姉と遊んで元気いっぱいに育ったkktbt少年、姉がシﾞムリ→チャンヒ゜オンになった年齢に自分が追いついたとき、姉と自分との実力の差に気付いてうちひしがれるようなことがあったのだろうか。

直系の自分ではなく"姉"が活躍する姿を見て、愛されてないわけでも、実力を否定されたわけでもないのに、「直系でなくてもあれだけの実力がある姉の方がすごいのだから、直系でも姉に勝てない【自分なんかより】【強くて適任】である姉が優遇されるべき」が自然と根付いてしまったりしていることもあるかもしれない。ないかもしれない。
でもそれを口に出すと回りが、祖父が、姉が、心配するから。気を使うから。そうして心の底で思っていることをしまい込むことも覚えてしまったり。

　片恋をしているものが患うと花を吐き出すという、嘔吐中枢花被性疾患。通称花吐き病。噂には聞いたことはあるが、フィクションの話、都市伝説のようなものだと思っていた。まさか自分がなることで実在する証明をすることになるとは。
　心当たりは、ある。でもバレるわけにはいかない。バレてはならない。絶対に。相手にも未来があるのだし、そもそも、完治するとも思えなかった。だって向こうはこちらを嫌っているのだ。
　隠し通すと決めたものの、吐き気は唐突に込み上げてくる。日々吐き出され続ける花の数々。どんどん体力を消耗し、体も衰弱していく。そうして部屋から出るのも億劫になり、やがて部室にも顔を出さなくなっていった。
　そんなことが数日続いたある日、部室に顔を出さなくなってから顔を合わすことがなかったスグリが部屋をたずねてきた。部活を休むことは事前に連絡しているし、学年だって違う。なぜスグリが自分の部屋にいるのか。