「ずっと待ってるから」君の優しい言葉に頷いてから3年が経ってしまった。
「緑谷」
「轟くん!今日もお疲れ様!待たせてごめんね」
「いや、待ってねぇ」
時刻は夜7時。仕事終わりの街に、僕らは同じ方向へ歩き始めた。
「お酒飲むの久々だね」
「最近居酒屋なんて行ってなかったからな」
残業ばかりというか、思い通りの時間にはなかなか終われないヒーロー業。
久々に早めに上がった今日は、元1-Aのみんなとの飲み会の予定だ。
同じように行き交う人たちも、仕事終わりなのだろう。
顔に疲れを滲ませながらも、どこか解放感に溢れている。
この辺りは飲み屋も多いから、きっとどこかの店に吸い込まれていくのだろう。
「わりぃ、緑谷。遠回りしていいか」
轟くんが焦る声を出す時は、だいたいいつものアレだ。
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