年越しパーティに一区切りがつき、このまま朝まで飲む者もいれば帰路につく者もいる。俺は壁際の席でロックグラスを持っていた。先ほどまで主催と話していたが、ソイツがバーテンダーとして呼ばれていったのを見送ったところだった。
悪くない気分だ。だがそろそろ俺も帰ろうか。
満たされた腹を抱えアルコールの入った頭でそんなことを思う。頭の片隅で気の緩みすぎだと眉を寄せる自分がいた。だが、この居心地の良さと気分を手放して凍える外へ出ていくには腰が重かった。
「やあクリプト。楽しんでる?」
「……ああ」
鈍った思考でぼんやりとしながらグラスを揺らしていると青いロボットが俺の元にやって来る。
「お酒の追加は必要?」
パスファインダーは手に持ったシャンパングラスをもう片方の手で示した。中身は年越し直前に会場で振舞われた酒だ。俺は既に手持ちの酒があったから断っていた。その手持ちの酒は今は残り僅かで、それもほとんど水に溶けている。受け取ろうか、断ろうか。迷って言葉を探しながらパスファインダーを眺めた。
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