どうやら僕は酔っぱらいに縁があるらしい。
先日はソ捜査官にとんでもない目にあわされた。今日はオ課長の身体を引きずってヒイヒイ言いながら夜道を歩いている。重い。とてつもなく重い。筋肉なのか脂肪なのか。
「オ課長…オ課長!しっかり、して、ください、よっ!!」
ぐにゃぐにゃの巨体を手近な花壇の縁に座らせてようやく一息つく。
「ドンジュ…」
「はい?」
「ファン・ドンジュ!!」
「はいはい、人のこと指差さないで」
目が完全に据わっている。向けられた指を手の甲で押し退けると、オ課長はかっくりとうなだれた。
しばらく黙っているので寝たのか?と思いながら自分も隣に腰を下ろす。
「…俺はな…捨てられたんだよ」
くぐもった声が聞こえたのでなにごとかと俯いたままの横顔を見る。
「なんです?」
声をかけるがオ課長はそれっきりまた黙り込んでしまった。やっぱり寝たのか。それじゃあ寝言か。寝言にしてはなんといじらしいことを言うのだろう。
「僕が…」
寝ている相手に言うことじゃない。
「僕が拾うので大丈夫ですよ」
面と向かって言うことでもないけど。