愛らしい花 「ふふ、黒雪。かわいい」
槐の嬉しそうな言葉に気になって黒雪は振り向くと槐に手渡された手鏡に映る自分を見て顔を顰めた。
「槐……これ、」
「ふふ、かわいい。」
「もう……」
嬉しそうに笑う槐に黒雪は怒れくなってしまう。普段髪を結い上げていた黒雪は解かれそして槐の手によって結い直されていた。それだけならよかったのだが髪の間に小花を刺し結われていて、頭の上にも花冠が乗っかっていた。後姿だけ見れば女と間違えられそうなくらいだった。
「槐が嬉しいならいいけどさあ……ま、でもオレばっかじゃ不公平だから槐も!」
するりと槐の髪を慣れた手つきで解くと黒雪は器用に槐がしたように髪の間に小花を刺していく。
「……く、黒雪、上手ね」
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