イルアズ耳障りのいいその声が、好きだと思った。
「イルマ様」
「ん…おはよう、アズ君」
ふわぁ、とあくびをして、入間はベットの中をもぞもぞ動く。頬と擦れ合う感触が心地良いシーツ、身体の疲れを吸い取ってくれるようなマット、真綿に包まれているかのような布団。普段のベッドと引けを取らない心地よさに、吸い込まれそうになる。
入間が「布団から出たくないなぁ…でもアズ君が呼んでるなぁ…」と幸せに悩んでいると、アスモデウスは「失礼します」と布団をめくってきた。
普段なら有り得ない行動に、入間の口から「えっ?」と声が漏れる。
「あっ、いえ、その、イルマ様の眠りを妨げお気を煩わせてしまい申し訳ございません私は部屋の外で待っておりますので」
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