Good luck 「なに、あんたまだ悩んでるの?もうすぐホワイトデーでしょ?」
久方ぶりの故郷への帰省。ゆっくり体を休めようと思っていたが、家の中どこにいても上の空の弟を見かねてつい口を出してしまった。
「ムツミは今年も手作りのチョコくれたし、俺も手作りを返した方がいいのか?でもこの間エルガドで見かけたお菓子美味しそうっつってたしな……だからってそれをあげたら市販品は心がこもってないと思われそうだし……」
ユウヒは呪文のように独り言を呟いている。ここは姉として助言してやった方がいいのだろうか、それとも悩むことも恋の醍醐味だと割り切って傍観すべきか。
「……」
結局、ため息の絶えないユウヒを気分転換に里へ連れ出してきた。
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