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    kame_SF

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    kame_SF

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    文章練習!楽しい!

    エレミカ 原作軸、17くらい、両片想い
    ⚠エレンがデレデレ
    ⚠ハンジさんのマッドサイエンティスト的トンデモ実験描写(すみません、いつもお世話になっております)

    ##エレミカ

    可愛い可愛い黒猫 足元に黒猫が擦り寄ってきた。構ってほしげに、ニャアニャアとうるさく喚く。どこからやってきたのだろう。
     この調査兵団施設は塀に囲まれていて、人の出入りは監視されている。島にマーレ兵を迎え入れてから、それは更に厳しくなっているのに。

     いや、猫の侵入くらい容易に許されてしまうのだろう。訓練兵時代を思い出した。訓練場に迷い込んだ猫に、女子だけでなく男子たちまで群がって、可愛い可愛いと騒いだ挙げ句、シャーディス教官に見咎められ全員まとめて走らされていた。そして訓練兵たちを追い払ったあと、シャーディス教官がそっと猫を抱きかかえ、変な表情を浮かべていたことも覚えている。猫ってそんなに可愛いか?
     ……可愛いな。オレは黒猫と目線を近づけるようにしゃがみこんだ。中庭の伸び切った雑草が、薄いズボンの生地を貫きオレの膝をくすぐる。
     恐る恐る手を近づけた。怖がられるかと思ったが、黒猫は怯える様子もなく、頭を撫でられ気持ちよさそうに目を細めた。黒く艷やかな毛並みは柔らかく、ずっと撫でていたかった。


     オレは訓練兵の同期たちや教官と違って、そこまで猫が好きではなかった。嫌いというわけではなく、ただどうでもよかった。可愛いと思ったこともなかった。だから、この黒猫が可愛く見えて仕方ないことに驚いている。
     どうしてだろう。オレを真っ直ぐ見つめてくるこの眼のせいか? オレのことしか見えてないみたいに、キラキラ潤んだ目で一生懸命こちらを眼差してくる。可愛い。それとも頬の傷のせいか? 右目の下に一筋に引かれた傷が、ミカサを思い起こさせて……いや、それってミカサが「可愛い」の基準みたいじゃないか。変だろ、違うだろ、多分。
     オレは考えるのをやめて、ただただ黒猫を撫で回した。黒猫は、甘えたがりの子供のように喜んで更にねだってきた。


     猫がどこを撫でられたら喜ぶのかは、ガキの頃ハンネスさんに教えてもらったから知っている(そんなこと興味ないと言い張ったのだが、一方的に教示された)。
     ハンネスさんは近所の市場に居た野良猫をやたら可愛がっていて、餌までやって手懐けていた。猫にキスまでしてしまうハンネスさんの溺愛ぶりに、子供ながらに引いていたが、今ならわかる。だってこの黒猫は可愛いから。

     餌なんかあげてないのに、どうしてそんなにオレに懐くんだよ。なんだよ、ここが嬉しいか、撫でられて気持ちいいか。こいつ可愛いな、キスだってできる。
     思わず抱きかかえてしまってから、ハッとした。あらためて向き合った黒猫の顔に、なぜかミカサの面影を見出してしまったからだ。別に似ていないだろ、と自分に言い聞かせた。昔にミーナか誰かが、「ミカサって猫っぽいよね」とよくわからないことを言っていたが、だからと言ってミカサが猫な訳がない。
     黙り込むオレに、黒猫は首を傾げた。

    「可愛いな、お前は本当に」

     呟きが漏れてるのを自覚する前に、オレは猫にそっと戯れのようなキスをした。
     多分オレの初めてのキスは、死ぬまで訪れない。好きな人とのキスだって、許されない。そんなことを思ったりしたが、唇を話した途端そんな思考はどこかへ飛んでしまった。


    「あの、エ、エレン、その……」
     オレの腕の中には黒猫ではなく、ミカサが体を縮めて固まっていた。相変わらずキラキラと潤んだ眼で、オレのことをじっと見つめてくる。ただ随分びっくりしたように、口をパクパクさせ赤面していた。
    「なんで……ミカサ……猫は……」
     継ぎ接ぎに言葉を紡いでから、オレはミカサと顔を至近距離にして抱きかかえている今の状況に考え至った。慌てて手を離してミカサを草むらの上に座らせたが、オレの顔はみっともなく赤く染まっているかもしれない。

     顔を見られたくなくて少し俯いていると、視界に入ったミカサの膝が、真黒な衣服に覆われていることに気づいた。例の新装備かと思われたが、素材はフサフサと柔らかそうで、動物の毛皮のようだった。まるで、さっきの黒猫のような……
    「なんだよその格好」
     慌てて問い詰めると、怒られたみたいに下を向いて萎縮した。
    「実験で、作られた……服? ハンジさんがくれた……変身できるって……」
    「実験? 新装備の試作品とかじゃなく?」
    「そう。趣味って言ってた。だから私がその実験に乗る必要もなかったのだけど……これを着て姿を変えれば、エレンに構ってもらえるかと思ったから……」
    「は?」
     話が見えない。どういうことだと聞き直そうとしたが、ミカサはまだ言葉を続けた。どうも歯切れの悪い口ぶりだ。
    「それに、最近のエレンはずっと考え詰めているみたいだったから、変身して、癒やしになれたらいいなと思って……」
    「何のことだよ」
     実験で作られたその服で、ミカサが何に変身したのか。そんなことは聞くまでもなく予想できてしまったが、それに向き合う勇気がなくて、オレは気付かないふりをし続けた。

    「でもまさか、変身が解ける条件があるなんて知らなかった」
     ミカサはいつまでもオレに目を合わせようとせず、俯いたまま……自分の唇にそっと触れた。

     オレはハッキリとわかっていた。黒猫にキスをした瞬間、柔らかい感覚があったのを。まるで人間の唇のように。昔から、触れてみたいと思って心の奥底で想像していた、あいつの唇のように。

    「ごめんなさい……あの猫は私……」
     ミカサが絞り出すような声で告白をした。
     恥ずかしがってるんだろうが、オレの方が恥ずかしい。自分のしたことを思い返すとまた顔が赤くなってきて、下を向いた。
     デレデレと頬を緩ませて、お前の体を撫で回したんだぞ。あまつさえ唇まで……まさかオレは、本当にミカサにキスをしてしまったのか?


     何か照れ隠しの言葉で誤魔化そうと思って顔をあげると、ちょうどミカサと目が合った。眉を八の字にして、こちらに上目遣いをやっていた。

    「随分、似るんだな」
    「何?」
    「普段のお前と、猫に変身した時の姿」
    「そう、なの……?」

     しくった。誤魔化そうと思ったのに。
     どうしてあの黒猫が可愛いと思ったのか。それはミカサにそっくりだったからだ。ミカサを見ていて腹に湧いてくる感情が何なのか、形容したことがなかったが、それは「可愛い」ってやつなんだと、やっとわかってしまった。
     似てるなんて言ったら、猫に「可愛いな、お前」と思わず吐いてしまった言葉は本当はミカサに対してだったのだと、告白するようなものじゃねえか。
     しかしミカサはピンと来てないようで、首を傾げていた。可愛い。
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    kame_SF

    PROGRESSジャンくんは6人組大人気アイドルグループの1人、フロックくんは同じ事務所の大人数アイドルグループの1人で最近ソロ活動に力を入れ始めて知名度上がってきたところ。ジャンくんも歌手・ダンサーとして足を固めようとしている段階で、この度記念すべき初のソロコンサートを開催…という設定。
    そのソロコンのお誕生日に開催された公演に来たオタクが書いたレポ、という設定……
    💞4/7 ジャンくんソロコン/〇〇アリーナ/お誕生日公演レポ/スタンド2列目💞幻覚のレポです

    セトリも衣装も今までの公演と変わらずで、曲の間にも特に誕生日の話はなし。あの子自分から言い出せないタイプなのかも…ってこっちがソワソワしてた。で、事件はMC入る前のメドレーで起こるんですけども!!

    初期曲メドレー中、めっちゃスタンド席にファンサ振り撒いてたジャンくん! 多分誰かの「バーンして」うちわを見てバーンしてたんだけど、その後他のいろんな方向に(たぶん無作為に)撃ちまくってて、機関銃かな?っていう連射を浴びた…昇天した…楽しそうな悪戯っ子の顔してて19歳愛おしい。
    かと思ったら、上方スタジオ際のアリーナ席の方ジーッと見てて、どうしたのかと思ったら急にそっちにも特大バーンをしてて。アリーナ側からは当然歓声上がったんだけど、その直後もっと大きな悲鳴になったよ…スクリーンに観客席のフロックくんが映ってたから…。
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