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    招き犬

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    招き犬

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    そつなくこなす天使🐬も良いけど血反吐を吐きながらも努力してやっと下の下位の天使🐬が書きたかった((

    劣等生な天使🐬と熾天使な🦈の話人一倍努力をしないと僕はいけなかった。
    産まれた時からジェイドの羽根は小さく、賛美歌を歌う時も何故か他の天使達と違う音色で歌っていた。
    何度も何度も何度も練習し、やっと他の天使達と似た様な音色を出せるようになったがやはり違う。
    段々と周囲の目が冷たくなっていくのをジェイドは感じた。
    (もっと、皆さんと同じ位上手くならなければ...)
    飛ぶ練習の時もジェイドはその体格に見合わない小さな羽根で上手く飛べる訳もなく低空飛行しか出来ず教えている大人は呆れた様子だった。
    それからジェイドは皆と同じ位の高さで飛べるように血反吐を吐くような努力したが、それでも身体1個分低くしか飛べなかった。
    それでも以前よりは上達した。ジェイドはちらりと指導している天使を見るがその天使は次の指導に移っておりジェイドに向かって口を開く。
    「やっと飛べるようになったのか。それでも他の天使達より低いとは...間違えて産まれて来たんじゃないか?」
    嘲笑うように言う天使にジェイドの心にヒビが入る。認めて貰えるように頑張っても言われるのは蔑む言葉。親からも冷たい目で見られ、数年後に産まれてきた弟にさえ残酷な言葉を投げつけられた。
    「お前みたいなのが俺の兄だなんて恥ずかしい」
    その言葉を皮切りに両親からも嫌味を言われる。
    「何でお前はこうも上手く出来ないんだ?普通ならすぐに出来ることを」
    「はぁ...貴方を産んだのが間違いだったのかしら」
    両親の言葉にジェイドの心は完全に壊れてしまい、裸足のまま家から逃げ出すように出ると無我夢中で走る。
    天使達は羽根を使って飛べる為走るのは上手く出来ないがジェイドは逆に上手く飛べない為、走るのが上手かった。
    そうして何処かわからない場所でジェイドは胸を抑えながら涙を堪える。そうでもしないとみっともなく泣き叫ぶ自信があったからだ。
    「ぅ...」
    ジェイドはふらふらと彷徨いながら1人になれる場所を探す。
    ジェイドが見つけたのは薄暗い洞窟だった。その中に入ると我慢していた涙がぽろぽろと零れる。
    足の裏が痛い。傷まみれになってるだろう。
    それよりも、どんなに頑張っても誰にも認められない。そんな自分が嫌で仕方なかった。
    「...僕は要らない子ですね」
    ジェイドが膝を抱えそう呟いた時だ。
    「ふ〜ん。じゃあオレが貰っちゃってもいいよね?」
    背後から聞こえた声にジェイドは驚きながら後ろに振り向いた。
    「っ、熾天使...様?」
    そこには計6つの羽根を持った天使が立っていた。その羽根はとても大きく上位の天使である事がすぐに分かる。そして自分と顔立ちが似ていた。
    「お前の事皆要らねって言うならオレが貰っても文句ないよね」
    「え...うわっ!?」
    熾天使はジェイドに近寄るとその小さな身体を抱き上げ、ジェイドは突然の浮遊感に熾天使の首に抱きついた。
    「あはっ、可愛らしい反応♡」
    「あ、あの熾天使様僕を」
    「フロイド」
    「...え?」
    「だーかーらーオレの名前はフロイドなの!熾天使ってのが名前じゃねえし!」
    ぷくりと頬を膨らませながらフロイドはジェイドを見つめる。その様子にジェイドはこてりと首を傾げながら先程伝えられた熾天使の名を呼ぶ
    「...フロイド様?」
    「様も要らね〜だって今日からジェイドはオレのだし♡」
    すりすりとジェイドの子供特有のふっくらした頬に頬擦りしながらフロイドはジェイドにそう伝える。久々の他の天使の体温にギュッと抱き締める。
    温かい、温かい。嬉しい、嬉しい。
    「フロイド...」
    「なぁに、ジェイド?」
    フロイドの瞳はとても優しくジェイドを見つめる。ジェイドはフロイドの服を握りしめ声を出し泣きだす。フロイドはジェイドをあやす様に身体を揺らしながら背中を優しく叩き泣き止むのを待つ。
    数十分程でジェイドは泣き止み恥ずかしそうにフロイドを見上げる。
    「あーあ、こんなに目元が赤くなって。大丈夫?」
    フロイドはジェイドの目元に軽く口付ける。ジェイドは擽ったそうに小さく笑いながらフロイドを少し不安げに見上げる。
    「...フロイドは僕を捨てたり、見限ったりしませんか?天使として落ちこぼれの僕を」
    「捨てたりする訳ないじゃん、ジェイドはオレの番だし」
    「番...?」
    フロイドの言葉にジェイドはぽかんとした顔で見つめる。
    「そーそ、オレの番♡オレの伴侶...うーんお嫁さんってこと♡」
    「僕がフロイドのお嫁さん...?」
    フロイドはくすくすと笑いながらジェイドの無防備な唇に軽く口付けた。
    「ひぁ!?」
    「可愛らしい反応♡」
    ぴゃっと頬を赤らめてジェイドは自身の唇を抑える。そんなジェイドにフロイドはとろりと惚けた目を向けながら羽根を広げる。
    「じゃあオレの家にジェイドをごあんなーい!」
    「フ、フロイド。せめて両親に伝えないと」
    「あ”?ジェイドの事を蔑ろにした家族にジェイドを下さいっていうの?嫌に決まってるじゃん」
    フロイドは不機嫌そうにジェイドを抱き締めながら羽根を羽ばたかせ一気に浮上するとジェイドは今まで飛んだ事のない高さに目を瞑る。
    「ほら、見てみてジェイド」
    「...うわぁ...!」
    ジェイドはフロイドに促されゆっくりと目を開くと目の前の光景に声が漏れた。
    こんな風に天界を見るのは初めてだったからだ。
    「じゃ、オレの家にしゅっぱーつ」
    フロイドは風のように速く飛んでいく。変わる変わる景色にジェイドが目を見張っていると1軒の家の前でフロイドは地面に脚を付け羽根を閉じる。
    「ここが今日からジェイドのお家ね」
    「こんな立派な家がですか...?」
    自分達の住んでいた家より何倍も大きい家にジェイドは目を丸くした。
    フロイドが鍵を取り出して玄関を開けると靴を脱ぎ捨てリビングに向かうとジェイドをソファーに座らせる。
    「足の裏の怪我をまずなんとかしようねぇ」
    「気付いていたのですか」
    「当たり前じゃん?血の匂いがしたし、痛かったよねぇ」
    えーっと救急箱とか何処にやったっけ?なんてフロイドはいいながら棚を漁る。そんなフロイドの姿をジェイドは見つめながらまた泣きそうになっていた。自分を心配してくれる人が居る。それだけで心が温まる。
    フロイドが救急箱を見つけてジェイドの方に振り向くとギョッとした顔で駆け寄ってきた。
    「ジェイド!?大丈夫?そんなに痛かった?」
    「っ、いえ...そうではなく...嬉しかったのです。僕を心配してくれて」
    へにゃりと笑ったジェイドにフロイドは感極まった様子でジェイドを優しく抱き締めた。
    「これからはオレがジェイドを愛していくからね、ジェイドは安心して家に居てね」
    フロイドの言葉にジェイドはこくこくと頷いた。
    そうして足の怪我の処置を終えると船を漕ぎ出しているジェイドの頭をそっと撫でるとフロイドはまた抱き上げる。
    「ここじゃなくベッドで寝ようね」
    「んむぅ...ぁい...」
    意識が消えかかる中ジェイドはある疑問に気付く、何故フロイドは自分の名前を知っていたのだろうか。考え様にも眠気が勝り、フロイドがベッドにジェイドを横たわらせた時には既にジェイドは夢の中で、フロイドはそんなジェイドの頬を軽く突っつく。
    「可愛い顔しちゃって...あーあ、早くジェイドが大きくならないかな...そしたら美味しく喰えるのに」
    フロイドはポツリと呟きながら欲の滲んだ目でジェイドを見つめる。
    以前、暇で適当に飛んでいた時に必死に飛ぶ練習をしているジェイドを見かけた。
    その小さな羽根で必死に頑張って、苦しげな顔をしながらも止めない姿に愚かさと共に愛おしいという感情がフロイドの心に湧き上がってきた。
    あの天使の名前は自身の権限を使って調べたらすぐにわかった。ジェイドと言うらしい。
    「ジェイド...あはっ、待っててね♡」
    さて、どうやってあの天使を自分のモノにしようか、そう考えていた時泣きそうな顔で走っているあの天使を見つけた。その時の自分の顔は獲物を見つけた様な顔をしていただろう。
    ゆっくりと後を追い洞窟でしゃがみ込んでいるジェイドに近付き、優しい毒をジェイドに染み渡らせる。
    ジェイドは自覚していないだろうがフロイドの手を取り鳥籠の中へと入れられた。
    この家はフロイドの許可が無い限り家を入る事も出る事も叶わない。鍵は建前で態と使っただけ。
    ジェイドがその事を知った時どうなるだろう。
    絶望の表情を浮かべるのか。はたまた、安堵の表情を浮かべるのか。
    「ま、どっちでもいいけどね♡もう逃がしはしないし、大きくなったらオレと同じピアスを付けようね」
    フロイドは小さな自分の嫁の片耳に触れた。
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