ねごと「失礼します!先生、古代魔術の痕跡を見つけましたよ!一緒に外へ行きまっ……」
「待ってよエレノア。先生は僕と図書館に行く約束をしてるんだっ、か…ら……」
「「あっ」」
慌てて二人一緒に口を抑える。たった今、騒いでしまったことを後悔した。フィグ先生が珍しく執務室のソファに座ったまま眠っていたからだ。にぎやかだった部屋が一瞬にして静寂へと変わり、先生の寝息が聞こえてくる。読書中だったのかな?先生の膝には開かれた本が乗ったままだった。そーっと顔を覗きこむと、先生の表情は安らぎに満ちていて「……ミリアム」と寝言を呟いた。
「…ミリアムさんと一緒にいる夢を見てるのかな…?ふふっ。ねぇ、コーディー。先生幸せそうだね」
「うん」
コーディーと見つめ合って静かに頷く。先生の眠りを……ミリアムさんとの二人きりの時間を邪魔してはいけない。何も言わなくても私たちの気持ちは通じ合っていた。
「そういうことなら……よし!じゃあ、どっちが先にブランケットを持って来られるか競争ね!」
「えっ?!待ってよエレノア!」
小声で言い残して出口へ向かう。起こしてないかな?心配になって少し振り返ると、先生は変わらず目を閉じたまま、朗らかな笑みを浮かべていて……安心した私は、慌てて付いてきた彼と一緒に執務室を後にした。
「ミリアム……紹介するよ。私の…愛する友人達だ」