向日葵の肖像午後の光が斜めに差し込む羊小屋の中で、メリーベルは羊たちの毛を梳いていた。白い毛糸が指の間を滑るように通り抜けていく。規則正しいリズムが、小屋の中に静かな時間を作り出していた。
「メリーちゃん」
ルシファーが小屋の入り口に立っていた。灰色のマントが風に揺れて、まるで影のように見える。彼はいつも音もなく現れるのだった。
「ルーシー」
メリーベルは手を止めて振り返った。
「どうしたの?」
「あの……よければ、ボクと一緒にお出かけしない?」
彼の声は相変わらず小さくて、羊たちの小さな鳴き声に混じって消えそうになる。
「きれいな場所を見つけたんだ」
メリーベルは羊の毛糸を籠に入れると、杖を手に取った。三日月の鈴が、小さく澄んだ音を立てる。
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