気付きの話。「なあ、ライってバーボンの事どう思ってんの?」
「……なんだ、藪から棒に……」
「いやあ、どう思ってんのかなあって。ただのオレの好 奇心みたいなもんだよ」
……どんな好奇心だ。その言葉を飲み込みながらひとつ溜息を吐き出す。俺の次の言葉を唇に弧を描いて楽しそうに待つ男を一瞥してから再度溜息。「そんなに溜息吐き出すなよ、幸せが逃げるぞー?」
「……うるさいぞ、こんな所に居る時点で幸せなんても のは無いなんてお前だって分かってるだろ」
「あははっ!そうだな~……幸せ、って難しいよなあ」
あっけらかんとしている。何でもないただの待機時間の雑談だ、話の中に出てきたバーボンは今現在は女狐に連れられてどこかに行っている、……どうせろくでもない買い物に付き合わされているんだろうと考えつくが……その中で暇つぶしに、目の前の…スコッチが買ってきた酒をふたりで適当に煽っている最中、と。
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