独り善がり「はぁ…はっ」
なんで…なんでだ
ナイトキラーを必死に振り回す、ペナルティゾーンであれだけ念入りに準備したのに…
鎧を纏った兵士たちの動きは単調なのに、圧倒的な数に疲労度が着実に溜まって行く。
「くっ…そ!」
兵士を操っている魔術師の元に駆け寄ろうと足に力を込め一気に間合いを詰めようとするが、タイミングを計ったかのように兵士たちが盾を、剣を突き出し阻害される。
ペナルティに飛ばされる前には無かった連携行動にたじろぐ
「がぁっ!?」
回避した先で後頭部を殴打され不自然に体が硬直する。
暗殺者を見落していたらしい。
ぐらりと倒れそうになるが足を踏ん張り後方の暗殺者を殴り飛ばす。
ぁぁ゙ぁ゙っ…
だが今度は暗殺者に意識しすぎて、轟音を唸らせ振られたメイスを避けられず、右脇腹に綺麗に入り吹き飛ばされた。
「ぁ、あ…ぁ…ぉ゙ぇ゙っ」
視界の端でウィンドウが赤く点滅し警告しているが、霞んで字が読めない
なんで…なんでだ…
地面を踏みしめ近寄ってくる音が響く、早く、早く体制を整えなければ…
震える腕で起き上がろうとするが、べしゃりと地面に崩れ落ちる体力の限界だった。
不意に髪を掴まれ上に引っ張られる、霞んだ視界の先には真っ黒な瞳と目が合った
「そんな簡単に上手くいくと思った?おめでたい頭だね」
「つ、…ぅぅ」
手を離され重力に従い受け身も取れずに顔から落ちる。
「お前が先にズルしたんだ…俺だってズルしたっていいだろ?」
「…くそったれ」
「ふぅん?」
先程の乱暴さは消え去り、頭を優しく撫でられる、振り払いたくても指一本動かすのさえ億劫だった。
「ほら頑張れよ」
「…っ…」
ダバダバと高いところから何本も蓋を開封し、顔目掛け瓶の中身をぶちまけられる。
必死に飲み込んでも既に体力は限界だったらしく回復せず、起き上がれない。
「強くなったんだろ?ほら…見せてみろよ弱虫」
もっと足掻いて足掻きまくって現実受け止めて壊れてしまえ