七海の出戻りが解釈違いな元カノの話 3任務先で祓いきれなかった呪霊の返り血をシャワーのように浴びてしまった後の、バケツをひっくり返したような雨は私にとって救いだった。吐瀉物のような臭いが漂う呪霊の返り血に比べれば多少の酸性雨なんて聖水みたいなものだ。特に酷い上半身に存分に雨を浴びて、ずぶ濡れ状態で補助監督と合流するとフイと目を逸らされた。
露骨に拒絶されて傷付かないわけではないけれど、今の自分の汚さを思えば仕方がない。まだニオイが残っているのかもしれない。早く暖かいシャワーを浴びたい。ずぶ濡れのまま高専の高級車に座るわけにいかず、トランクを開けて何か敷けそうなものを探しているとちょっとびっくりしてしまうような大きさの声で「あの!」と声を掛けられた。
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