浮奇ってどうしてあんなにも甘いんだろう。
私に微笑む表情も、ちょっと踏み込んだおねだりも、腕に触れるその細い指も、全部甘ったるい。特に甘いのはその声に混じる吐息。
浮奇は私のところに縛り付けられない。一緒に暮らして、寝室から先へはいけないよう足枷をつけて一生私以外見れないようにしてやりたい。あぁ、でも足枷は浮奇の白い肌に痣を作ってしまうな、それはよくない。自分が付けた跡ならいいけど、無機質な金属が付けた跡が一生残るかと思えばそんな方法は取りたくないと思った。もし浮奇を閉じ込めておけたら、なんていう妄想はいつも浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返しだ。
そもそも、浮奇の心が移ろいやすいのは彼の魅力でもあるから、それを無くしてしまえば私の好きな浮奇じゃなくなってしまう。「私だけの浮奇」には一生ならないんだ。
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