼬と座敷童から暁人にお礼が届きます。
    それから、暁人とKKで一緒にマンホール下の河童の住処にキュウリを届けに行ってから、あの日ダメになってしまった靴の代わりを誕生日プレゼントとして買う為に一緒にショッピングに出かけます。ちなみにプレゼントを事前に準備できなかったのはみんなでそろって誕生パーティーができるように詰め詰めで仕事をしていたせいです。
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    Replies from the creator

    osame_jr

    DOODLE「あの夜から、四年」開催おめでとうございます。
    この物語に狂ってもうこんなに経ってしまったんですね。
    あの夜から数年を経たからこそ考える、そんな彼を考えました。

    少しでもにぎやかしになりましたら幸いです。
    ひとり、ふたり、つながり あれからそれなりの月日が過ぎた。僕はどういう訳か甦ったKKと一緒に祓い屋をやっている。あの夜を越えても、僕はエーテルやワイヤーなどの能力を扱うことはできた。と言ってもあの夜の力はKKに借りていたものだったからか、僕自身に発現した力はそよ風みたいなものだったけど血反吐吐くような訓練をしてなんとか一端の祓い屋になった。その時に反対するKKとひと悶着あったのも今となっては良い思い出だ。
     平和とは言い難いけど、それなりに充実した日々を送っていると思う。両親や麻里に約束したようにちゃんと生きている、つもり。
     でもそんな日々の中で、ふと物思いに耽ることもある。

     渋谷という町はいつも人に溢れている。老若男女、外国の人々に人知を越えたマレビトたちまで裏も表もあらゆるものに溢れている。地下でも地上でも、全力疾走するなんてとんだ迷惑行為になるほどには。車道の真ん中を突っ走るなんてことも、車の上に跳び乗るなんてことも論外だ。
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    osame_jr

    PAST以前に豆本で出していたものを一部修正したものです。というか、豆本の方が文字数の問題でカットしたバージョンでした。
    『プランC』とは本編で2人がやり切ったプランBと別に、KKが自分の死さえも計画に含めてその後に他の適合者(想定では絵梨佳)を中心として動くならってくらい考えててもおかしくは無いよなって思ったタイトルでした。
    暁人とKKがメインのお話ですが、裏主人公はエドです。
    プランC 事態の収拾にやってきたエドやデイルと合流して諸々の事情説明の後、暁人は彼らのチームの一員としてゴーストバスターをやっていくことになった。KKと体を共有していた時の力は、少し弱くなっていたが使うことができた。
     エーテルや人知を超えたものに触れるのはあの夜が初めての暁人だったが、たった一晩とは言え濃密すぎる経験値を得たことで基本的な手足の動かし方には困らなかったし、怪異などが絡む事柄の知識面については研究者である2人が力になってくれて何とかやっていける。
     それでも、時に思わずにはいられなかった。
     こんな時、KKならどうしたのかな、何て言ったかな。
     いろいろな事件や怪異に触れながら、自分が知らなかったKKの一面を調査資料から知るたびに自分の中のKK像がわからなくなっていく気がした。
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