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    リクエスト「💛と💜が花を育てる話」

    #mafiyami

    💛💜 玄関を開けると特徴的な髪型がひょこりと見えて口角が上がる。ルカの恋人、シュウがしゃがんで何かをしているようだった。シュウに気付かれないように、ルカはそーっと近付いてがばっと後ろから抱きついた。
    「シュウ!」
    「んわ、ルカ。びっくりした〜」
    「びっくり大成功!ねぇ、シュウ。そこで何してんの?」
     後ろからシュウの手元を覗き込むとジョウロを持って小さな芽に水をやっていたようだ。水やりか〜、なんて呑気なことを思っていたが、ふとルカは首を傾げる。わざわざシュウが家から出て花の世話なんて珍しいな、というかそもそもうちに花壇なんてあったか?と。シュウはルカの表情をみると、何を考えていたのか理解したようでくすくすと笑い出す。
    「この花壇はね、ちょっと頑張って僕が作ったよ」
    「シュウが?急にどうしたの?」
    「なんかね、急に作りたくなったんだよ〜」
     作ったからには育てなきゃね!んへへと笑いながら、シュウは水やりの前に抜いていたであろう雑草を袋の中に入れていく。ルカはシュウの言葉に驚いた。少し前までルカが外に出よう!一緒にランニングしよう!と誘ったら「外?出る必要なくない?家で満足してるし。ていうか僕はルカのスピードに追いつけないよ…」と断固拒否。ランニングじゃなくていい、外に一緒に出ようと声をかけてもシュウは首を縦に振らなかったというのに、どうして?今のシュウは太陽の下でじんわりと汗をかきながら花の世話をしているというのだ。あんなに嫌がっていたのに、何がきっかけでシュウをあそこまでやる気にさせているのだろうか?ルカは考えても何も心当たりがなかった。シュウと二人で住み出して長くなる。すれ違いで喧嘩なんてしたくないから、出来るだけお互いの出来事を共有しようと一緒に暮らし始めて約束をした。そして今まで約束通りシュウとの会話を怠ったことなんてないし、些細な変化に気付けるようにシュウの態度を気にしていたが何も変化がなかったのだ。ルカは頭をフル回転させてシュウの心を変えた何かを必死に見つけ出そうと、シュウはルカの腕の中でぷっと吹き出した。
    「ルカ、そんなに気になるの?僕が花を育てていること」
     どうして気付いたのか、もしかして呪術でも使った?と目を丸くしていると、顔に書いてるよと頬をつんつん指で押される。そんなにわかりやすかっただろうか?ルカはなんだか恥ずかしく、ガシガシと頭をかいて誤魔化した。
    「シュウ、教えてよ。君のことで知らないことがあるのは嫌だよ!」
     ぐりぐりと頭をシュウの肩に押し付けた。シュウはんははと大きく声を上げて笑い、ルカの髪を乱すように頭を撫でた。それが子供扱いされているように感じ、ルカは少し唇を尖らして不満ですという表情を浮かべたが、それは形だけで本当は少しも嫌ではなかった。シュウに頭を撫でられるのは好きで、ルカは絶対にシュウの手を振り払うような真似はしなかった。シュウもそれに気付いているのか頭を撫でることはやめなかった。
    「ルカ、ルカ。耳貸してよ」
     頭を撫でていた手を離し、手招きをしてルカを呼ぶ。ルカはシュウに言われた通りに耳を寄せると、こしょこしょと周りに聞こえないように小さな声で話した。周りにはルカとシュウしかいないけれど、これは秘密事、聞かれてはいけない内緒話だとルカに印象付けるためだった。シュウの話を聞いたルカはすぐさま目を輝かせて笑顔になる。
    「POOOG!なにそれ、すっごくいい考えだよ!ねぇ、俺も!俺も一緒に花、育てたい!」
    「んへへ、じゃあ今日から一緒に花を育てようね」
     ルカは笑顔でシュウの言葉に頷いた。二人は小指を絡み合って約束をした。

     次の日、シュウが花の世話をするために外に出ると、ルカが先に花壇の前にしゃがみ込んで作業していた。昨日二人で約束したことを律儀に守っているのだろう。シュウは自然と口角が上がり、ルカに気付かれないようにそーっと近づいて昨日の彼と同様にがばりと抱きついた。
    「ルカ!」
    「うわ、シュウ!?びっくりした!」
    「んへへ、昨日のルカの真似だよ。それよりルカ、何してるの?水やり」
     シュウはルカに抱きついたままルカの手元を覗き込むと、彼の手には小さな苗を花壇に植えていた。
    「苗?それどうしたの?」
    「買ってきたんだよ。俺もさ、自分で選んだものを育てたくって。ただ、種だと間に合わないから苗を買ったんだ」
     少し恥ずかしそうに話すルカにきゅっと掴まれる。この男はシュウの心を掴んで離さないのだ。んうう!と悶えるシュウを不思議そうに、かつ自分の言葉に対する返事がなく不安そうに見詰めていた。シュウはルカを安心させるように、ぎゅうっと力一杯抱きしめて、ありがとうとルカにしか聞こえない程小さな声で呟いた。
    「ルカは何を買ってきたの?」
     ルカを離し、隣にしゃがみ込んで彼が植えた苗を指差して聞いてみた。ルカはパッと明るい笑みを浮かべて口を開くも、すぐさま閉じてニヤニヤと何かを考えた笑みに変わった。
    「内緒。花が咲いてからのお楽しみだよ、シュウ」
    「えー、僕我慢できるかな?」
    「できるよ!綺麗な花が咲くように二人で頑張ろうよ!」
     昨日と同じようにルカは小指をシュウの方に差し出す。ふふ、と笑顔を浮かべたシュウはルカの小指に自分のそれを絡めて二人で約束をした。必ず綺麗な花を咲かせようと。
     この日からルカとシュウは二人が植えた花を愛情こめて育てるようになった。朝の水やりはルカが、夕方の水やりはシュウがとお互いに当番を決めて世話をする。ルカが仕事でできない間はルカの分まで愛情こめて。朝に起きることが珍しい、というか変な時間軸で生活をしているシュウが規則正しい生活をする程、シュウは花に真剣に向かい合った。雨の日は水やりをしなくて楽だね、と言いながらも自分でできないのが少し寂しそうに窓の外を眺め、風が強い日には自身が飛ばされそうになりながらも花のために飛ばされないようにビニールをかけにいった。そうやって手塩にかけて育てた花たちは二人の期待した通りの綺麗な花を咲かした。
    「シュウ!!」
    「ルカ!綺麗に咲いたよ」
     二人して花に負けない程に華やかな笑みを浮かべ、喜びを分かち合うように抱きしめあった。


    ――――リーンゴーン
     鐘が鳴り響く教会で白い衣装に包まれたルカとシュウが向かい合う。
    「間に合ってよかったよ」
    「まさかルカも僕と同じ花を買ってくるとは思わなかった」
    「俺もだよ!花が咲いた時は驚いた!」
     二人は同じミリオンベルの花を買っていたのだった。初心者でも育てやすく、綺麗に咲くそれは二人にとって都合が良かったのだ。シュウは黄色を、ルカはパープルを。お互いのイメージカラーを買って大事に大事に育てていた。
    「これはさ、言わば初めての共同作業ってやつだよね」
    「大変だったけどすっごく楽しかった」
     あの時はもうダメだと思った、本当に無理だと思ったよと二人思い出話に浸る。あれは、これは、と花の話をすると話が尽きなかった。ふと会話が途切れ、静寂が部屋を包み込みとルカが真剣な表情になり、シュウの手を両手で握りしめた。
    「ねぇ、シュウ。これから長い人生になると思うけど、花を育てた時みたく二人で協力しあって生きていこうね」
    「勿論だよ。んはは、早くない?これはもうちょっと先じゃん。フライングだよ」
    「いいじゃん!あとでもっかいやるから!...だから、これもいい?」
    「...あとでもう一回してね?」
     ルカはシュウの肩に手をおくと優しく触れるだけのキスを贈る。重ね合わせるだけの口付け、こんなにも心が満たされてシュウは幸せだった。
    「さ、そろそろ時間だよ。みんな待ってる」
     シュウはルカの腕に己のそれを絡めた。ルカは頷いて大きな扉の前に立つとゆっくりと開かれた。するとたくさんの歓声が聞こえてくる。仲間たちがみんな二人に祝福の声を贈っていた。その声に自然と笑みが込み上げてくる。二人が歩く通路には綺麗に咲いた花が並んでいた。
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