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    Lize

    @due_0912

    twstの落書きと書きかけの小説進捗
    落書きは落書きだし小説は推敲してない

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    Lize

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    ハロウィンを楽しむ弟妹と巻き込まれる兄

    お兄さまと一緒にハロウィンを祝うの!十月末。花の街は活気溢れていた。
    ロロ・フランムはそんな街の姿を鐘楼から眺めていた。今日は休日という事もあったが、浮かれている人々を後目に鐘楼の掃除をしていた。いつもの習慣だったが、今日は念入りに掃除をしていた。何時もは掃除をするロロの周りを囲んでいるガーゴイルたちは、街の祭りを鐘楼から見ているらしい。いつもこうであればいいのに、と思いながら鐘を磨いていた。
    そんな彼の元へ足音が近づいてきた。どうやら誰かがやってきたようだ。おぼつかない足音で、数歩歩く度に数秒聞こえなくなる。鐘楼の昇降に慣れていない者だろうな、と彼は気に留めずにいた。
    「か、かいちょお……」
    「なんだ、お前か」
     やってきたのは副会長だった。息を切らし、膝に手を当てている。ロロは溜息を吐き、副会長の元に近づいた。
    「何の用だ。今日は街へ遊びに行くのではなかったのかね」
    「そ、そうなん、ですけど……」
     何かしら問題が発生したのか。ロロは眉をひそめた。
    「何かあったのかね。手短に話したまえよ」
    「ジャンくんが」
     弟の名前を聞いてロロは大体想像がついた。その先を聞かずに地上へ戻る階段の方へ早足で向かった。
    「お兄さまぁ!」
     そこへ副会長をここまでやってこさせた元凶の声がした。少年の可愛らしい声。兄であるロロは右手で額を押さえた。
    「お兄さま、ここにいたの!」
    「お兄さま!探したの!」
     弟の後に続いて少女の声もした。ジャンとよく一緒にいる「妹」だ。ジャンと瓜二つの少女だ。
    二人はどうやら魔法で鐘楼を上がってきたらしく、手をつないでふわふわと浮いていた。
    「お兄さま見かけないから副会長くんと補佐くんに聞いてもらってたの」
    「そしたら一緒に探してくれるっていうから探してもらってたの!」
    「……何の用だ」
     兄の質問に対し、二人は満面の笑みを浮かべて答えた。
    「お兄さま!今日はハロウィンしようよぉ」
    「ハッピーハロウィンなの!」
     花の街では十月三十一日にハロウィンを祝う習慣はない。しかし、この弟妹たちはそれをしたいと言っているのだ。たったそれだけの為だけに副会長を疲労困憊にさせたのかと思い、ロロは副会長を哀れに思った。
    「……お前たち、ハロウィンが何か知っているのか?」
    「馬鹿にしないでよお兄さま!知っているもん!」
    「ナイトレイヴンカレッジの人たちに教えてもらったの!」
     二人して頬を膨らませて反論する。少しばかり可愛らしいと思いつつも、ロロは顔には出さなかった。
    「仮装してカボチャの料理食べるんだって!」
    「僕たちお兄さまの為にいっぱいご飯作ったの!」
     自分の知っているハロウィンとは少しばかり違う。悪名高きナイトレイヴンカレッジの生徒に騙されたのか、彼らが話半分に聞いて情報をごちゃ混ぜにしたのか。どちらも無いとは言い切れない。ロロは腕を組み、人差し指を二回、こつ、こつ、と動かした。
    「で、お前たちはその様におかしな装いをしている……ということなのだな」
    「おかしくないもん。僕は悪魔の仮装なの!」
    「僕は可愛いシスター!」
     作ったのか、買ったのか知らないが、二人とも奇抜な衣装を身に着けていた。確かに言われてみれば弟は悪魔、妹はシスターのような装いをしていた。魔法で生やしているのか、弟は頭に角と尻に尻尾を付けていた。
    「お兄さま、お昼まだでしょ?いっぱいご飯作ったから一緒に食べようよ」
    「僕たちが作ったから絶対に美味しいよぉ」
     二人とも母譲りで料理上手だった。ハロウィンやら仮装やらに興味のないロロだったが、昼食くらいは付き合っても良いだろうと思い、二人について行くことにした。
    「わかった。わかった。昼食くらい付き合ってやる。故に、その様な格好でうろつくんじゃないぞ」
    「大丈夫だよ、お兄さま」
    「ご飯食べたらお部屋でえっちするの!」
    「……は?」
     開いた口が塞がらなかった。確かにこの二人は可愛らしい見た目をしているが、食欲と性欲が誰よりも強く、ロロも頭を悩ませているところであった。後ろで兄弟の会話を笑顔で聞いていた副会長も苦笑いに変わっていた。
    「悪魔のしぴちゃんがシスターの僕を誘惑しようとしたら返り討ちにされちゃった!ていうえっちするの」
    「ちょっと、しぴ!それは恥ずかしいから言わないでよぉ!」
    「えへへなの!」
     妹の方は舌をぺろっと出して悪戯っ子のような表情をする。それに対して弟は口を尖らせて不満げな顔をしていた。そんな二人を後目に兄は階段を降りようとした。しかし、それを見て弟妹たちは兄の両脇を抱えた。
    「な、何をする」
    「魔法で飛んでいった方が早いもん」
    「お腹すいちゃったから早くお部屋戻ろうよぉ」
    「みだらに魔法を使うんじゃない!こら!やめなさい!」
     兄の制止も聞かず、二人は魔法を使ってロロを連れ去ってしまった。
     されるがままの会長の背中を見て、副会長は息を吐いた。
    「……さて、僕もここから降りないと……」

    (了)
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