ネヴァー・ネヴァー・ランド◇
そこにはただ光があった。光が渦を巻き、銀河を彷彿とさせる景色は、後ろへ猛スピードで流れて行く。前も後ろも天も地も分からなかったが、おそらくそこにあるであろう脚をリーズニングは動かしてみる。なにせ感覚が曖昧なのだ。確かにここに在るはずなのに、そうと断言ができないでいる。まるで意識だけが取り出されて、汽車か何かで歩くよりも走るよりも速く持ち去られているような感覚だった。
『リーズニング、こっちだ』
音量調整がめちゃくちゃなイライの声と、おそらく腕に何かが触れる感触がする。腕が引かれるままリーズニングは脚を動かした。それは10秒にも、1時間にも感じたが、やがて入ってきた渦と同じものが目の前に見えて来る。瞼は閉じているはずなのに、酷く眩しく思えた。
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