夢のカケラはいつでも赤く濡れて𓏸𓏸恐怖症と言われるものは、正式な病名を限局性恐怖症というらしい。
誰もが知っているように、特定の場所や物事、状況に対して顕著な不安や恐怖を抱くものだ。
自分がその類であると知ったのは、実はほんの数ヶ月前だった。
僕が、研究室に泊まり込んで頭を抱えていたデスマーチのある日。
何徹したかなんて覚えてないぼんやりと眠りと現実の境目のあの時。
僕の先輩が血走った目で包丁を握りしめ僕の研究室に入ってきた。
「え…?」
たまたま眠りの世界に半分身を置いた僕には、夢の中の出来事のように思えて動くこともままならなかった。
「お前のせいで!!」
彼が憎しみの籠った目で僕を突き飛ばし掴みかかる。
僕はモヤのかかった頭でただ見ているしか出来ない。
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