告白するまきさんの話 覚悟を決めて、「好きだ、付き合ってほしい」と隣に座る男に牧が告げれば、当の本人───仙道彰はきょとんとした顔で固まってしまった。
嬉しいでも、困るでも、嫌がるでもない、ただただ純粋な驚きの表情。OKなのか、断られるのか、全くもって考えが読めないその顔に、牧はしばし考えを巡らながら返答を待つ。
嫌われてはいないはずだ。誰にでも愛想よく見えて、他人とは一定の距離を取るタイプの男である。だが、牧に対してその線は引かれていない。
試合会場で連絡先を交換してから、部活帰りに待ち合わせしてファストフード店で夜食を食べたり、一人暮らしの仙道の部屋でNBAの録画を見たり、二人でバッシュを買いに行ったり、おそろいのキーホルダーを身に着けたり。
821