悪魔パロ 下②グレゴールが1年中眠るようになってから、ムルソーは毎日エネルギーを擦り減らしてアイツの状態を保っていた。
元々、俺が貰っていた筈のエネルギーが、アイツに注がれてる。
正直、気に入らない所はあった。
ムルソーの角を折ろうとしたのを俺は忘れていないし、そもそも俺達二人ともアイツに殺されかけた。
自分が招いた因果とは言え、未だにその事が胸に残っていた。
「……気に入らないのか?」
「え?」
「視線から漏れているぞ。」
たった今、グレゴールにエネルギーを使ったばかりのムルソーがこちらを振り向いていた。
「……」
何故か、否定も肯定も出来なかった。
本来なら否定しなければならない立場だと言うのに、否定も出来ず、首を横に振る事も出来ず……ただその場に立ち尽くしていた。
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