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    ほむら

    @rietokota

    SD右花メインの小説置き場です。
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    ほむら

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    以前Twitterにあげた牧花というよりは牧→花のお話です。牧さん(大1)、花(高2)設定。
    いろんな高校の元3年生軍団出てきます。

    #牧花
    #スラムダンク
    slamDunk

    Winding Road to You高3に進級する日も近づいたとある冬の日。
    桜木は海南大の牧から「部活の見学に来ないか」との誘いを受けた。
    牧は高校が違えど桜木が高1の時から何かと目をかけてくれて、更には高校卒業後は海南大に来ないかと何度か話を持ってきてくれた。
    牧以外にも関東圏の他の大学でプレーしている三井や藤真、深津からも声がかかっており、アメリカ留学している宮城や沢北からもアメリカに来いよと声がかかっている。
    アメリカ留学。
    それは桜木の夢でもある。
    チャンスがあるなら本場のバスケを体験してみたい、バスケをやっている人間なら誰だってそう思うだろう。
    流川も高校を卒業したらアメリカへの留学が決まっている。
    流川からも「オマエも来い」と言われたのだが、正直言ってアメリカ留学はまだ早いんじゃないかと感じている。
    そう、珍しく自信がない。
    周りにいるバスケットマン達よりもバスケを始めたのがかなり遅く、やっと2年経とうかというくらい。
    みんなはたった2年でこれだけの成長はスゴイと褒めてくれはするが、自分からするとやはりまだまだ足りない。
    こんなんでアメリカに行っても力不足なだけだろうと考えてしまう。
    流川のアメリカ留学が決まった夏の終わり頃そんな相談を先輩である三井にしたら
    「だったらもうちょい日本の大学でプレイして力をつけてからでも遅くねーんじゃねーの?」
    とアドバイスをもらった。
    三井を通して他の先輩方に話がいったのか、それくらいの時期から「うちの大学に来いよ」と方々から嬉しいお誘いをもらっている。
    更に牧はうちなら桜木を特待生として呼ぶことができると早々に手を打ってくれたのだった。
    ​海南大は私立なので普通に入学することは金銭的にも学力的にも厳しい。
    それを知っている牧はその辺を大学側に相談してくれたようで桜木が入学しやすい環境を整えてくれていた。


    「お、じい!車でお迎えご苦労!」
    「ははは、相変わらずだな桜木」
    大学に入ってから車の運転ができた方が何かと都合がいいと運転免許を取得した牧。
    桜木もたまに牧に誘われてドライブに行くことがある。
    この前は神と清田と4人で1泊2日の旅行に出かけた。
    4月から海南大1年になる神からも、再来年度からエスカレーター式で海南大に入学する清田からも「一緒にバスケしよう」と言われている。
    「今日おまえが練習見に来るって話したから先輩達楽しみにしてるぞ」
    高校バスケ全国大会常連の海南。
    その選手達のほとんどが海南大に進学しバスケを続けている。
    もちろん高校時代バスケをしていた流れで別の学校から海南大へという部員もいないこともないが、そのほとんどが海南大付属高校からのメンツなのでみんな顔見知りというわけだ。
    その中に1人部外者の桜木…
    でも本人はそんなこと全く気にしていない様子で期待に満ちた顔をしている。
    大学に到着して体育館に行くとみんなの視線が桜木に集まる。
    「おぉ、桜木だ!」
    すぐにみんなに囲まれた。
    「ほんとに髪赤いな!」
    先輩達が桜木の頭をワシワシする。
    「なんだねなんだね君たちは!」
    「あっはは、ほんと偉そーなやつ」
    普通なら体育会系の部活で、しかも初めて会うのにこんな生意気な態度を取る後輩は即嫌われるものだが、どういうわけか桜木は許されてしまう。
    多分そこに可愛さがあるからなのだろう。
    あっという間に​先輩達​と打ち解けてしまう桜木に牧も苦笑い。
    ほんとに桜木というやつは天性の人たらしだな。
    「おい、桜木。これから練習試合やるからおまえも良かったら入れ」
    先輩の1人が提案した。
    「入っていいのか!?」
    「いいぞ、将来海南大を背負って立つ男かもしれないからな」
    アハハと先輩達。
    ウォーミングアップをして練習試合に参加する。
    牧はそれを見学することにした。
    桜木のプレイは初めて見た時から比べると驚くほど上達している。
    初めて会った時はシュートすらままならなかったから。
    思い出して笑いが込み上げてくる。
    最後に桜木のプレーを見たのは今夏のIH。
    そこからまだ半年程しか経っていないのにあの時より格段にプレーが良くなっている。
    ゴール下の動きは全国レベルの先輩達にも引けを取らない。
    バスケを始めて2年でこの動き…本当に末恐ろしい。
    もちろん桜木もこの2年血の滲むような努力をしてきた。
    背中のケガも経験した。
    しかし桜木の才能、桜木の場合才能というより嗅覚というべきか野性の感とでもいうべきか、その鋭さはやはり群を抜いている。
    練習試合が終わると先輩達からも賛辞の声。
    「バスケ始めて2年でこれかー」
    「おまえ絶対海南大に来いよ、他のとこ行ったら許さないからな」
    などなど、既に先輩達のお気に入りとなっている。
    桜木も満更でもなさそうな顔。

    急遽練習試合に参加して服が汗でビショビショ。
    牧は桜木をロッカールームへ案内する。
    「じい、まさかバスケするとは思ってなかったから着替え持ってねぇ」
    「オレの使っていいぞ」
    「わりーな!しっかしシャワールームあっていいな」
    「おまえが海南大に入れば使い放題だぞ」
    「そっか…」
    そういって何か考え事をしながらTシャツを脱ぐ。
    桜木の鍛え上げられた体が顕になる。
    チームメイトの裸なんて正直見慣れているけど、桜木の…密かに想いを寄せている人の生肌は刺激が強い。
    「外で待ってるな」
    「おう」
    牧はロッカールームを後にした。

    気づいた時には桜木を好きになっていた。
    いつからだろう、多分初めて会った時には既に恋に落ちていたと思う。
    神奈川ナンバー1と言われそれなりに周りから気を遣われたり距離を置かれたり。
    そんな中桜木だけは自分のことを『じい』と呼び何かと突っかかってきた。
    しかもバスケを始めたばかりの他校の1年が、だ。
    出会った頃は荒削りだった桜木のプレーだったが、才能とバスケをやるために生まれてきたようなフィジカル、そしてそれ以上の努力を重ねた結果2年という短期間でここまでバスケが上達した。
    見るたびに洗練されていく桜木のバスケに惹かれ、そして気づけば桜木本人に強く惹かれていた。
    手に入れたいと。
    自分だけのものにしたいと。
    今まで女性と付き合ったこともあるし、女性との経験もないわけじゃない。
    でも桜木に出会ってからは桜木以外考えられなくなった。
    ことあるごとに何かに託けて接点を持とうとしてきた。
    海南大に入るよう勧めているのも半分は利己的な理由。
    桜木と一緒にバスケがしたい、
    そばに置いておきたい、
    誰にも触れさせたくない。
    はぁ…
    大きなため息を吐く。
    と同時にロッカールームから桜木が出てきた。
    「キモチカッタ!」
    ご機嫌な花道。
    「そっか、そりゃ良かった」
    まだ半乾きの頭を撫でる。
    「帰りに何か食ってくか?お腹すいただろ」
    「とんかつ食いてえ!」


    桜木と食事をした後そのまま別れるのが嫌で近くのビーチに来た。
    外に出るとやはり寒い。
    近くの自販機で温かい飲み物を買って車に戻る。
    少しの沈黙の後
    「オレ海南に決めた」
    桜木が呟いた。
    「そうか!」
    嬉しくて思わず大きな声で答えてしまう。
    「おぅ!今日練習試合に参加してよ、やっぱみんなスゲかった。年だってそんなかわんねーのに体もデカくてぶ厚いし、体力もパワーもハンパねー。海南でバスケしたらオレもこうなれるんかなって思ったらスゲーワクワクした」
    桜木を練習に誘って良かった。
    「それにジンジンもキヨもあそこに加わるだろ、そんなのめちゃくちゃ楽しいじゃねーか」
    その状況を想像しているのかウシシと楽しそうに笑う。
    「それに海南大に入ったら三井や藤真、深津とも試合できるぞ」
    前回そのメンツでたまたま会った時に「桜木争奪戦」の話になった。
    三井のいる大学には元山王の松本もいるし、4月からはあの仙道が入ってくるらしい。
    家から近いからという理由で。
    仙道らしいなとみんなで爆笑。
    藤真の大学はゴール下が弱いので花道が欲しいといっていた。
    高校で一緒にプレーをしていた花形は関東圏外の大学へ進んでそこでバスケをしている。
    「それにあいついたら毎日面白いだろ」とも。
    三井が「だな!」というと「あいつ可愛いからうちに欲しいピョン」と深津。
    バスケのスキル以外でこんなにも引く手数多なヤツは今まで見たことがない。
    「おぉ!ホケツくんとピョン吉とは試合したことあるけどミッチーとはねーな。それに全国いったらまた丸ゴリとも試合できるもんなー。ゴリとも戦ってみてーし翔陽のメガネも全国いったら会えんのかな」
    目をキラキラさせながら桜木が話す。
    「桜木は本当にバスケが好きなんだな」
    「おぅ!天才バスケットマンだからな!」
    「そうかそうか」
    アハハと笑う牧。
    こういう自信家のところも可愛いんだよな…なんて思って胸がキュッと痛んだ。
    一瞬顔が暗くなった牧を桜木は見過ごさなかった。
    「じい?どうかしたか?」
    心配して顔を覗き込む。
    桜木の方に顔を向けるとさっきより近い位置に桜木の顔があり心臓が跳ねた。
    「いや…なんでもない」
    笑顔で取り繕ってその場をやり過ごそうとする。
    「あのよ、オレじいには昔っから世話になってるからよ…オレで良かったら話きくけど」
    そんな顔でそんな可愛いこと言われたら理性がもたない。
    「本当に大丈夫だ、桜木」
    頭を撫でると今度は無言で俯いた桜木。
    「どうした?」
    心配して聞くと
    「…あのさ、オレじゃやっぱたよりになんねーかよ?ジンジンとかキヨには相談とかすんだろ?」
    神と清田は後輩だからバスケの個人練習内容で相談というか意見の擦り合わせみたいなことはしていたが、こういったプライベートな相談はしたことがない。
    でも桜木は相談していると勘違いしているようだ。
    「オレいつも世話になってばっかだからなんかじいの力になりてーんだよ」
    唇を尖らせていじけた顔で下を向く。
    その顔があまりにも意地らしくて。
    「桜木…」
    名前を読んでその赤い頭にキスを落とした。

    「!」

    驚いた桜木の目が見開く。
    あぁ、やってしまった…
    こんなことするつもりはなかったのに。
    「…すまん」
    謝ってはみたものの俯いたまま顔を上げない桜木。
    それはそうだろう、いきなり男から頭にとはいえキスをされたのだから。
    しかも桜木からしたらオレは先輩に当たるし、同じ大学に来るよう勧誘している最中なのに。
    重たい沈黙が続く。
    「…ん、で…なんでこんなことすんだよ…」
    小さい声で桜木が呟く。
    真実を告げたら桜木はオレから離れていくかもしれない。
    それはどうしても避けたい。
    どんなにカッコ悪くても桜木が自分から離れていくのだけはどんなことをしたって阻止したい。
    「すまん…つい…」
    なんでだろう、好きなヤツを前にするとこんなにも嘘が下手になる。
    「つい…て…じいは誰にでもこういうこと簡単にすんのか?」
    そういえば以前三井が言ってたな。
    桜木は色恋沙汰に関してはとても初心だと。
    「誰にでもするわけじゃない。桜木だから…」
    「オレ…だから?」
    「うん、まぁ…そんなところだ」
    と曖昧に誤魔化す。
    「帰るか」
    車のエンジンをかける。
    何かを考え込んでいる桜木を横目に車を発進させる。
    ここから桜木の家まで1時間弱…この重たい空気をどうにかしないと。
    「海南大入学の話、大学の方に通していいか?」
    強引にバスケの話に戻す。
    あんなことをしてしまった後なので桜木の決意が揺らいでいないかも気になって確認を込めて聞く。
    「お、おう…」
    「わかった。また何か大学から話があったら連絡するな」
    うんと呟いて桜木は窓の外に顔を向けた。

    10分くらい車を走らせた後、その重たい沈黙に先に耐えられなくなったのは牧だった。
    近くの空きスペースに車を停め
    「桜木」
    と声をかける。
    「ん?」
    とそっけない返事は返ってくるも顔は牧の方には向かない。
    「何か言いたいことがあるなら…」
    「言いたいことがあるのはじいだろ!」
    牧の言葉を遮って桜木が強い口調で言う。
    かれこれ2年くらいの付き合いになるがこんな桜木を見たのはこれが初めて。
    「桜木…」
    言いたいことならある。
    桜木が好きだと、自分だけのものにしたいと。
    でもそんなことを言ったところでどうなる?
    それを言ったせいで桜木が海南にくるのをやめたら?
    それこそ自分にも海南大バスケ部にも大きな損失だ。
    色々な考えが頭を巡って答えが出せずに黙ってしまう牧に
    「もういい」
    そういって車を降りる桜木。
    「おい、桜木!」
    牧も桜木を追うように慌てて車を降りる。
    「待てって!」
    手を掴むと
    「歩いて帰るからいい」
    「歩くって…こっからおまえんちまでかなり距離あるだろ」
    「…じいといるよりかはマシ」
    ズズッと鼻を啜る音に桜木の顔を見ると目に涙を溜めて今にも泣き出しそうな顔をしている。
    「桜木…」
    その姿に堪りかねて正面から桜木を抱きしめる。
    「オレだってじいの力になりたい…」
    「うん、わかってる」
    「…だからオレには何でも言ってほしい」
    「わかった」
    はぁっと小さく息を吐いて

    「オレは桜木が好きだから、」

    と言ったら桜木の体が跳ね、密着している桜木の心臓の音が早くなるのがわかった。それを確認した後
    「桜木のバスケが好きだから同じ大学で一緒にバスケがしたい」
    そう付け加えた。
    少しの間固まっていた桜木がもぞもぞし出したので解放してやると薄明かりの中でもわかるくらい顔を赤くしている。
    「す、す、す、すきって何だよ…?」
    「そのまんまの意味だが」
    フフっと笑って桜木をからかう牧。
    「ほら、帰るぞ」
    「お、おう…」
    という返事と同時にジャケットの裾を掴まれた。
    「あ、あ、あの、オレも、その、じいのことキライじゃねえ…ぜ」
    「嫌いじゃないということは好きでもないってことか?」
    と少し意地悪を言ってみる。
    「え!?あ、ゔ…そうじゃなくて、」
    少しの間空を見つめ
    「まだ正直良くわかんねー。でもじいにス、ス、スキって言われてその、なんだ、ウレシイ気持ちでは…ある」
    可愛い唇を尖らせて照れながら、それでも頑張って自分の感情を言葉にする桜木に
    「なら良かった」
    ニコッと微笑む牧。
    どうやら想いを伝えても桜木との関係性は壊れなかったようだ。
    「じゃあもしおまえがオレのこと好きになったら今度はおまえから告白してくれ」
    びっくりしたのか目をまん丸くしている桜木。
    「待ってるからな」
    ポンポンと頭を撫でてから車へ戻る。
    「…お、おぅ」
    後ろから小さい声が聞こえた。

    想いを伝えたら何だか気持ちが軽くなった。
    海南大入学の意思も変わっていないようだし、まさか桜木からあんな前向きな返事が返ってくるとは予想もしていなかった。
    少しは期待してもいいのか、桜木?
    助手席に座って唇を尖らせている可愛い後輩を横目で見ながら口元が緩む牧であった。
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    💕💕
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