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    キノモト

    公に載せるには難しい絵を上げるためにはじめました

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    キノモト

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    HELLHOUSE 46〜60 あらすじ

    ##HELLHOUSE

    HELLHOUSE 46〜6046*HELLおもち47*デンタル・ヤブドクター48*カップめん49*バズるな危険50*行くぜ!遊園地51*カテキョー1番52*身を粉にする勢いで53*どこ行った塩見54*yay yay おマツリじゃい!55*キメラれる?56*マグロ投げ57*腐れ外道のチョコレート工場58*インストラクター・ザイオン59*はじめてのおつかい60*偽狂人、本物への道 サードチャンス46*HELLおもち未だ年明け気分でわいわいと三ヶ日を楽しむ皆の衆。お箸で餅を伸ばしてお雑煮を食べる†琉魔†。同じくおしるこの餅をつまんでいるヘルメス、その箸は震えている。隣に座る1番が、お箸でヘルメスの頬をつまんでいるからだ。
    「ヘルメスはオモチじゃないよ〜、やめなよ〜」
    ケタケタしているザイオン。
    (早く、早くこの場から去らないと……いつ噛み付かれるかわからん!!)
    急いで餅に食らいつくヘルメス。が、強い咳込みと共に床へ倒れ込んでしまった。
    「にぃっ、ヘ、ヘルメス!」
    驚き、立ち上がる†琉魔†。
    「殺ったか!?」
    ゲスい興味を示す恐。
    「い、いや、僕じゃなくて、餅……」
    (……うん?でも、窒息してるということは、ヘルメスはここから動けないということだ。ということは、ということは……?)
    「うわー!!ヘルメスを襲うのはやめろー!!」
    「背中叩くからタオル用意して!」
    「ここにいたキメラ138号でもいい!?」
    「ダメ!!」
    「はやく救急車呼んでくれ、塩見!」
    「もしもし、ヘルメスが餅を詰まらせて倒れました」
    《……ヘルメス?》
    皆が1番を全力で引き剥がし、また応急処置と救護が共に間に合って、病院に運ばれたヘルメスは意識を取り戻した。ひとまず、数日間は経過観察のため入院ということになった。
    「年明けなのについてないな……」
    「パソコンでの任務とやらは平気なのか?」
    「あ……それは欲しい……かも」
    兄弟の空間に入り込んできたのは、アタッシュケースを持った宮井と大きなリュックを背負ったザイオン。
    「君の大事な忘れ物だよー」
    「入院生活ってつまんないでしょ!」
    (そうだ、俺って病院のベッドから逃げられないじゃん)
    身体は元気なのに経過観察で動けない。そんなもどかしい状況のヘルメス、先住人のお見舞い(という名の洗礼)に耐え切れるか!?

    47*デンタル・ヤブドクター聞き齧りで行う医療行為ほど怖いものがあるだろうか……
    「おや、塩見。顎抑えてどうしたの?口開けてご覧……虫歯?なんだかちょっと欠けてるような。」
    「虫歯とは人間も大変なものだなァ」
    「俺もそろそろ本部の医者に検査してもらわないとな……」
    そんな3人(+1人)の会話に聞き耳、立ち上がるザイオン。
    「おお?患者!」
    次の瞬間、薄暗い部屋でお手製の台に乗せられている3人……本人曰く「本物の医者より早く処置する方法、見つかったかもしれないから実験したい!」とのこと。ザイオンが歯医者?キメラが下や上で這ってたり、よくわからない薬剤を注入されたりするかもしれない……
    虫歯疑惑の塩見、クリーニングがしたかっただけの ヘルメス、なんでもないのに巻き込まれた†琉魔†の運命いかに!

    48*カップめん†琉魔†は時々食べる深夜のカップ麺が好き。手書きの手紙(田中家が喜ぶので)を書いて地元限定のカップ麺を仕送りしてもらっている。ところが越してきてからというものの、夜な夜なお湯を入れている様子を見られるとオニクスに「僕の食事まずかった?」と聞かれるので、食べづらくなっていた。
    そんな感じでうっかりバレたある夜の話……
    「また食べてる!」
    「げぇっ」
    ペットを連れているオニクス。
    「し、"衝動"が抑えられずだな……」
    「悪魔の味覚に僕の料理は合わないの?」
    「い、いや、オニクスの料理も美味いと思う!だがな……」
    ドアが開く音で3人が振り返ると、目をこする恐の姿があった。
    「?なんで?」
    「なんでって?」
    「いつも夜8時に寝て朝6時に起きるって決まってんだよ」
    あくびをする恐。
    「午前6時にあ〜たらしい朝がきた〜♪って爆音の目覚ましが流れ始めるから、ペットが喚き出して……」
    (ヘルメスがGONTZ?って言ってたやつか……)
    「お前のカップ麺の匂いで起こされた」
    恐の強面っぷりにガタガタしているペット。そして†琉魔†の方を見つめる。何度か交互に見つめた後、なおさら震え上がった。
    (同類じゃないんだけどなぁ〜〜)
    「ん?そのカップ麺のパッケージ見たことないな」
    そこから始まる深夜メシストーリー

    49*バズるな危険珍しく頭を抱えている恐。宮井が声をかけても「うるせえ!」といつも以上に突っぱねて、飯を食らったらさっさと帰る有様。
    †琉魔†が腑に落ちない様子で部屋に戻ると、スマホに通知。恐から部屋に来いという連絡……
    「この前不祥事があって潰れたアイドル事務所あるだろう、うっかり巻き込まれてグループのバックダンサーをやらされたんだ……」
    「件のグループを含め所属タレントは全員色々な事務所に移ったんだが」
    「ほら、見ろよ……これ!」
    恐のガラケーには薄紫の長髪を揺らして踊る美少年の姿が。
    「お前?」
    「そうだよ!!」
    「……『あなたヤケに顔色悪いわね』とか言われてファンデーションとかコンシーラーとか塗りたくられ着飾られた結果だ……」
    「で、これ……調べてみろ」
    †琉魔†のスマホには【100000年に1人の美少年】と付けられた投稿、膨大な数の高評価、コメントには顔がいいだの一生の推しだのと言った内容が殺到。
    「……それで、今回の騒動でもこの架空のバックダンサーが他の事務所に移っただろうと。そう勝手に考えた"ファン共"がレターやプレゼントや花束をどんどん届けた結果、どの事務所も困惑している始末だ」
    (……え、リハーサルで振り付け覚えたってこと?そっちの才能あるんじゃ……)
    「いいじゃん」
    「よくない!」
    「なぜ?」
    「虫唾が走る!」
    「反吐が出る!」
    「足がつく!!」
    「即ち、他者の人生を身勝手に潰せなくなる!」
    「………」
    偽の狂気で覆いきれない嫌悪を見せる†琉魔†。
    「手伝ってくれるよな……お前のことだからな、琉魔……」
    肩をがっちり掴む恐の顔には余裕がなく、そして†琉魔†に断る余裕もなかった。
    そんなこんなで部屋から出てきた2人を見つめて思う塩見。
    (偶像崇拝……)
    塩見が遠巻きから見つめる中、火消し作戦は水面下で進行していく……

    50*行くぜ!遊園地年始すぐにやってきた全員揃った休日は……遊園地で過ごすことに!
    ジェットコースターに乗せられ叫ぶ†琉魔†!真顔で腕組みをする恐!メリーゴーランドに乗せられる塩見!それを撮る宮井!空中ブランコで優雅に髪を靡かせるオニクス!ノーリアクションの1番!苦笑いで傍観するヘルメス!グッズコーナーから一歩も動かないザイオン!
    そして全員で入るお化け屋敷。ガチレス、反射攻撃、噛みつきでお化けスタッフ側が心身共に負傷。何も悪くない田中兄弟もろとも出禁を食らうとともに、お化けより人間が怖いという感想……
    それぞれアトラクションの隙間に買い食いをするが、宮井が1番に渡しておいたキャンディ(血肉味)が底を尽きてしまう。ヘルメスに連れられて仕方なく買った串焼きBBQ味を食べるものの、おいしくないとボヤく。
    そんな顔を見た宮井が気を利かせ、遊園地を早めに切り上げた後、全員を焼肉屋に連れて行った……

    51*カテキョー1番リビングにいたのはオニクス、ペット、ヘルメス。キッチンの向こうからは夕飯の香りと、ペットのうめき声と会話しているオニクスの声。
    「いい具合になったら呼ぶから待っててね」手伝いの誘いは不可抗力だった。とはいえ、何もしないで待つのも気が狂いそうだったので、休み明けの試験勉強をして気を散らしていた。
    そんな試験勉強も苦手分野に差し掛かり、ため息をつくヘルメス。そこに、何かとオニクスと遭遇率が高い1番がやってきた。
    オニクスもそうだが1番もヘルメスにとっては天敵。無言で開かれたノートを見つめてから、ヘルメスの顔を見つめる。
    「わ、わかるのか……?」
    声を無視して部屋に戻ったと思えば、1番は傷んだノートを持ってきた。
    「僕がやっていた所……」
    1番がテーブルにノートを開くと、血がべっとりとついた中身。
    (うげっ)
    「僕は、言われただけじゃ理解できないようなデクノボウで……。だから、こうやって書かないと覚えられなかった」
    (血がすごくて読みづらい……メンタルにくる……)
    (とはいえ、デクノボウと自称する割にはわかりやすく書かれている)
    (一応家にザイオンはいるものの、教わっても頭の回転についていけない。これくらいわかりやすければ、教わっても……)
    (……いや、もっとも重要な問題がある!)
    真面目な顔をする1番。
    「教える代わりに、半身を食べさせてほしい」
    (命と引き換え!!!)
    「……前から気になってたけど、な、なんでそんなに俺の身体食べたいんだよ……」
    「あの……ヘルメス……君の姿を見てると、僕は……食べたくて食べたくて気が狂いそうで……。」
    「もう…こうなったら、先に食べちゃった方が、楽になるんじゃないかって……!そう、僕は覚悟を決めたんだ……!」
    ヘルメスの手首を掴んで押し倒そうとする1番。
    「やめやめやめやめやめ決めるな決めるな、俺はまだ教わってもないから!」
    「そ……そっか」
    手を離してシュンとする。
    「でも、半身喰われたら、いくらなんでも俺自身が死んでしまう……。」
    「じゃあ……どうすればいい……?」
    「どうすれば……」
    考え込むヘルメス。野菜を炒める音。紛れるペットの苦悶。
    そして美味しそうな音には聞く耳を持たないようにヘルメスを見つめて、お腹を鳴らす1番……
    (いかにも待ってくれなさそうだ、どうしよう、どうしよう……)
    正座する1番の圧に汗をダラダラ垂らすヘルメス。
    「こうしよう!まず1番に俺が教えてもらい、それで途中途中で練習問題を挟む!俺が間違えたら1噛みしていい!」
    「ほ……ほんと?」
    目を輝かせる1番。
    そしてはじまった夕食前の勉強会。時々あからさまに難易度高めな練習問題を出す1番、難しさに負けるたび痛みに叫ぶヘルメス。
    「あはは、仲良しだね!僕らも仲良し、ね〜」
    「んむーーー」
    ヘルメスは問題を全て解き終わる前に、喰われ殺されずに済むのだろうか……

    52*身を粉にする勢いでズタボロになりつつも、なんとか生き抜いて文字通り勉強をその身に叩き込んだヘルメス。間髪入れずにオニクスが手伝いの呼び出し。おせちで余った生肉の臭みとりをしてほしいとのこと。
    「モモとか、そういう部分のお肉。冷凍してたぶん味が落ちてるから、味付けつつだよ」
    「な、なんかデカくない……?」
    「そりゃそうだ、人間だもん」
    「………」
    張り付いた笑顔に涙を堪えるヘルメス。気を失うペット。
    「ほら、ちゃんとやって。こっちの用意ができちゃうから」
    「じゃないと、次は君の番だよ〜〜」
    肩を組みながら大きめの生肉を指差すオニクス。
    「ヒィィィ!!!」
    「なんてね!相変わらず冗談を真に受けるフリがうまいな〜、あはは」
    「は、はは……そうだよ、な……」
    ねっとりべっとりとした生肉に、満面の笑顔で視界を潰しながらスパイスをふりかけるヘルメス。
    (ごめんなさい、ごめんなさいぃ)
    そんなヘルメスのお手伝い・罪悪クッキング。オニクスの手伝いをすると、やはり嫌な所で一人暮らしの経験が光ってしまうのだった……

    53*どこ行った塩見朝早くから6号室にドアを叩く音。
    「塩見を見なかったか!」
    ひどく狼狽している宮井。
    「今夜塩見に仕事を任せているんだが、どこにも見当たらないんだ。他の人にも聞いたが、口を揃えて見ていないと……」
    「君たちも?」
    「そうだな……」
    「見ていないね」
    「そうか……」
    壁をぶっ叩く宮井。
    「塩見は……心の拠り所なんだ。」
    「いつも紅茶を淹れながら僕の話を聞いてくれて、喋りも笑いもしないがいつもついてきてくれて、任せた仕事も僕以上にこなしてくれて、なにより絶対に離れず側にいてくれて……」
    「なのに、なのに……」
    「僕を置いて、どこに行ってしまったんだ…!」
    「いなくなってどれくらい経ってるんだ?」
    「1時間」
    「えぇ…。」
    調べた結果、塩見は山手線に乗ってぐるぐる回ってるだけだと発覚。宮井を含めた捜索隊が追いかけるが、すれ違いが多発して難航し……

    54*yay yay おマツリじゃい!都立平穏安息高等学校30回目の開校記念日、文化祭ほど盛大ではないがお祭りをすることになった。再び準備で忙しくなる田中兄弟。
    1年の竜真が所属するクラス。
    「そういえば文化祭の時に綺麗なお兄さんたちが来てくれてたよね」
    「あの人たちって竜真が住んでるシェアハウスにいたんだよね?かっこよかったなあ〜」
    「また来てくれたりとかしねえのかな」
    「ア・・・・・・」
    2年の叶人が所属するクラス。
    「お前の連れにさ、めっちゃ嫌な厨房いたよな」
    「腹いせにあいつ売り子としてこき使おうぜ」
    「エ・・・・・・」
    6人に対して、クラスメイト側から突然のスカウト。田中兄弟の校舎に、再び狂人軍団がやってくる!?

    55*キメラれる?「思うところがあるんだ……キミたちには、オカルト的な何かがあるって!」
    「はぇ」
    「琉魔は身体を乗っ取った悪魔、塩見は冴え渡った勘。昨日、こんな事を思いついて寝れなくなっちゃった。キミたちを合成……そう、つまりキメラにしたら、どうなるか!!」
    「???????????」
    そしてリビングにホワイトボードを持ち込み、A体やらB体やらといった図解で2人に解説し始めるザイオン。
    さあ実験だ!その瞬間、宮井に見つけられてしまう。烈火の如く怒られた末、今晩のディナーにされかけるザイオンだった。

    56*マグロ投げ今夜は†琉魔†と1番の2人きり…
    1番が珍しく宮井がかけたであろう毛布にくるまって、リビングのソファに寝ている。
    (1番も自室以外の環境に慣れたのかな)
    見つめる†琉魔†。ホットミルクを飲んだり、すこしお菓子をつまんだりして、向かい側のソファで物思いに耽る。
    安心しきっていい話で終わりそうな時、
    「お腹すいた」
    1番とバッチリ目が合う。
    「喰われる!!!!!」
    リビング深夜の大騒音、逃走活劇。命からがらキッチンに入り込んだら、行き止まりの冷蔵庫。
    そこで見つけ出したマグロの切り身!焦った†琉魔†はラップを引きちぎり、勢いよく1番の顔面に叩きつけた!
    「うまいか!?」
    「……それなり…」

    57*腐れ外道のチョコレート工場バレンタイン。外部との接触が少ない傾向にある先住民には縁がない人の方が多い。だが、田中兄弟は校舎内の下駄箱と机とロッカーに飛び交うチョコレートの争奪戦に巻き込まれ、帰路に着いた。
    「義理ばっかだぜ……」
    「俺もそうだよ」
    「ヘルメスのことだから、もう少しモテてるかと思いこんでたんだが」
    「いやいや、そんなことはないね。こういうのはクラスの人気者に集中するもんだよ」
    リビングに入ると、なぜか甘い香りが……そして大量の高級チョコの空き箱。
    「宮井、琉魔たち」
    「ああ、おかえりなさい」
    洒落たスーツ姿で笑顔の宮井。エプロン姿でキッチンに立ちっぱなしの塩見。
    「こ……これは」
    「取引先の何人かから最近よくもらうんだ。けど、僕好みの味じゃなくてね……。」
    覗き込んだ時に薄気味悪いマーブル模様の香りを吸ってしまい、胃酸を堪える†琉魔†。
    「それに僕は、誰にでも好意を振りまくってわけじゃない。この家の住人は大好きだよ。でも、それ以外はどうでもいい。わかった?」
    「ファ、はい」
    小箱をひっくり返し、ボトボトとチョコを入れていく宮井は目だけが笑っていない。ヘルメスがゴミ箱を見ると、開封されていない手紙やハート型のカードが……。
    (邪魔したかも)
    (邪魔しちまったかも)
    「じゃあ、俺はこれで……」
    「失礼するぜ……」
    その場から立ち去ろうとする田中兄弟。だが、次の瞬間、宮井が発した言葉に戦慄した。
    「ああ、それと……僕がやっているのは、今晩ここでやるチョコレートパーティの準備。手作りチョコにチョコレートフォンデュを振る舞うんだ。2人とも、ちゃんと来るんだよ」

    58*インストラクター・ザイオン「部屋に篭りっきりじゃ不健康だね」
    入居後から宮井からやんわり言われているのはザイオン、1番。とはいえ繰り返し文句なので、それなりに運動不足を気にしていた。
    ザイオンは"軟体的な何らか"のDVDを輸入。そしていつもより身体の縫い目を曝け出している、トレーニングウェアで1番の部屋のドアを叩く!騒音で起きてしまい、部屋から飛び出したヘルメスは案の定巻き込まれてしまう……
    「見るんじゃあなかった……!!」
    同じくトレーニングウェアを着させられる2人。何一つ言ってることがわからない映像をバックに、臓物はみ出るボロ泣き流血騒ぎが始まる!

    59*はじめてのおつかい「今度の取引で相当なお金が入るから、何か1つずつ好きなものを買ってあげるよ。兄弟」
    「「やったー!!」」
    「ただし、僕の"おつかい"をやってくれたらの話だ」
    喜んだのも束の間だった。宮井から持ちかけられたのは、塩見と同じく1日だけ宮井の付き人になること。……来日しているマフィアとの密会で。
    兄弟2人は、「死なない程度の」踊らされ役になってしまう……!

    60*偽狂人、本物への道 サードチャンス自らの身体をいじくりまわしているザイオンだったら、頑丈そうだから殺され役にぴったりだ!そういう魂胆で、またもや殺人練習をさせられるヘルメス。
    ソファに呑気に座る恐と琉魔。
    「ア〜〜人生壊してえ〜〜」
    「恐の人生壊したいっていうのは僕らのお腹すいたとか、そういう何気ない欲求だね。暖かく見守っとこう」
    そんな2人を背もたれ越しで肩組みする宮井。
    (相変わらずデカイ。殴られたら一発で死にそう)
    「そ、そういうこと、だよな!!」
    「お前と一緒にするな!」
    一方でヘルメスは、"しっかりとしたナイフ"を持たされ、リビングルームで皆に囲まれながら、ザイオンと向き合う。
    今度こそ殺人行為から逃げられない。和やかな雰囲気の中で1人プレッシャーに立たされる。
    「ね〜、いつもおしゃべりしてる仲なんだから、そんなに緊張しなくていいんだよ〜?」
    「俺、今から殺そうとしてんですけど!!」
    その腹にナイフを突き入れようとした瞬間、キメラに内臓を貫かれ阿鼻叫喚。ヘルメスの顔面に血の"成れ果て"がぶっかかる!
    恐は手を叩いてゲラゲラ笑い、オニクスは「も〜、キメラがいるなんて聞いてないよ。殺人練習はいいけど静かにやってよね」と体液と散り散りのキメラと内臓でマリアージュされた床を拭き、宮井は和やかに笑いながら拾い奪い、塩見はそれを見つめたまま、ザイオンは平気な面して「ちょっと、ボクの!!返せ!返せ!」と赤黒い足跡をつけて走る。
    ぽつんと肩にキメラが乗っかり、真っ白いウニクロパーカーを血の"成れ果て"で染め、その場で固まるヘルメス……ツラに笑顔を固めたまま、言葉にならない言葉を漏らし、失禁してしまう……。
    (誰の価値観も共感できないんだが)
    独り言を思う琉魔だったが、
    (でも……本当は強いのに、その身を弁え、体を張って、エンターテイメントに徹するにいちゃんって……やっぱり本物だ……!)
    震えが止まらない。
    (あ……あれ……オレもそういう、エンターテイナー……的な、素質、あるってことかな……)
    「は、はへへ……」
    「あ!琉魔まで!ザイオン洗濯どうしてくれるんだよ!」
    「恒例行事にしようぜコレ」
    「僕も賛成かな、何てったって、ザイオンの内臓、収穫できるからね!」
    「ちょ、ボク、こーなるのイヤなんだけど!!宮井、宮井!!!」

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