褒美「腕を上げたな、利三…お前と共に在れること、心強く思う。」
今日の試練での言葉、利三は心の中で繰り返し噛み締めていた。
いつからだろうか、利三は己は既に今が限界なのでは…幾度と無く自問自答して来た。
その度に否と答えたとてそれを証明する術がなく、常に己への不満が付き纏っていた。
この様な状態では光秀の家臣として、まして右腕として名乗るなど烏滸がましい。
そんな思いに漸く終止符を打ったのだ。
「はぁ…」
深く呼吸を吐き出し、再度光秀の言葉を噛み締める、それは己で掛けてしまった呪縛から解き放つ言葉でもあった。
家臣としての誇らしさ嬉しさの中に、安堵の気持ちも入り混じる。
明智光秀の家臣、斎藤利三の中にはもう一人大きな存在がいた。
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