刀剣女士のやつ① 刀剣女士の存在が確認されてから数年。未だ実装は二口のみだが、着々と各本丸へその姿を見せている。とは言え二口が揃うことは稀だ。大阪城を侮ってはいけない。そして期間限定鍛刀も。落ちないときは何百周しても落ちないし、出ないときは依頼札が無くなったって出ない。その点連隊戦や秘宝の里はまだ良心的だなぁ……日々の業務と並行して進める必要はあれど、数をこなせば来てくれるのだから。中々大変だし一日でもサボると痛い目を見るけれど。夏休みの宿題みたいで、少し懐かしい。
「あるじ」
「曾根ちゃん! どした?」
「お知らせ届いてたわ。里来るらしいね」
静かに執務室へ足を踏み入れたのは刀剣女士の一口、曾根崎長光。薙刀だが背丈は私より少し高いくらいで岩融や巴形と比べると小柄、それに反してかとにかく目立つ刀だ。パッと見は煙草の似合うダウナーお姉さんなものの、話してみれば人当たりの良い全肯定ネキである。立ち振る舞いがスマートなのは長船の系譜かしら。
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