秋田が折れた。
夜戦行軍中の、慢心と運で起こった事故だった。
破片を拾って帰ってきた同部隊の兄弟たちはゲートをくぐるなり声を上げて泣きわめき、迎えに立ち会ったものも悲痛な顔を隠さなかった。
ふだん大抵の物事には動じぬ主でさえ、すがりついて謝る短刀を宥める手を震えさせ、誰もが秋田の破壊を悲しんだ。
1ヶ月も経たない内に、二振り目の秋田が顕現された。それは彼の兄弟たちの希望でもあり、また主や初期刀などが話し合った結果でもあった。
二振り目は、秋田よりも少々おとなしいように見えた。
声をかけられればパッと笑顔を咲かせるが、あの誰彼構わず胸元に飛び込んでいくような活発さはなく、気がつけば庭をひとり散策しているようなことも多い。
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