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    merukosu

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    merukosu

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    「まずはヴェルに聞かないとマズイんじゃないの〜?」

    「そう言われると確かに…アルフォンスさん、あの堅物を納得させられる理由はあるんですか?」

     じっとりと不機嫌そうな顔をして、イシュメールはアルフォンス問う。しばらくうぅんと悩む素振りを見せ…

    「まぁ、任せとけって。」

     そう一言だけ残し、1人我先にとバス内に向かって歩き出した。大丈夫なのだろうか…とは思うが、彼以外にその『祭り』とやらを詳しく知っている囚人はいなさそうだ。

    「あんな自信満々にされると逆に怖いな」

    「…同意する。」

     神妙な顔をするグレゴールに、珍しく目を瞑り頷くムルソー。彼らの言いたいことも分かるが、マァ…何かいい方法があるのだろう。

    《アルフォンスがあそこまでやる気なのも珍しいし、少し任せてみてもいいんじゃない?》

    「うむ。 現にさしも楽しげな彼を見たためしなし。」

    「はい…。 僕からも…見守ってあげて欲しい、です。」

    「…はぁ。 別に責めてないぜ? ただ…本当にあの人を言いくるめられるのかって」

    「気にしたところで彼以外どうにか出来る人いないんですから、それよりどんな祭りなのかじゃないですか?」

    「確かにそうですね〜。 ハロウィン?でしたっけ」

    「はろうぃん…一度本に見しことがあり」

    「そうなんですか…? 一体どんな行事なんでしょう…?」

    「詳しくは知らず。 ただ名を見かけきばかり。」

     だらだらと言い合いをしていれば、道の端に無造作に停められた見慣れた赤が映る。中には、身振り手振りでヴェルギリウスと対話しているアルフォンスが窓越しに映る。見てる様子だとあまりいい結果は出ていなさそうだ。

    「…それで、私たちにどんな利益が?」

    「ウッ…その、ほら…たまには…息抜きもあっていいじゃないですか? だから…」

    「遊ぶことで作業効率が上がるのだったら、最初から遊ばせていることだろうな。」

     バッサリと意見を切られ、ヴェルギリウスの冷ややかな目にアルフォンスは尻込みしてきた。それを引き攣った笑みで見ていたドンキホーテは、助太刀でもしたいのか1歩踏み出しては戻るを繰り返す。このバス内で1番か2番に"指導"を受けている身、そう簡単に踏み出せる距離では無いらしい。

    「ウグゥ…そこをなんとか…」

    「やっぱり上手くいってないですね」

    「あの、ファウストさんならどうにか…」

    「ファウストは無駄な説得はしませんので」

    「つまり無理ってことじゃねーか!」

    「あはは〜、まぁ、今回は諦めてもいいんじゃないですか〜?」

     悪戦苦闘しているアルフォンスを横目に、囚人達は好き勝手話す。皆行きたい気持ちはあるらしいが、どうにもヴェルギリウスを説得してまで行きたいわけではないらしい。というより、どう足掻いても出来ない無駄なことに時間を割くバカは居ない、と思っていそうだけど。

    「はぁ。 …運が良かったな」

    「え?」

    「この後しばらくここに滞在する。 …その間の業務は無い。」

    「つまり…?」

    「最初から留まる予定、ということですよ」

     表情ひとつ変えず、涼しい顔をしてファウストは言う。どうやら無駄な説得とは、最初からOKが出るのがわかっていたから故らしい。それならば最初から言ってあげればいいのに。あんなに頑張って、苦しい言い訳をしていたアルフォンスが可哀想だ。
     それにしても滞在するなんて珍しいこともあるのだな?とダンテは思う。確かに合間合間の臨時業務はあるが、何もせず留まることは覚えている限り初めてではないだろうか。

    「それなら早く言ってくれよ…怖かったんですケド…」

    「まぁまぁまぁまぁ!! そんな日もありまする!!」

    「適当だなぁ」

     先程味方出来なかったことが気になるのか、ドンキホーテが雑に慰めていた。その様子にアルフォンスはしょんぼりと肩を落としながらも、にへらと笑いながら「別にいいけどよぉ」なんてぶつくさこぼす。
     ハァと大きくため息を吐き、流れるようにアルフォンスはとぼとぼとバスを降りようと手すりに手をかけた。

    《アルフォンス、その祭りって言うのはもうやってるの?》

    「んぁ? まだなはずですよぉ? 俺は仮装のために服でも買いに行こうかと」

    《仮装?》

    「ほら、言ったじゃないですか。 幽霊のフリをして歩き回るって。」

     そういえばそんなことを言っていた様な気がする。アルフォンスの目線の先を追えば、街の人々は皆独特な衣装を品定めしていて、とても楽しそうだ。

    「…まだ業務終了の掛け声は済んでいません。 自由行動はその後にしてください」

    「あぁ、すんません。 じゃあ…」

    《うん。 囚人の業務終了を承認します》

    「では…今から変動の可能性がある…」

    「そんな堅苦しいこといいでしょ〜? ほらほら、楽しくいきましょファウ! 私あのかっこいいマント着てみた〜い!」

     いつもの定型文を言おうとしたファウストの肩を押し、ロージャはぐいぐいと外へ連れ出す。何度目か分からない遮りにファウストも抵抗する気はないようで、少し嫌そうな顔をしながらも大人しくされるがままに連れ去られて行った。
     その様子を見ていた囚人達も、先程から煌びやかに展示されている色とりどりの衣装に興味があったのか、釣られるように一人一人降りていく。
     誰ひとりバス奥に戻らないのはこれが初めてじゃないだろうか?今日はレアなことが良く起こる日だ。

    「あれ、ダンテさんは行かないんです?」

    《あぁ…君は? 真っ先に行きたがってたじゃないか》

    「まぁな。 なんか楽しそうにしてるみんな見るのも悪くねぇなって。」

     アルフォンスはニヒルな笑みを浮かべ、優しげな目で囚人たちの背中を見つめる。想像していなかった表情に、少しだけ胸の中心が暖かくなった。

    《ふふ、なんか少し大人になった?》

     前までそんな顔をしたことがあっただろうか。カチカチと自身の鳴らす秒針に身を委ね、ごっそりと抜け落ちた記憶の代わりと言わんばかりに鮮烈で、色濃い思い出を見た。
     やはりその思い出の中には、柔らかく笑うアルフォンスの姿はひとつもない。久々の故郷ということもあるのだろうが、きっと心からこの現状を楽しんでいる証拠でもあると信じたい。

    「そう見えるか? あ、良かったらダンテさんに似合いそうな服繕ってやりますよ」

    《ふふ、ありがとう。 じゃあお願いしようかな?》

    「そうだなぁ…。 何が似合うか…」

     アルフォンスが本心から笑っている。気の所為なのかもしれないけれど、いつもは取ってつけた定型文みたいな笑い方をするのに。これもまたひとつの成長か、とダンテは思う。
     あわよくば、そうやってみんな…少しづつらしく生きていけるようになってくれればいいのに、とも。

    ``````

    「やっぱり! 絶対似合うと思ったよのね〜」

    「不要な装飾が多くあまり戦闘向きでは…」

    「なにいってるの、今は休暇みたいなものでしょ?」

    「そうですよ〜、楽しみましょう? 祭りなんていつぶりですかね〜…実家にいた頃はこんなに騒がしい祝い事なんてしませんでしたよ〜」

    1番近い店に入れば、相変わらずロージャの熱量に押され渋々着せ替え人形になるファウストと、それをのほほんと眺めているホンルがいた。
     出来ないウインクで答えるロージャは、いわゆるヴァンパイアと呼ばれる怪物の衣装を身にまとっており、その大きな身体にピッタリのマントを翻している。ひらひらと赤く舞う姿は彼女の長い髪によく似合っていて、文句のない着こなしだ。

    《ここにいたんだ。 どう?衣装は》

    「あ、やっと来たの〜? もうバッチリ! ダンテのも選んであげよっか?」

    「ダンテの衣装はファウストが選んで差し上げましょう」

     ファウストは大きな耳のカチューシャをつけ、心做しか輝いた目をさせながら言う。これは多分狼男…狼女?だろうか。電信柱E.G.Oでも見慣れてはいるが、ストリート系のようなラフな衣装も似合うのだなと感心した。
     ふわふわと揺れる白い髪に合わせ、白くもふもふとしたオオカミ耳は可愛らしく、ファウストもなんだかんだ楽しめているのかもしれない。

    《可愛いね。 似合ってる》

    「…当たり前です。 この程度着こなせて当然でしょう」

    「ふふ、僕のもどうですか〜? こういう服着ないので新鮮ですね〜」

    《ホンルもよく似合ってるよ》

    「はい、本当によく似合って…! 特にその袖部分とかホンルさんにピッタリだと…」

    《うん、少し前に読んだリュウグウって場所に出てきそうだよ。》

    「2人ともありがとうございます〜。 シンクレアくんもよく似合ってますよ〜?」

     いつの間にかひょっこりと現れたシンクレアと一緒に、上機嫌にくるくる回るホンルを褒めた。
     ホンルはどうやらキョンシーの仮装を選んでいて、だぼっとした袖部分は優雅さも兼ね備えた良い服だ。確かに普段からふわふわとしているホンルによく似合っている。所々にあしらわれたレースは、ホンルのために作られたのかと思うくらいピッタリだ。
     一方シンクレアは死神のような黒いローブを纏っていて、手には鎌ならぬいつものハルバードを握っている。一応ここは店内だけど大丈夫なのだろうか?それにしてもみんなよく着こなせている。

    「お〜、みんなセンスいいじゃん。 シンクレアもいいチョイスすんね」

    《君は何にするんだい?》

    「俺? そーだなぁ…。」

     カランと鳴らし、アルフォンスも合流する。入口が少し低いみたいで、グッと屈んではいる姿は他囚人でもよく見る光景だ。

    「昔はシーツ被っておばけ〜とかやってたけど…。 はは、懐かしいなぁ」

    《君にも可愛い時期があったんだね》

    「それ褒めてますか?? まぁいいけど…」

    「…あれ? さっきまでこの辺にイシュメールさんいませんでしたっけ…?」

    「そういえばさっきまでいたわよね。 ぐるぐるまきの衣装持って悩んでたと思うんだけど…」

    《うーん? 私たちが来た時にはもういなかったよね?》

    「あぁ、でも服の色と髪色被ってっからな…その辺にいんじゃねーですか?」

     そこまで広い店内ではないし、迷子になることはなさそうだけど。アルフォンスもあまり興味が無いようで、自分の衣装を見繕いにフラフラと物色し始めてしまった。

    「お客さん、ウチの衣装はどう?」

    「…あの、頼んでないんですけど」

    《あれ、今イシュメールの声が…》

    「あっちの方からですかね…?」

     皆服を選び終わったからか、特にすることも無いためダンテの後ろを着いていく。ゾロゾロと大所帯で動くには少し狭く、ガチャガチャと衣装とぶつかる音が聞こえてきた。

    「それにしても本当にすごい数よねぇ」

    「縫い目もすごく綺麗ですしね〜、実家で着ていた服とよく似てますよ〜。」

    「ってことはすっごい高いのかしら…そういえば値段がついてないわね…ファウ、これ経費で落ちないかしら…」

    「会社とは一切関係ありませんので、各自自腹になります」

    「えぇ、レンタルとかできるかしら…」

    《君たち、値段も見ずに試着してたんだね…》

    「気にしなくて大丈夫だよ。 ウチは一律【×××】だから」

    《うわっ…?!》

    「えっ、カメラ…??」

    「うっ」

    「すごい頭ですね〜? 管理人さんみたいな人意外といるんでしょうか〜?」

     ぬるっと吊るされている衣装の隙間から、様々な電子機器を埋め込んだ頭をしている少女が現れる。義体は何度か見てきたけど、全身となるとあのカジノにいた四角い奴くらいだ。
     物珍しさにまじまじと眺めていれば、向こうも時計頭に興味があるのかジジッ音を立ててレンズを動かす。

    「ふーん。 私には時計の音しか聞こえない…面白い人。 …人?」

    「はは、人で間違いないですよ〜。 店員さんの方も凄いですね? 全身義体なんてそう見られるものじゃないですよ〜?」

    「うぅ……」

    「ありゃ、おチビちゃんがダメそうね。 外の空気でも吸いましょうか」

    「お客さん、お代。」

    「…はぁ。 ファウストが支払っておきます。 ダンテ、早く決めましょう」

     義体に関して色々と因縁のあるシンクレアは、青い顔をしてロージャに介抱されている。確かに彼女の姿はシンクレアにとってあまり良いものではない。きっと、思い出さないようにしている過去が無理やり掬い上げられてしまうのだろう。

    「これ、私の力作。 どう?」

    《うーん? たしかに…悪くない、かな?》

    「…悪くないそうです。」

    「貴方はコレの言葉わかるんだね。 いいな」

    《なんだか不思議な感じのする声だね…》

    「普段ファウスト達がダンテと話す時に感じている声と酷似していますね」

     ブカブカのパーカーを揺らし、あれやこれやと少女は指を指す。確かにこの店の服はどれも質がよく、その割には値段も良心的だと思う。
     服のことはよく分からないが、手に取って見ているだけで丁寧な仕事だとひと目でわかるから。

    「ダロクぅ…このデザインで採寸依頼が…。 あ、接客中か」

    「わかった。 後でやるよ」

    《今度は背中に蛇みたいなのが…》

    「まー、義体にも色んな種類ありますからねぇ。 大抵は高すぎるんでオーソドックスなやつだと思いますけど」

    《へぇ、そうなんだ》

     いつからか背後にアルフォンスも合流しており、あまり好意的ではない表情を浮かべながら解説してくれる。アルフォンスもシンクレアほどでは無いにしろ、義体に対して否定的だ。初対面でのあののっぺりとした顔は今でも忘れられない。

    「…私はダロク。 こっちは店長のボノ。」

    「よろしくお願いします〜? なんで俺が店長なんだか」

    「ちゃんと話し合ったでしょ。 そっちの方が効率的だって」

    《…そういえば、店名…どこかで》

     そっと振り返り、ガラス越しに鏡文字で書かれている店名を見た。

    『視線ドレスショップ ボノ』

     確か、前にヴェルギリウスの口からそんな名前の事務所が出てきたような…。

    「あぁ、管理人さん…いたんですね」

    《イシュメール。 …なんか…すごいね?》

    「言わないでください。 このカメラ頭に勝手に着せられたんです…」

     よろよろと現れたのは、白い包帯でぐるぐる巻きにされていたイシュメールだ。動きにくそうにしているが、必要以上に拘束されているわけではないようで、ある程度自由はきくらしい。

    《…似合っているよ?》

    「お世辞はいらないです…。 はぁ」

    「似合ってると思いますけどね〜?」

    「…あなたに言われると癇に障るので黙っててくれませんか」

    「あはは〜。」

     よっぽど機嫌が悪いのか、普段はヒースクリフに当たっている分がホンルに向いたのか。どちらにせよ、今は放っておいた方がいいだろう。

    「…時計頭の紳士。 あなたにはきっとこれが一番似合うと思うよ」

    《これは?》

    「本で読んだな。 神父…だっけ? 神に仕えるとかなんとか…」

     ばさりと広げ、いかが?とでも言いたげに少女は見せびらかす。黒い生地をベースに、首元は白い厚手のカスラが短く伸びている。少女の袖には金の装飾が施されたマフラーらしきものがかけられていて、いそいそと背中を押され試着室に押し込まれてしまう。

    「まぁ、悪くないんじゃね? せっかくの店員直々のチョイスだし…着てみようぜ」

    《…そうだね》

    「お客様! 良くお似合いで!」

    「ボノ、まだ着てない」

     渋々カーテンを閉め、苦戦しながらも手渡された服を着る。シャツは着たままでいいのだろうか。これ1枚で過ごすには心もとないし、ズボンもこのままで…羽織るだけの服なのもしれない。
     最後に不思議な形の布を首元に巻けば、多分完成…と言っていいと思う。

    《…どうかな?》

    「ぶはっw ちょ、ダンテさんw」

    《えっ、なに? 何か変…?》

    「…その布は首からさげるものです。」

     けらけらと笑うアルフォンスを他所に、ファウストは黙々と首から布を剥ぎ取り、綺麗に揃えて前に垂らす。
     確かにこう見るとそういうものだと分かるが、何も説明無しに渡されてもこれが何か想像しろという方が鬼だろう。

    《アルフォンス…そんなに笑わないでよ》

    「ふふっ…w よく、にあってますよw」

    「様になってますよ〜?」

    《君たち…》

     こういう時はみんなして悪ノリをする。嫌では無いけど、でもこんなに笑われると恥ずかしいのは事実で。

    「…似合っていますよ、ダンテ」

    「はー…w わりぃわりぃ、良くお似合いですよ」

    「うん、いいと思う。」

    「ウンウン、アンバランスな感じがすっごくお似合いですよ!」

    《それ褒めてるの…?》

     先程から思っていたが、この店長とやらは発言の端々に失礼さが滲み出てるというか…すっごく適当に話しているな。確かに店員をやれるかと言えば出来はしなさそうだが、ダルクと呼ばれる液晶の散りばめられた少女も大概だ。ボノと呼ばれる紫の光を放つ義体は悪目立ちするし、私ち以外に客がいる様子もない。

    《服の質は悪くないのに…あんまり賑わってないんだね》

    「…質に対してお客が少ないと言ってます。」

    「…私たちは商売したいんじゃないから。」

    「そうなんですよ、聞いたことありません? 本にされた人間の話」

    《本…?》

    「私たち、視線事務所は図書館に行ったの。 そして本になって…みんなバラバラに本から戻った」

    「俺なんか本当に辺鄙な土地で苦労したんですよ。 まぁそれはいいか…それでですね、まだ1人見つかってないんです」

    「そもそも、私たちがここで会えたのも奇跡」

    「でも俺たちに資金もないし…だからどうにか良い案ないかって。 アロクが見つけやすいようにね」

    「…話が見えねぇな? 特異点かなんかか?」

    「……。 事務所では知らぬ人は居ないでしょうね。 それほど有名な出来事でした」

    「うーん。 僕も初めて聞きましたね〜?」

     ファウストが知っていそうだが、これ以上語る気は無いのか口を閉じてしまう。これもまた、語るに語れない秘密事項なのだろうか。私の場合はここに入るまでの記憶が一切ないので、言わずもがなだけれど。

    「噂程度には聞いたことがあります。 知りたい情報が記載されている本が手に入る…そんな謳い文句で誘い込んで、行方不明になる人が後を絶たなかった。」

    「へぇ…怖い話もあるもんだな。」

    「噂話程度でしたけど。 本当だったなんて…」

    「…私たちのリーダーがまだ見つかってない。 だからこうやって、名前を出して探してる」

    「幸いこの時期は稼げるんでね、また事務所立てるってなったら資金は必要でしょ」

    「…そういうこと。 お客さん、たくさん買ってって。」

    《なんだか上手い具合にはぐらかされたような…》

     でも依頼でもないことに首を突っ込んで、のちのちトラブルになったら怒られるのはダンテ達だ。それを皆理解しているので、それ以上は何も聞かずに会計を済ませ店を出た。

    ``````

    「あ、終わったんですね…!」

    「遅かったわねー? 寒くて凍えちゃうところだったわ」

    《ごめんね、お待たせ》

     ぐっと扉を開けば、ぶわりと全身に冷えた風があたる。お店に入る前はそんなに気にならなかったが、日が落ちるにつれ気温が下がっているみたい。

    「ふー、やっぱこの辺はさみぃなぁ。 そうそう、この祭り、冬の訪れを祝う意味もあるんですよ」

    「冬が来るのを祝うなんて珍しい地域ね? 普通は嫌がるのだと思うんだけど」

    「まぁな。 だからこそ?なのかな。 冬を無事に越せますように〜とか、守護霊に祈る意味もあるとか…今となっちゃどれもあやふやだけどよ」

    《素敵な催しだと思うよ。》

     こんな、明日には命がない日々が当たり前の中、一丸となって何かをするというのは大事なことなのだろう。そうやってみんなで信頼関係を築いて、共に生きていくとか。理想でしかないんだろうけれど。

    「そういや他の奴らは? ほかの店かな」

    《確かグレゴール達はあのお店に入ってたと思うけど…》

    「私はバスに戻るわ〜、暖かい飲み物でも飲みたいし」
     
    「…ファウストもメフィストフェレスの調整がありますので。 今回は48時間の自由時間ですからね」

    《わかったよ。 風邪ひかないようにね》

    「僕も戻りましょうかね〜、お祭りって明日ですかぁ?」

    「あぁ。 明日の夕方。 屋台も出るから楽しみにしとけよ〜?」

    《ほんとにちょうどいい日に来たんだね》

    「そうだな、偶然とは思えないくらいには」

     そう言われると確かにとは思う。だけど、それを深堀するのは違うような気がして、そっと言葉を飲み込む。

    「グレゴールさんたち探しにいくか。 何着るか気になるしな」

    《そうだね。 行こうか》

    「あの、僕も…いきます」

    「そうか?」

     いつの間にかイシュメールもバスへと戻っていて、随分とさっぱりした人数で歩き出す。おそらくグレゴールとムルソー、あとはドンキホーテが入っていたであろう店に入れば、扉を開けた瞬間からわかりやすい大きな声が聞こえてくる。

    「どうでありますか!! まさに彼のカーリー殿にそっくりではないだろうか!」

    「あ〜…そうだなぁ? うんうん。 似てると思うよ」

    「………髪色が」

    「ムルソー、こういう時は言わなくていいんだよ。」

    《こっちも楽しそうだね》

    「あ、旦那。 いい服着てるじゃねーか。 似合ってるよ」

    「管理人殿!! どうでありまするか!! 彼の」

    《よく似合ってるよ…。 だから少し静かにしようね》

     声の方向へ向かえば、分かりやすく興奮したドンキホーテと、苦い顔をしたグレゴールがいた。ドンキホーテは赤い服を身にまとい、手に持つ槍には青い瞳の装飾が付けられている。カーリーと言っていたが、残念なことに記憶には無い。だけど、彼女が時々語るフィクサー談に出てくるので、そこそこ知名度はある人なのだろう。

    《グレゴールは…なんだかそのままE.G.O着ているみたいだね》

    「あー。 なんか良さげなのこれくらいしかなくてな。 魔法使いらしい」

    《ムルソーは…その頭…ネジ?》

    「…フランケンシュタインと呼ばれる想像上の人物です」

     黒いフードをかぶり、全身を隠す大きなマントを羽織っている姿は提灯そのもので、枝は生えていないけれど、胡散臭そうな雰囲気はよく似ている。よく見れば、木で出来た杖を持っているからだろうか。やはり既視感がすごい。
     ムルソーの方はほとんど変わらず、丁寧に固められた髪の上から大きなネジを付けたカチューシャをしていた。ムルソーらしいっちゃらしいのだが、2人して新鮮味はあまりなかった。

    「無難だなぁ。」

    「そういうアルフォンスはまだ決まってないのか?」

    「うん? うーん…ほら、被んのはなんか…嫌じゃん?」

    《だからみんなの見て回ってるんだ》

    「マそういうこと。」

    「アルのそういうところ几帳面っていうか…こだわり強いよね…」

    「譲れないものがあるのは良いことですぞ!!」

    《そういう問題かな…?》

    「じゃあ他の奴らのも見に行くのか。 俺たち以外この店じゃ見かけてねぇけど…」

    「もうみんな戻っちゃったんじゃないでしょうか…?」

    「えぇ、困るな…良秀さん辺りはそもそも見て無さそうだし…あれ、イサンとヒースは? ウーさんも見てねぇな」

    「あー、2人なら屋台見に行くって…ウーティスさんはしらないな」

    「彼女ならばあそこで服を見ている」

    《…ほんとだ!?》

     静かに目線を向けるムルソーに、ゆっくりと振り向けばガラス越しに衣装を眺めているウーティスがいた。店内からだとよく見えないが、どうやら軍服らしいものが飾られている様子だ。

    「…なっていない。 この構造ではどの軍に所属しているか人目で分からない。 不必要な装飾ばかりで実用性もない…なぜこんなものが売りに出されているのか…理解出来ん」

    《ウーティス、探したよ》

    「あぁ! 管理人様。 その格好如何されたのですか? シンプルでいいとは思いますが…」

    《さっきあそこの店で買ったんだ。 いいだろう?》

    「えぇ! 管理人様がお選びになる服がセンスのないわけがありません! 良くお似合いですよ!」

    《あはは……。 ウーティスはこれが気になるの…?》

    「いえ…気になるわけでは…。 アホどもが衣装を見繕えと煩いので探しに来たのですが…ここはどうにも意味をなさない服ばかり展示されているようで」

    「まぁ仮装用だしなぁ…ウーさんから見たら変に見えんだな」

     そそくさとウーティスの元に行けば、あれやこれやとなにか吟味している様だ。彼女は軍にいた過去があるらしいから、その経験から見るとヘンテコな服に見えるのだろう。
     流されるまま着いてきたグレゴールも、興味深そうに眺めては「ふぅん…面白いもんだな」と感想を零していた。

    「もう少し装飾の少ないものであれば着てやっても良かったんだがな。」

    「店ん中にはあると思うぜ。 店頭に出してるくらいだし」

    「…時にアルフォンス。 このヘンテコな服を着ることが本当に意味のあることなのだろうな」

    「さぁ? でも俺らがこの制服を着るように、祭りではこれが正装なんだよ。 郷に入っては郷に従えっていうだろ?」

    「…一理ある。 だが参加する理由にはならんな」

    《…私はみんなで参加したいよ。 せっかく同じバスに乗る仲間なんだし》

    「管理人様が言うのであれば。 おいアルフォンス、貴様の言い出したことだ。 見繕え」

    「うぇえ……わかったよ…」

    「僕も一緒に行くよ」

     ズカズカと店内に入るウーティスに引っ張られ、アルフォンスは嫌そうに扉の向こうへと消えていった。他の人を見たいと言っていたけど、聞く話だと自主的に見て回っているのはもう居なさそうだし…大丈夫だろう。

    「さて、俺らもバスに帰るかな。」

    「うむ! 良い買い物であった!! 大切に飾っておこう!」

    《ちゃんと着てくるんだよ》

     少し歩き疲れたけど、まだ見かけていない囚人たちの様子も気になるし…もう少し見て回ろうかな。

    ```
    ```

    「あちっ………悪くねぇな」

    「蒸かし芋にバタァなるものがのりて……うまし」

    「あれはなんだ? あの…赤いやつ」

    「ふむ…小さきらぁめんと書かれてあり。」

    「ラーメン…? 刺激臭すっけど本当かぁ?」

    「からし味ならむ。 麻婆と同じものなるぞ」

    「…いいな。 並ぶぞ」

    「承知した」

     すっかりと暗くなった空に、暮れる前と変わらぬ明るさの街並みを歩く。所々に活気づいた街の人達が集まって、ここまで平和な場所は早々ない。裏路地とも違う、都市にしても少し庶民的というか…なんだか、お高くとまっている雰囲気がない。
     今の時期だからこそなのかもしれないけれど、冷たい風とは真逆の暖かな街並みだ。

    《ふたりが一緒なんて珍しいね》

    「あぁ? こいつが勝手に着いてくるだけだ」

    「ここの食ひ物に興味がありき。 ヒースクリフくんが行くと言へりから…」

    《大丈夫? 喧嘩しなかった?》

    「あん? 俺をなんだと思ってんだ時計頭。」

    《ほら…いつもイシュメールとかと喧嘩してるし…》

    「あれはあいつがふっかけてくるから買ってやってるだけだよ。 お望みならその喧嘩も買ってやろうか??」

    「や、やめむ…。 冷めぬほどに食はむ」

    《ごめんよ。 そんなつもりは無いんだ。 …君たち何を買ったんだい?》

    「麻婆ラーメンだとよ。 なんか変な時で書かれてっから読めねぇんだ」

    《うーん…確かにあまり見ない文字だね?》

    「都市にはあまたの言語があれば。 好んで使ふ人もあらむ。」

     そう言われると、わざと見慣れない文字を使って目を引くのもひとつの売り方なのだろう。アルフォンス曰く、明日が本番だと言っていたけど、前夜祭なのだろうか。見知らぬ言語で書かれた店が並び、中には創作文字なのか…そういうフォントなのか。お化け文字みたいなものが書かれている出店もある。

    《2人は仮装服買ったの?》

    「あー。 どうせあいつの事だから勝手に用意してるだろ。」

    「うむ。 彼の選ぶ服を着るつもりなり」

    《えぇ……。 アルフォンス困ってたみたいだよ》

    「分かってるからこそじゃねぇの? 知らねぇよ。 俺は飯にしか興味ねぇし」

     まぁアルフォンスは被らなければいいのだろうし、良秀も含め選ぶ分にはそこまで困らないだろう。明日もお店はやっているだろうし。

    《明日はもっと賑やかになるのかな》

     今はまだ仮装している人は殆ど居らず、むしろ自分が浮いているくらいだ。ちょっとだけ浮かれてる人みたいで恥ずかしいが、そもそもこの頭の時点で悪目立ちするのだから気にしてられないけど。
     どうやってこれで匂いを感じているのかは分からないけど、ふわふわと色んな匂いが混ざって届く。あまく、けれどスープのような…焼き菓子の匂いもするし、隣で黙々と食べている辛そうな匂いもして、少し前に立ち寄った繁華街に似ていた。

    《今回は何事もないといいけど》

    「あるわけねぇだろ。 依頼でもねぇのに」

    「……おだしき時間があっても良しと思う。」

    《はは、そうだね。 ごめん》

     先程から感じるこの違和感は何なのだろうか。これが幽霊の気配と言うやつなのならば、この祭りは本当に大事な行事なのかもしれない。

    ```
     いよいよやってきたハロウィンナイト。それぞれ選んだ服を着て、ゾロゾロとバスを降りていく。昨日から感じていた違和感はより確実なものになり、ぺたぺたと無造作に触られているような感覚がしたと思えば、次の瞬間には何も感じない。ねじれや幻想体と対峙した時の感覚にも似ているが、悪意はないと思う。

    「これだよこれ、この冷たい風に…妙な気配。 幽霊の大行進って感じ」

    「うぅ…すごい…ぞわぞわする…」

    「これ本当に大丈夫なんですか?? 心做しか霧も出てる気が…」

    「……これからより深くなるようですね。」

    「…人ならざるものなりや」

    「本当に幽霊がいるのか…? そういう設定じゃなく…?」

    「そりゃそうだろ? この街はそういう場所だからな。」

    「わぁ、本当に濃くなってきましたね〜?」

    「これじゃあ屋台もなんも見えねぇだろ」

    「ふむ!! 屋台らしきものが見えてきたぞ!」

     ドンキホーテの高らかな声を聞き、囚人達は正面を見る。どんどんと濃くなる霧に負けじと、色とりどりに光照らされた店は、本当に異国のようで美しかった。

    「見たことない文字です」

    「ファウにも知らない文字があるんだ?」

    「…あれは店主が考えた文字でしょう。 個人の作り出したものまで把握できるほどファウストは暇ではありません」

    「なんだかお化けの国に来たみたいですね〜? もしかしてこのまま迷い込んじゃったり?」

    「こ、こわいこと言わないでくださいよ……!」

    「だはは! もしかしたらひとりいなくなってるかもな?」

    「確証のない発言は控えるべきだ」

    「うおっ…うっすら見えるムルソーってすげぇ…なんつーの…威圧感が3倍くらいっていうか…」

    「お前も大概デカくて怖いけどな?」

    「貴様が小さいだけだろう」

    「なんでこういう時だけ突っかかってくるんですかね…ウーティスさん…」

    「はん。 管理人様、私がいちばん美味しい屋台を見つけてきて見せましょう。 長くはおまたせしませんので!」

    《私食べれないんだけど…》

    「もう居ないですね。 …私もあの蛸がでかでかと書かれてる店を潰してきます」

    「いや!? やめろ??」

    「はぁ…ファウストが同行しましょう。 あればたこ焼きと呼ばれるものでしょう。」

    「たこ焼きですと?!! このドンキホーテ! 是非とも同行しようではないか!」

    《2人ともただ食べたいだけに見えるな…》

    「てかはぐれて大丈夫なのか? 管理人の旦那に何かあったらまずいだろ」

    「そんな治安悪いとこじゃねぇから…てかこんな霧の中、敵も味方もわかんねぇだろ。 ほら、なんかいつの間にか1人増えてるし」

    「そうだぜ? てか良秀さんはどうしたんだよ」

    《良秀は無言でさっき……あれ?》

     今、両方からアルフォンスの声が聞こえたような?

    「どうした? 管理人さん」

    「なんか変なことでもあったか?」

    《…………》

    「えっ……あ、アルが……」

    「2人居るようだな」

    「…はぁ????」








    プロット

    1 導入。 2500〜3000目安
    順調に黄金の枝を回収している。どうやらアルフォンスの住んでいた街には面白い祭りがあるそうだ。どうにか参加できないかとヴェルギリウスに相談するが…?

    2 衣装選び 囚人たちのコーデ。4000字以内
    囚人達は町中に飾られている装飾や衣装に興味津々のようだ。皆思い思いの服を選び、楽しそうに買い物をしている。

    3 衣装選び2 
    服選びのセンスが少し独特なメンバー達に、アルフォンスが気を使ってそれなりの服を買ってきてくれた。本人たち(ドンキ、良秀、グレゴール)は不服らしいが、仕方ないだろう。(可能ならばダロクを入れる)

    4 前夜祭。
    いよいよ始まるハロウィンナイト。住民たちも皆仮面をつけ仮装をして、まるで誰も彼もお化けの一員のようだ。あれ?でも、なんだかアルフォンスの衣装が定まらないみたいで…?

    5 前夜祭。
    2人に増えたアルフォンス。どちらも本物そっくりで、偽物かどうかわかる人は誰一人いなかった。特に危害を加えるつもりは無さそうだし、公共の場で時計を回すのは控えた方がいいとファウストから助言される。

    6 お菓子集め。
    もうこうなったら全力で楽しもう!様々な家に行き、少しトラブルもあったけれど沢山の飴玉やらクッキーが集まる。

    7 ねじれ対峙。(8時のサーカスの残党)
    アルフォンスに化けていた偽物の様子が次第におかしくなっていく。お菓子を貰う度に剥がれていく化けの皮は、まるでねじれのようで…どうして分からなかったんだろう

    8 ねじれ戦(甘いお菓子、あまぁいお菓子がいいな)
    あまいあまいおかし。感覚でわかるはずのねじれに気づけなかったのは、どうやらそいつの固有能力らしい。この祭りの間だけは人とねじれと幽霊は混ざり、被さり、よく分からなくなってしまうんだと。

    9 どうしてねじれたか(ひとりぼっちで寂しかったんだ。)
    僕だってハロウィンを楽しみたかったんだ。仮装をして、普通に。

    10 事件解決後、セパル加入。

    波乱もあった観光が終わり、どうにか全て丸く納まったと胸を撫で下ろす頃。
    やけに耳に響く足音に振り返れば、👻の隣を歩く見慣れない男が映る。
    《…その人は?》
    「最後の囚人です。」
    「どうも〜。 セパルです、フォンと呼んでもいいですよ?」
    セパルと名乗る男は、へらへらとご自慢であろう八重歯を光らせ、金属製の扇を口元に当てる。
    最後の囚人。今まで他にも囚人がいるだなんて話、一言も聞いたことがないんだが。
    《その…詳しく聞いても?》
    「…今開示出来る情報はありません。 あぁ、一つだけ…彼もまた囚人である事実は揺るぎません」
    《………》
    カチカチと秒針を鳴らし、ダンテは考え込む。とは言ってもなんの情報もなく、分かることといえばまた個性豊かなメンバーが増えたことくらいか。
    「ダンテ。 あの時のように星を見てください。」
    《わかったよ…。》
    目を閉じる、という表現が正しいのかは分からないが、グッと脳裏を見るように自身の奥底にある星を見た。確かに赤く、道中で見かけた手のひらみたいな赤く燃える葉の色をした星か煌々と光り、私を待っている。
    「っく……ぁ……?? なんか、すっごい良くない感じですねぇ?」
    「ありがとうございます、ダンテ」
    きゅっと胸を押えて、息が詰まるのか呼吸が荒いセパルを他所に、ファウストは変わらぬ表情でダンテを見ていた


    (11)

    イベント人格。アルフォンス0̸0̸0̸(ボノ) ドンキ0̸0̸(ダロク)

    イベントE.G.O セパルTETH 良秀HE

    視線衣装ショップ 店長 アルフォンス

    視線衣装ショップ 店員 ドンキ




    「なぁ、せっかくだから観光でもしねぇか?」

    「あぁ、いいなそれ」

    「あ! そうじゃん、ちょうど今の時期だな」

    「…? 何かあるの…?」

    「聞いたことねぇか? ""ハロウィンナイト""って」

    「おぉ! 勿論だとも!! かの有名なフィクサー、ジャック殿が語っておりましたとも!!」

    「確かに聞いたことあるかも?」

    「そうそう、秋の終わりを告げて、冬と共にやってくる幽霊を歓迎する祭り。 楽しそうだろ?」

    「あぁ…あのヘンテコな服を着てどんちゃん騒ぎする…」

    「確か子供たちはお化けになりきって家を訪ね、お菓子をくれなきゃイタズラするぞと押しかける話もあります」

    「よく知ってんじゃん? それ結構田舎の方の話なのにな」

    「ファウストは天才ですので。」

    「お菓子か…確かに良さそうじゃねーか」

    《じゃあ、息抜きにでも行ってみようか》

    「「「「賛成〜!」」」」


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