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    2年ほど前に書いたものをいい機会なので上げます♪
    クリスマスネタです♪

    ##ジュニマリ

    「はあ〜〜〜〜〜」
    ウエストセクターのショッピングモール。クリスマスを前にごった返す群衆の中、ジュニアは大きくため息をついていた。クリスマス、それからニューイヤーに向けてのスペシャルライブ。それに備えて、備品やらデコレーションやらを買い込みに来ているところだった。

    だが、浮かない顔で歩く彼の表情には疲れが見え隠れしている。
    それもそのはず、ここ数日の彼はイベント準備に追われており、まともに睡眠時間が取れていなかったのだ。そんな彼がクリスマス直前、ようやく非番になった今日という日を逃すわけもなく、こうしてショッピングモールまで足を運んでいたのだが……
    (クソッ、眠ぃ……。さっさと買って帰って寝よう)
    気怠げな様子を隠しもせず、人混みの間を縫うようにして歩いていく。すると、目の前に見知った姿が映った。
    (あれは……マリオン?)
    見間違えるはずのない特徴的な赤い髪。それは紛れも無くマリオンの姿だった。
    思わずその横顔を見つめていると、マリオンもこちらを向いて目が合った。
    「ジュニア」
    マリオンは少し驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、声をかけてきた。
    「マ、マリオン……買い物か?」
    「ああ。もうすぐクリスマスだからな。ノヴァやジャクリーンに何かあげようと思って」
    「へえ、そうなのか」
    そういえば、前にここでマリオンと会ったときも、マリオンはジャクリーンへの贈り物を探してたんだっけ。それで、おれがその店で買い物してたから一緒に選んで……
    そんなことを考えていると、マリオンがこう切り出した。
    「オマエ、ボクの買い物に付き合ってくれないか」
    「……え!?︎」
    「前相談に乗ってくれただろ。オマエとジャクリーンは好みが合うみたいだし」
    マリオンからの思いがけない提案に驚きつつも、ジュニアは二つ返事で承諾する。
    「お、おう!もちろんいい!」
    「助かる」
    ―そうして、二人は並んで歩き出したが、どちらが口を開くでもなく沈黙が続いた。
    (……なんか喋れよおれ!せっかくマリオンと一緒にいるのに!!︎)
    心の中で自分に悪態をつくジュニアだったが、どうにも緊張してしまい、うまく言葉が出てこなかった。
    チラリとマリオンの方を見ると、マリオンは真剣そうな面持ちで何を買うべきか悩んでいるようだ。
    マリオンの横顔を見てるとなんだか落ち着かない気持ちになる。それがなんなのか分からなくてモヤモヤしていた時だった。
    「あっ」
    ふいにマリオンが小さく声を上げた。
    視線の先に目をやれば、そこにはショーウィンドウの中におもちゃの街が飾られていた。小さな家や人々、真っ赤な機関車が、雪や電飾に彩られてきらきらと輝いている。
    「綺麗」
    いつもより緩んだ表情でマリオンが呟く。
    その瞬間、ジュニアは自分の心臓が跳ねるのを感じた。
    ―マリオンといるときだけだ、こんなの。
    どうしてこんなにも鼓動が速まってしまうのか、その理由はわからなかった。
    ドクン、と大きな音を立てて脈打つ鼓動を感じながら、ジュニアは立ち止まっているマリオンの隣に立つ。そして、おもむろに手を伸ばしてマリオンの手を掴んだ。
    突然の出来事に驚いて振り向くマリオンの瞳をじっと見つめ、ジュニアは言う。
    「行こうぜマリオン。クリスマスマーケット、まだやってるはずだ」
    ジュニアの誘いにマリオンは一瞬戸惑ったが、「うん」と言って微笑む。
    繋いだ手はそのままにして、二人は人混みの中に消えていった。

    ※※※※※

    クリスマスマーケットを回って、目的のものは一通り買い揃えることができた。
    ノヴァとジャクリーンには、スノードームを。それから、ツリーの飾り付けに使うオーナメントをいくつか。
    新しく買い足したクッキーの型抜き。―これはボク用。
    セクターの奴らにも、気に入りそうなものを買ってやった―好みじゃないなんて言わせないけど。
    マリオンはそれらを大事そうに眺めた後、そっとショッパーに戻した。
    それから、隣にいる少年に声をかける。
    「ありがとう、ジュニア。手伝ってくれて助かった。おかげでいいものが買えた」
    「あ、ああ。それならよかった!おれもマリオンと買い物できてすげー楽しかったし……」
    マリオンの言葉にほっとすると同時に、急に気恥ずかしさが込み上げてくる。
    (何を言ってんだおれは……っ!これじゃデートみてーじゃんかよ……)
    マリオンの顔を直視できず、顔を背ける。そんな自分の態度にマリオンは不思議そうにする。
    「?どうかしたのか?」
    「な、ななななんでもない!」
    半ば投げやりな返事をすると、マリオンは少し考えるような素ぶりを見せる。
    「……」
    マリオンは黙ったまま、こちらを見つめている。
    「……ああそうだ、これ」
    マリオンはそう言って手元を探ったと思うと、いくつかある紙袋のうちひとつをジュニアの胸元に差し出した。
    「ほら」
    「……え?これ、おれに?」
    「ああ。今日は買い物に付き合ってもらったし……それに」
    それに……なんだろう。
    「……クリスマスだから。少し早いけど」
    そう言うマリオンの顔はほんのり赤い気がする。
    渡された包みを受け取る。すると、マリオンは満足そうに笑ってみせた。
    「あ…ありがとな、マリオン!」
    今年一嬉しい、かも……!!!!
    ジュニアは高揚ではち切れそうだったが、そのぶんとびきりの笑顔を返した。
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