大王様が右左（またの名をワドルディの学級会）■大王様が右左（またの名をワドルディの学級会）

ここは呆れるほど平和なプププランド、その平和な国にある自称大王様の立派なお城にある鍛錬場。
そこから普段は聞こえてこないような怒声ともいえるような複数の声が響いていた。

だっ、かっ、らぁぁぁぁぁっ！！！なんでこの尊さが理解できないかなぁ！！

はぁぁぁっ？！？！？！それはこっちのセリフなんですがっ！！そっちこそなんでddkbの素晴らしさがわからないんですか？感情ないんですか？？？

鍛錬場の真ん中で青いバンダナを着けたワドルディ（バンダナワドルディ）とスクエア型の眼鏡をかけ、腰に試験管の付いたベルトを装着しているワドルディ（調剤ちゃん）が至近距離でメンチを切りあっていた。

は？感情バリッバリですけど？そっちこそmtdd=至高ってことをその小っさい脳みそに刻んでくださいますぅ？

お言葉ですが！ddkbこそ最上なんです！！！お互いに一歩も譲らぬライバル同士から、相手の力量を認め合い、そこから発展する関係性の素晴らしさが何故伝わらないんですか？！

鍛錬場には大勢のワドルディ達が埋め尽くすようにして二人を見守っていた。そして二人のワドルディの言葉に呼応するよう歓声を上げていた。

そっちこそ主従関係から発展する大人な関係性がどうしてわからないんだよっ！！いいですか？お互いの力量がわかっているからこそあのピンクに打ち勝つため、お互いに手を取り合い協力して、最終的にお揃いの仮面までつけちゃって、まぁぁぁぁっ！！！

そこまで一息にまくしたてるような大きな声で言ったところで、ふぅふぅと息を整える調剤ちゃん。
そんな調剤ちゃんのもとに小さなワドルディが駆け寄り、水を一杯渡した。

あ、助かります。………ぷはぁぁ。それに！普段あんなに自信家なのにちょっと繊細な、というか泣き虫なところのある大王様が信頼しているナイト様に責め立てられて≪ピー－－－－－－－－ッ≫するのとか最高じゃないですかっ！！！

そう言い切ると周囲にいたわにゃ達の半分がわにゃー！と歓声を上げた。
その歓声を受けて周囲に向かってわからねぇやつ、いねぇよなぁ！！！なんて大声をあげている。

はぁぁぁぁっ？大王様は攻め！右なんですぅっ！！！大王様の何を見ていらしたんですか？強気の大王様の格好良さ、凛々しさ目に入ってますかっ？？？

それに！宿命のライバル同士である大王様とカービィが共闘するときのあの全幅の信頼感がわかりませんか？！それにカービィのハンマーなんて、大王様を意識しまくりじゃないですか！！！大体あの強気の大王様がぐいぐいリードしていくところがいいんじゃないですか！！

そうバンダナワドルディが言い放つと周囲にいたもう半分くらいのワドルディ達がわにゃー！と歓声を上げた。
鍛錬場の中のボルテージはどんどんと上がっている。
お互い一歩も譲らない主張をぶつけ合う二人の討論？に触発され、周囲のワドルディ達の目に宿る光がだんだんと剣呑なものへとなっていく。そろそろいつもの場外乱闘になりそうだ。

先ほどよりも大きな声が鍛錬場の入り口の扉から音が漏れ出ていて、城の主が扉に左手をかけ右手で頭を押さえていた。入り口で固まり、ぶつぶつと何かをつぶやいている大王様に見回りでやってきたワドルディが声をかけた。

…あー、大王様？あいつらおかしいんです、気にしないでください。
そうにっこりと大王に優しく笑いかけたワドルディはいまだにぶつぶつとつぶやく大王の手を引き、鍛錬場を後にした。