「ラマットラは対等でいてくれるからあたしのことが好きって言ってたけど、今までに対等でいてくれる人は居なかったの?」
「居るにはいたが、段々と疎遠になる者もいれば、私を知って離れていく者もいた。君ぐらいだ、ずっと隣でやかましくしているのは」
「あはは、やかましいんだ」
「静かな方では無いだろう」
「ないね。でもうるさくないと心配するでしょ?」
「そうだな、どこか悪いのかと疑う」
「安心してよ、ずっとやかましく居てあげるから」
「フッ…君らしいな」
「そうでしょ?」
「君は、何故私の隣に居ようと思ったんだ?」
「んー…最初は意地だったかも。なんとしてでも認めてもらいたいっていう。人間とかオムニックとか関係なく、あたし個人を見てもらうんだっていう意地」
「なるほど」
「で、意地を張ってるうちに、ラマットラの優しさとかが垣間見えて、段々と好きになっちゃったんだよね。この人なんでこんなに不器用なんだろうって」
「…不器用なところに惚れたのか?」
「あはは、それだけじゃないけどね」
「そこに惚れたのは事実なのか」
「放っておけないなってのはあったよ。でもそれ以上に隣に居たくなっちゃったんだよ、あたしが。もっと知りたいし、もっと近くにいたいって欲が出たの」
「知りたいことは知れたか?」
「いいや、まだまだ知りたいことだらけだよ」
「ほう?例えば?」
「そうだなー…明日の朝ごはんは何を作ってくれるかとか?」
「…フッ、そんなことか」
「ふふ、だから毎日いつでも知りたいことだらけだよ」
「私の全てを知っていたいということか」
「そんな感じ、ふふ」
「知り尽くすには時間がかかるぞ。それこそ離れられないほど」
「本望だね」
「本当に私と生涯を共にするのか?」
「今更聞くの?当たり前じゃん。これだけ甘やかされて離れろなんて言われたら泣いちゃうよ」
「君が泣いてるところは見たことがないが」
「……えーん。って感じ?」
「フフッ…随分下手くそな嘘泣きだ」
「あまり泣かないからね」
「そうだな、私の前では素直に泣いてもいい」
「まあ、泣くようなことがあったら泣くよ。その時は胸を貸してね」
「もちろんだ」
「どうして泣きたい時に借りられないの」
「すまないな、私にも予測不能なことはある」
「もう喋らないで。絶対に直してみせるから」
「この身体では、もう無理だろう」
「無理じゃない。あたしがあなたを死なせない」
「フッ……君の根拠の無い自信や言葉はいつも私の支えになっていた」
「やめて」
「私を救ってくれるか?」
「────、───」
「……ああ、よく聞こえんな。もっと近づいてくれ」
「──」
「もう時間が無いようだ」
「───!!───!!」
「私は…君を、愛している」
「───────」
「……」
「気がついた?」
「……私は」
「ふふふ、言ったでしょ?有言実行!絶対に死なせたりしないんだから」
「フ…そうだったな。君はいつでも有言実行…頑固とも言えるが」
「起きていきなりそんなこと言うの?いじわるだなあ、もー…」
「いいや、まずは修理してもらったことを感謝しよう。助かった。そして、もうひとつ言わなければならないことがあるな」
「うんうん」
「君をこれからも愛していく」
「わあお、予想と違ったわ」
「嫌か?」
「嫌なわけないでしょ?あたしだって大好きなんだから」
「そうか」
「照れてる照れてる」
「そうだな…君の真っ直ぐな愛情に私は絆されてしまったようだ」
「ふふふ、冥利に尽きるってやつだね!」
「こちらへ」
「……」
「どうした」
「胸を貸してくれる?」
「そうか…いいだろう」
「おかえりラマットラ」
「ああ」
「今回は本当に死んじゃうかと思った」
「そうだな」
「もう無茶しないでね」
「善処しよう」
「うん、そうして」