火花が散る ぱん、と激しく赤い火花が散る。
自分は、まるで花火みたいだと感じたことがある。
稲妻の永い歴史の中の、そのほんのひととき。
自分はポツリと存在する点でしかない。
「僕自身は別に誰かの記憶に強く残っていなくていい。僕が本当に大事にしたい存在が時折僕のことを思い出して、ほんの一瞬だけでも記憶の中で懐かしんでくれればそれで十分」
いつかだったか友人に話して聞かせたことがある。
その頃担当していた事件が無事に収束したが、僕は依頼人が隠していた悪事まで暴き、詳らかに事実をお日様の元へ明るみに出した。他の同心に腕を拘束されながら歩く依頼人から様々な言葉を甘んじて受けた。
依頼人にとって芳しくない結果を導いたことから、罵倒された。よくあることだったけど、やっぱりちょっとだけ感傷的になっていた夜だった。
6947