雨冷「照君。僕が思うに─この事件のトリックには天候が関わっているんじゃないか?」
そんな雨冷探偵の思い付きによる一言から、雨の日を狙ってトリック再現をしてみようという話になった。結局その思い付きは案の定見事に外れていたわけだが、それに付き合って雨晒しになった助手はその代償として見事に風邪を引いてしまったのだった。
そのような経緯で現在駒津は毛布にくるまった状態で事務所のソファに座っている。そして、横に座っている雨冷から木製のスプーンを口元に突き付けられていた。
「さぁ大丈夫。変なものは入っていないから安心してこれを食べてくれ。」
笑顔で粥を差し出している雨冷に
(不穏な事言ってるこの人…)
と思いつつも、口には出さずに粥を啜る。そして次の瞬間には噎せた。本当に変なものとやらが入っていなかったかどうかは謎だが、少なくとも駒津自身あまり嚥下が得意ではないので恐らくそのせいであろう。
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