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    tarinai_oji096

    @tarinai_oji096

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    tarinai_oji096

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    ちいさないきものとダンキバのはなし
    ダンキバクリスマスWebオンリー、展示で参加させていただきます❤️‍🔥
    幻覚詰め合わハッピーセットです


    最後になりましたがダンキバクリスマスWebオンリー開催おめでとうございます👏主催者様、ありがとうございます

    #ダンキバ
    kippa
    #dnkb

    ちいさないきものとダンキバのはなし「……キミは、ちいさなポケモンが苦手なのか?」
    口からこぼれた疑問は、唐突で、でもダンデがキバナに抱え続けた違和感の答えでもあった。

    道端でワンパチのまだ小さな、まだベビーに分類されるであろう個体が駆けてこちらに向かってやってくる。ベビー特有の細い毛で覆われた毛玉が弾丸のように。「わんぱち~~~!!」と子供の声が遠くで聞こえる。わんぱくな盛りのいきものは飼い主を置いて、好奇心の赴くまま駆けてきた。
    本日、晴天。前日からワイルドエリアでテントを張って羽を伸ばしていた(勿論バトルもした)ダンデとキバナは昼下がりにはナックルシティに帰ってきた。午後はキバナの家でゆっくり過ごすことが決まっており、デリに寄って惣菜を買おうだの録画されているバトルの映像を見ようだのと話していた。ナックルの街並みに響くボーイソプラノに気が付いたダンデは、すれ違いざまの毛玉を慣れたように抱き上げた。二人はワイルドエリアとナックルを繋ぐ門から歩いてきたのだから、通り過ぎて間違ってワイルドエリアに入ってしまったら、悲惨なことが起こる可能性は高い。妥当な行動である。
    抱き上げられたワンパチは見た目の通りもっふりとしていて、手が毛並みに沈む。いぬぬわん!と鳴いたワンパチの尾はぶんぶんと飛んでいってしまいそうなくらいに振られている。
    「キミ、トレーナーを置いてきたらダメだろう」と言うダンデに抱き上げられているのが嫌ではないようでワンパチは楽しそうだ。「キミのトレーナーが迷子になってしまったら困るだろ」と言ったダンデに、キバナはそんなのはお前だけだと心の中で突っ込んだ。

    漸く追いついたトレーナーの少年に弾丸ワンパチを渡してやると、少年は「ダンデだ!!キバナだ!!」と頬を染める。元チャンピオンとはいえ、長い間王座に座ったダンデの栄光は早々に廃れるものではなかったし、キバナはトップジムリーダーで、この街の、ナックルシティの顔とも言える立場である。ポケモンバトルが産業として発達しているガラルで、ポケモントレーナーの中でトップクラスの人間に出会ってテンションが上がらない者はそういない。二人は慣れたように軽くファンサービスを少年にした。

    「気をつけるんだぞ」
    「はーい!ダンデもキバナもありがとう!」
    手を振って見送ると素直な少年はワンパチをぎゅむ、と抱きしめて「勝手にどっか行っちゃダメだろ〜!」とささやかな叱責をしていた。そんなことなど知ったこっちゃないワンパチはベロンベロンと少年の顔を舐めまわしていて、少年は擽ったそうに笑っていた。手を挙げたままのキバナがそれを見て、フフと笑う。
    「可愛かったなぁ……ふふ、ベロベロに舐められてたな、ダンデ」
    「すごい勢いだったぜ、鼻をかじられるかと思った!」
    「元気な盛りだならありゃ」
    「性格はわんぱくだろうか?」
    「出たよ、バトルバカ」
    「それはキミもだろ!」
    テンポのいい言葉の応酬に肩を軽くぶつけてくるキバナが可愛くて、ダンデは早く二人きりになりたくなった。キバナの家に向かう足がいつもより早足になるのを感じた。

    「か、わ、い~~~~!!!」
    女子供というのは総じて小さい生き物が好きだとダンデは認識している。現に目の前のソニアとホップは生まれたばかりのヌメラに目を輝かせていた。
    通常の個体よりも幾分か小さくて柔らかそうなそのヌメラは、ユウリが持ち歩いていたタマゴから生まれたばかりのベビーらしい。おやのユウリもデレデレとした顔で見ていて「そうでしょう、可愛いでしょう」と胸を張っている。ソニアが差し出した指をはむと口に含んだり、ホップが地面にうつ伏せに置いた掌を時間をかけて乗り越えたり。ぬ、ぬ、と粘液のあとを少しづつつけながら這うちいさな生き物は弱々しくも生命力に満ちていた。
    いくら小さくともおやは分かるのか、ユウリは足を這い上がろうとするヌメラをお椀のように合わせた両手に乗せてやる。手に乗せられてもぬよぬよと動き回るヌメラにユウリはアワアワと慌てだす。先程生まれたばかりで、まだ抱くのには慣れていないらしい。
    「キバナさあん!たすけて!」
    ふにゃふにゃとヌメラと同じような顔でヌメラと幼いチャンピオンが戯れるのを見ていたキバナに助けが求められるのは当然と言えよう。何せドラゴンストーム、自らもヌメラを育ててりっぱなヌメルゴンにしているのだから。
    「えー、オレさま?」
    こてんと小首を傾げるあざとい仕草をしても違和感がないキバナはなかなか手助けをしようとせずに笑っている。しかしそうこうしているうちに「ぎゃー!ヌメラ、落ちる!待って!!」と叫び出すユウリ。それを見て「しゃんと立ちなよ」と声をかけて漸くヌメラを受け取ったキバナの顔は少し真剣で、生まれたばかりのヌメラを傷つけないように細心の注意を払っていることがわかった。
    幼い少女の柔らかくて小さい掌から、大きな男の骨ばった手の上に移されたヌメラは「ヌ?」と少し動きを止めた。ん?と言った様子のヌメラに「ん〜?」と言っているキバナはふにゃふにゃヌメラと同じような顔をしているが、やはりどこか緊張した面持ちだった。
    言われた通りにしゃんと立ったユウリに簡単に抱き方をレクチャーしたキバナはヌメラを渡す。
    「生まれたばっかはこんなにふにゃふにゃだけど、すぐ安定すると思うよ」
    「良かったぁ〜……」
    「オレさまも最初はめちゃくちゃ恐る恐るだったし大丈夫」
    そう言って幼いチャンピオンに笑ったキバナが、ホッとしたような表情をしていたのはダンデだけが気づいていた。

    「ダンデ、見て」
    可愛すぎると言いながら、キバナはキッチンからスマホロトムをダンデの方にやる。ダンデの傍に来たロトムがSNSの画面を見せた。画面にはふくふくとした幼毛のイーブイ。ころんころんと転がりながら、おもちゃのボールに戯れている。かと思えばコツンと壁に頭をぶつけて、何が起きたか分かっていないかのようにキョトンとしていた。次に流れた動画はこれまたベビーであろうニャルマー。スレンダーな種族だが(進化すると大きくなるが)ベビーは特有のボリューミーな毛並みをしている。てちてち歩いているところを抱き上げられて、びよんと伸びる毛玉。確かに、これは誰が見ても可愛いというだろう。ふわふわでもこもこだな、とダンデが言うとキッチンからキバナが手を拭きながらやってくる。
    「ふふ、オレさまのたんぽぽちゃんも負けてないぜ」と髪に触れられて、後ろから抱きつかれる。キバナはダンデの髪を気に入っていた。菫色の髪に鼻を埋められて、後頭部と頭頂部の境あたりが擽ったい。いや、擽ったいのは頭だけでなく気持ちもだ。自分からも触れたい。腕を上げて、キバナの耳を通って刈り上げに触れる。さりさりと当たる短くて少し硬い感触は動画のベビーポケモンの触り心地とは全く違うだろう。
    キバナの褐色のしなやかな腕が絡みついてきて、ぎゅうと力が込められた。
    「オレさまのふわふわたんぽぽちゃん、思う存分抱きしめさせて」
    到底成人男性とは思えないオネダリをされて、きばな、と存外甘ったるい声が自分からでた。
    「顔が見たい」
    ……きっと蕩けるような顔をしているんだろう?
    仰せのままにダーリン、と旋毛にキスを落として、キバナはダンデの正面に回った。

    別の日のことだ。道端で声をかけられた。キバナはダンデを連れてお気に入りのベーグルサンドを買いに行こうとナックルジムから出た時のことである。
    SNSのフォロワーが三桁万人は下らないふたりが並んでいるとそういったことは珍しくない。偶然見かけて声をかけてくる市民やらファンやらはそれなりにいる。
    ちなみに、ダンデがナックルジムにいたのは書類を一枚、リーグ連絡用封筒に同封するのを忘れたためである。慌ててリザードンに飛び乗って届けに来たらしい。キバナに会いたいという私情込みなのは秘密である。閑話休題。

    声の方を向くとワシボンを布で包んで抱いたハイティーンくらいの少女。あ、とキバナが呟いた。ファンではなく知った顔のようだ。ワシボンの嘴を人差し指で撫でながら少女は「キバナさん、この子ようやく給餌しなくても食べれるようになったよ!」と嬉しそうに報告する。そのワシボンは、ワイルドエリアで拾われてナックルシティの保護団体に連れ込まれていた。キバナも時々手伝う団体である。
    状況的に親に捨てられたとは言い難かったが、他の個体と比べて随分と小さいことと一匹でいたことから善意によって拾われてしまった。野生のポケモンは匂いに敏感なものが多い。きっともう親は人間の関わった幼体に関わることはないだろう。そのため迎え入れてくれるトレーナーを探していた。キバナが手伝っていた際に見つかった引き取り手こそ、この少女だったのである。
    人の手で育てる鳥ポケモンのベビーはほとんどが人工給餌を必要とする。なかなか骨の折れるようで、給餌に苦労するトレーナーは多い。さらにこの個体は摂食拒否が強くあった。だからこそ自力で摂食をしたのが嬉しかったのだろう。引き取ったポケモンを育て、その成長の喜びを伝えてくれるのは素直に嬉しい。少女は腕に抱いたワシボンの給餌がいかに大変だったか、くるくる変わる表情で身振り手振り話した。それでも確かに少女に愛されているようで、小さく嘴を動かす雛鳥にいいトレーナーに出会えたなと呟いた。
    「あ、キバナさん、この子抱きます?」思い出したように少女が言う。キバナは少し逡巡して「悪いな、オレさま今埃まみれなんだわ」と申し訳なさそうに断った。
    「残念」
    肩を竦めた少女がそう言って、次の瞬間にはパッと笑顔になった。そして「すぐ立派なウォーグルにしますからね、その時に抱っこしたかったなって言ってもダメですからね」と釘を刺した。それは楽しみだなとキバナは思った。
    それじゃ!と少女が去ると、会話を聞いていたダンデが口を開く。
    「キミはナックルシティ主体の保護事業と譲渡会に顔を出しているんだったな」
    「そ、頻繁には行けないけどいい経験になるよ」
    「キバナは本当に多方面に多忙だな!」
    「お前に言われたくねぇけど?」
    するとそうか?とダンデが首を傾げるのでそうだよ!とキバナは大きく首を縦に振った。
    ところでキバナ、と歩き出したダンデが言う。キバナは長い足で大きな一歩を踏みしめて、横に並んでなあにと伺った。しかしダンデは言い淀んだあと「……いや、腹が減った!」と言う。不思議に思いながらもキバナは「じゃ行こうぜ」と手を引いた。

    ダンデはキバナが好きだ。いや、愛している。
    獰猛で気迫のあるバトルをするのが好きだ。へにゃりと笑う顔が好きだ。ジムに併設する宝物庫の管理人も務める知的なところも好きだ。興味にもバトルにも貪欲なところもギャップのあるところも好きだ。ダンデにとってキバナは眩しい人間だった。
    キバナはふやふやのヌメラのような笑顔を浮かべて、大きな体でダンデや相棒たちを抱き締める。ダンデが強く腕を回したり、相棒たちが顔を擦り付けたりするとくふくふと嬉しそうに笑う。感情豊かで、懐に入れたものをめいっぱいに愛す、キバナという人間にダンデは心底惚れている。余すことなく、愛している。だから、知りたい。感じた違和感も彼の全てのうちだから。

    「なぁ、勘違いだったら悪いんだが」
    キバナ宅、大きなソファに二人並んでかけている時だ。ダンデが視線をうろつかせながら口を開いたり閉じたりしながら言い淀んでいて、珍しい様子だなとキバナは思う。ダンデは基本的に堂々としている。パチリとまつ毛に縁どられた、大きくて力のある目で射抜くようにこちらを見る男だ。

    「……キミはちいさなポケモンが苦手なのか?」
    おずおずと口を開いたダンデの姿にキバナは納得した。まあ、そりゃ聞きにくいわな。何匹ものポケモンを育成してきたジムリーダーである人間に問いかけることでは無い。
    「何でそう思ったか、聞いていい?」
    怒ってるわけじゃないんだ、なんでわかったのかなって。キバナは柔らかく、そう声をかけた。

    ……オレも最初は全く気づかなかったさ。キミは普通にちいさなポケモンは好きだと思ってたんだ。だってよく見せてくるじゃないか、うん、動画。可愛い顔で、見て♡って言ってくるだろ、君の方が可愛いからな正直。
    前、ワイルドエリアから帰ってきた時にベビーのワンパチが駆けてきたことあっただろ。そう、結構前だ。驚いたんだぜ、キミなら「かわい〜」って抱き上げるだろうと思ってたから。なのに抱き上げなかったからオレが抱えたんだぜ、ワイルドエリアに入ってしまったら困るからな。……ソニアにワンパチを撫でまくって逃げられてたって聞いてたし、だから意外だったんだ。
    ユウリくんのヌメラが生まれた時もそうだ、そういえば、あのヌメラ、ついこの間ヌメルゴンになったらしいぜ。あぁ、大器晩成型なのに本当にユウリくんは熱心だな!どう育成してるか、楽しみだぜ。……話が逸れた、すまない。ドラゴンタイプをこよなく愛してるだろ。それにキミのお姫様と同じ種族だ。慣れてるだろうに渡されるまで抱かなかったし、抱く時も随分慎重だった。
    ついこの間のワシボンもそうだ、埃まみれだからと断っていたがキミ別に埃まみれじゃなかっただろ、ずっと執務室にいたんだろう?
    ……他にもあるんだが、こんなところか?

    よく気がついたな、とキバナは思う。さすがの観察眼だ。
    「おれさま、でっかいだろ。」
    口を開いたキバナにダンデは頷く。キバナが大きいことなぞガラル中が知っている事だ。ガラルの平均的な成人男性の身長をゆうに超えているし、バトルや相棒たちを相手にするためにボディメイクを欠かさない。筋肉特有のむっちりとした厚みこそすくないもののしなやかな筋肉はしっかりとついている美丈夫。それが彼だ。
    キバナが再び口を開く。
    「それで、ベビーは弱くて大抵ふにゃふにゃだろ」
    だから、つぶしそうで、こわい。

    まだキバナが幼かったころの話だ。

    この前な、息子が五歳になってさあ。ベビーのココガラを渡したんだ。子供の好奇心ってすごいんだよな、ちゃんとココガラについて調べてたんだよ。だから大丈夫だと思って。
    落とさないように、でもふんわり優しくなって言わなかった俺が悪い。かわいい、よろしくね、って力入れちゃったみたいで。……鳥ポケモンは飛ぶために骨も細く出来てるしな、余計に。ああ、そう、想像の通り。

    当時のキバナはぞっとしてしまった。ジムチャレンジを目前としたキバナより半分近くも小さい子供の力で死んでしまういきもの。慈しんで抱いたつもりが力加減ひとつで損なってしまったいのち。
    たまたま耳に入った見知らぬ男のその話が、キバナの頭から離れなくなった。幼いながらにいのちの儚さを痛感したのだ。
    ジムチャレンジを終えて、ジムリーダーになって、ライバルが王座を降りて。十年以上たった今もキバナの脳の隅に残っているほどに。
    成長期を経て二メートル近くの大きな恵まれた体躯をもつキバナ。きっと、力加減を間違えてしまったら五歳の子供よりずっと簡単に小さないのちを終わらせてしまう。可愛いだとか愛おしいだとか、そう思ったものをその手で。

    「別に、苦手とかじゃないんだ」
    大きなソファでくっついて座るダンデに、少しだけ寄りかかる。キバナが寄りかかってもビクともしないことに安心する。隣の男の手に触れる。大きくて厚くて所々硬い掌と、爪が短く切りそろえられた指。愛と慈しみをもってキバナに触れる手だ。
    「ヌメルゴンだって、フライゴンだって小さいベビーから育てたし」
    大丈夫だとは分かっているのだ。実際に育ててきた実績もある。力加減を間違えることなく、抱いてあやして可愛がってやれる。「……ただ少し緊張するってだけ」キバナは触れた手を持ち上げてふにふにと弄ぶ。「でもさぁ……」眉を下げたキバナがこちらを見る。
    「でもさ、おれさま、慣れちゃったの」
    「……?」
    「目一杯抱き締めてもビクともしないどころかそれ以上の力で抱きしめて返すだろ。お前も、ポケモンたちも」
    身体いっぱいで表現される、等身大以上の愛に慣れてしまった。ダンデに、相棒たちに。溢れんばかりに注ぎ合う力強い愛し方に慣れてしまった。力いっぱい抱きしめて、抱きしめられて、それがふつうになってしまったから。だから余計にちいさなものへの力加減を意識するようになってしまった。
    ダンデの手を握りながらキバナが言う。
    「ふにゃふにゃベビーを抱いても怖くないようにずっとおれさまのそばにいてよ」

    「ダンデ!ダンデ!むりむり!力入れたら潰れるけど力入れないと落ちる!!助けて、おい、笑ってないで助けなよ!」
    ある日のバトルタワーのオーナー執務室。ユウリが連れてきた産まれたてのカラナクシを腕に抱いて叫ぶキバナと、笑いながら寄り添うダンデが見られたらしい。
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    口からこぼれた疑問は、唐突で、でもダンデがキバナに抱え続けた違和感の答えでもあった。

    道端でワンパチのまだ小さな、まだベビーに分類されるであろう個体が駆けてこちらに向かってやってくる。ベビー特有の細い毛で覆われた毛玉が弾丸のように。「わんぱち~~~!!」と子供の声が遠くで聞こえる。わんぱくな盛りのいきものは飼い主を置いて、好奇心の赴くまま駆けてきた。
    本日、晴天。前日からワイルドエリアでテントを張って羽を伸ばしていた(勿論バトルもした)ダンデとキバナは昼下がりにはナックルシティに帰ってきた。午後はキバナの家でゆっくり過ごすことが決まっており、デリに寄って惣菜を買おうだの録画されているバトルの映像を見ようだのと話していた。ナックルの街並みに響くボーイソプラノに気が付いたダンデは、すれ違いざまの毛玉を慣れたように抱き上げた。二人はワイルドエリアとナックルを繋ぐ門から歩いてきたのだから、通り過ぎて間違ってワイルドエリアに入ってしまったら、悲惨なことが起こる可能性は高い。妥当な行動である。
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