夜の店先で待ちあわせ「……」
夜の闇の中、万屋街の通りに居並ぶ店達は明かりが灯り、通りに人出はまだまだある。
そんな中、白い息を吐き出しながら、とある店の前で立つ刀剣男士。
はあ、とまた白い吐息が冬の空気に溶け込んでいく。
真冬の夜は、気温も日中よりも遥かに下がり、今晩は氷点下らしい。
軽装の中にたっぷり重ね着をし、羽織も羽織った状態だが、やはり寒いものは寒いのだろう。
身を縮こませ、手は袖から出そうとせずに、ただただそこに立っている。
闇のように溶け込んだ着流しの色、その上に羽織る羽織は濃い墨色の軽装姿。
「…毎回思うのだが、何故店先で待ちあわせをする」
そんな刀剣男士に声をかけるのは、こちらも軽装姿の刀剣男士だ。
「……」
寒さでついに震え始めている、店先の刀剣男士に手に持っていた襟巻きを巻いてやる。
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