初雷オレとおまえの出会いは運命だったんだよ
なんて言ったら「そんなこというなんておまえらしくねー」って笑うんだろうな
高校卒業後夢だったアメリカ留学が決まり、当時恋人だった花道より一足先にこっちに来た。
その1年半後花道もアメリカに来て、今では2人ともバスケットプレーヤーとしてアメリカで成功した数少ない日本人になった。
オレと同時期に留学していた宮城センパイと沢北も同じくアメリカでバスケをしている。
今はシーズンオフ。
センパイと沢北は一時帰国しているがオレ達2人はお互いゆっくり過ごしたいからこっちに残った。
1年半の遠距離恋愛、その後お互いアメリカにいたにはいたが学生ゆえどちらも寮生活。
しかも花道渡米最初の1年はこっちの暮らしと英語に慣れるのに忙しくてなかなか会えず、さらに運が悪いことに沢北と同大学だった花道は「エージエージ」と沢北を頼る始末。
元々IH後から花道と沢北は仲が良かったからわからなくもないが、それでも彼氏であるオレを頼って欲しくてよく喧嘩したっけ。
宮城センパイがオレ達3人の間に入って色々手を尽くしてくれたこと、どんだけ感謝してもし足りない。
花道より1年先に大学を卒業したオレは2人で住める家を探した。
どっちにしろ卒業と同時に寮は出なくちゃだったし、だったら花道と一緒に住みたいと思ったから。
オレの所属が決まったチームと花道の大学は近くはないが車で1時間半の距離。
アメリカならまぁ通勤圏内だ。
花道の大学に近いところに手頃な家を見つけてそこで同棲を始めたのが3年前。
そして2人でプロになって金銭的に安定してから家を購入した。
ここに住み始めてもうすぐ1年。
ということは結婚してもうすぐ1年経つ。
高校1年のあの春の日。
屋上で桜木花道という人間に出会い、オレの上に雷が落ちたんだ。
今までオレの人生にはバスケしかなかったのにそこに突如現れた鮮烈な【赤】
運命というものがあるとしたら正におまえがオレにとっての運命だった。
バスケ以外に手に入れたいものができて、バスケ以外に手放したくないものができた。
初めて会った日も、初めて殴り合った日も、初めておまえがシュートを決めた日も、初めてパスをくれた日も、初めてオレの想いを受け入れてくれた日も、初めて手を繋いだ日も、初めてキスした日も、初めて体を繋げた日も、
こんなに甘い毎日も。
オレにとっては全てが宝物で、オレの住む世界を鮮やかに彩ってくれる。
隣でスヤスヤ寝ている愛しい人の寝顔を見つめながらこんなことに想いを巡らす朝もなかなか良い。
花道のおでこにキスを落としてそのまま唇に軽く触れるだけのキス。
「ん…もっと、」
起きたのか寝ぼけてるのか花道からちゅっと唇を重ねてきた。
だからオレにとっておまえとの出会いは間違いなく運命だったんだ。
信じなくてもいいけど。
「花、愛してる。ずっとずっと愛してる」
そう言って唇を重ねた。