名称未設定1
盆が明けて間もない日のことである。
開け放した戸口から侵入した一匹の蝉が、わんわんと鳴いている。この数日、今夏の最高気温を更新し続けているというのは、今朝のニュースで知った。紅白試合を終え、熱した鉄板のような床に寝転び、人間の融点について考える。みな溶けるように項垂れ、ときおり息継ぎするように、呻きながら空を仰いでいる。
「寝不足すか」
無言の中、そう切り出したのは宮城である。そちらを見ると、宮城の横には三井が座っていた。三井は欠伸を噛み殺すように眉を歪めている。それから目頭を中指で軽く拭い、「少しな」と返した。
「夜更かしとか体力もたねーっすよ」
「いろいろあんだよ。ガキにゃあ分からねーだろうけどよ」
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