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    kirikirid

    ナギヴァンとフェイキスとネオロマ腐
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    kirikirid

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    【フェイキス】
    お題:チャイナ
    チャイニーズマフィアパロ
    マフィアの若ボスフェイスくん×拷問が上手な側近キースさん
    ※軽度の血がついてます
    #FKワンドロワンライコラボ_おかわり

    #フェイキス
    phacis
    ##フェイキス

    チャイナ「お前に、その価値があると思うの」
    白檀の香が焚かれた部屋にメノウ石が施された彫像、金額に換算すれば恐ろしい桁になるであろう飾り物の数々。その部屋の真ん中で決死のような表情で膝をつく男性と、キセルを吹かし嘲笑う青年。問われた言葉に男性は言葉を詰まらせる。ここで何かを言わなければ自分は数刻後には東シナ海に沈むと理解しているのだ。
    「ボス、俺の忠義はっ」
    「その忠義に泥をぬったのは、お前だよ」
    ボスと呼ばれた青年、フェイスの髪と同じ濡羽色の羽織が翻される。組みなおした足を動かせば、跪つく男を別の男が腕を掴み部屋の外へと引きずっていった。ボスへ酌量を求める悲鳴が消えたということは、男は地下室へと連れていかれたのだろう。生きたまま海に沈めば上々、けれどもその隙を見せてしまえば同じ男がネズミのように湧き出るだけだ。ならば、地下室の声が廊下に響くくらいが丁度良い。フェイスの意図を汲み取るのが上手な側近はきっと良い方法を提案してくれるのだから。
    「…何個にわければいいんだ?」
    フェイスの横に立っていた隻眼の男が問うた。フェイスの意図を汲み、残虐な行為もフェイスの命令通りに動く男。
    「二か、五かなぁ。キースはどう思う?」
    「二、だな。少ない方がめんどくないうえに、汚れも少ないからな」
    「じゃぁ六ね。頭は記念に廊下に飾ろうか。あとはいらないから、ゴミに出しておいて」
    キセルから揺蕩う煙に、香からたつ煙、一歩間違えればフェイスとキースの世界は蜃気楼のようにすぐに消えてしまってもおかしくはない。それが黒社会の常であった。
    「もちろん、終わったら俺の部屋に来てね」
    年相応の表情で悪趣味な命令をするフェイスに隠すこともなくキースは眉を顰めた。それでもキースは仕事が終わればフェイスの部屋を赴くのだ。フェイスの命令には忠実な男である。


    上海シンガーの曲がヘッドフォンから流れるのと同時に部屋の扉が開いた。ボスの自室をノックなしで開ける男には二種類しかいない。深夜の̻刺客かボスの懐刀であるキースのどちらかである。もちろん聞き慣れた足音はフェイスが焦がれたキースのものだ。
    「アハ、遅かったね」
    「六つって言ったのは誰だよ」
    フェイスが着ている漢服と同じ琥珀色のチャンパオは、半分以上が赤茶に染まっていた。きっと数刻前までは鮮明な赤を身に纏わせていたのだろう。六つとフェイスが命じたことでその鮮血は赤から赤茶へとキースを彩った。
    「三つならば、もっと綺麗な赤だったのかな」
    繊細な浮き彫りが施された天蓋付きの床で手招くフェイスに誘われるまま乗り上げればキースの重みでマットレスが沈む。固まっていない血が白いシーツを汚した。この行為が終わればシーツもフェイスを裏切った男もゴミ箱へと運ばれる。
    「数が少ないと一つが大きくなるから、それも大変なんだよ」
    ごろりと寝転がったキースの視界に最上級の装飾が施された天蓋、そしてキースに覆いかぶさるフェイスの唐紅の瞳が写る。以前にキースのチャンパオを白ではなく汚れが目立たない赤か黒にしてほしいと頼めば「それがいいんでしょ」とフェイスが妖艶な笑みをたたえた。それからは、汚れ仕事をした後はフェイスの自室に呼ばれ、この真っ白なシーツに組み敷かれる。
    自分よりも年下の青年が束ねている組織はこの上海でも上位の組織だ。大本の組織はフェイスの兄が君臨しているが、この青年も年齢を考えれば大きすぎものを背負っていた。そして、フェイスがキースを傍においている理由はただひとつ。
    「…キースは俺を捨てない?」
    配下に裏切者が出る度に繰り返される質問はすでに何度同じ答えを伝えたのだろう。
    「お前を捨てるかよ。そんなことしたらお前の兄貴に一族郎党殺されちまう」
    「キースってば孤児でしょ。まぁ、そうだよね。だからキースは俺を裏切れない」
    組み敷いたキースの胸に額を乗せる。この隻眼の男はフェイスがたった一度の我儘を貫いて手に入れたものだ。フェイスが信用できるたった一つのもの。耳から伝わるキースの鼓動はフェイスを安心させた。
    「そうそう、お前も知ってんだろ」
    兄と比べられる重圧、大きな組織を背負う責任、配下の裏切り。そのどれもが年若い青年が背負うものではない。そしてキースがフェイスを裏切らない本当の理由を信じられるほど、フェイスの人生はまっすぐではなかった。お前を愛しているから裏切らないと伝えられればフェイスの心はどれほど救われるのだろうか。信じてすらもらえない愛の言葉。それよりは兄に殺されちまうと冗談を言った方が彼は信じるのだ。
    なぜ、キースがブラッドの組織からフェイスの元へと来たのか。ただの弟の我儘に腹心を渡すほどブラッドはお人好しではない。それをこの子供は理解を拒む。言葉を信じられないフェイスのために、濡羽色の髪に指を差し込みキースの胸で落ち着いた頭を撫でる。
    「…シャワー浴びようか」
    乾いたといっても血生臭さは変わらず、キースの胸に大量についた返り血。嗅ぎ慣れた臭いといってもそれなりの悪臭だ。
    「へぇ、ボスが洗ってくれるのか?」
    天蓋付きの床の縁に座ったフェイスに近寄れば、男女問わず魅了するフェイスの微笑み。
    「忠犬には褒美をあげなきゃね」
    キースにとっての褒美となるのか、フェイスへの忠誠の証となるのか。この不快な臭いが流せればどちらも同じだろう。
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