「カマソッソ、今日なんか甘い匂いがするね」
「むう。そうか? オレは基本匂いは……ああ! 推察した。考察した。朝からつがいと遊んだ故に、つがいの香りが残っているのかもしれん」
「え! カマソッソって遊ぶの!? なんか意外」
「(嫌な予感がするな?)あ~こほんっ。そろそろ周回いくよ~マスターちゃん」
「意外、と? そうか、そうか! オレの愛はまだまだというわけか! ならばさらにつがいを愛する他あるまい。オレは帰る。周回は他の猿共に任せよう。委ねよう」
「え!? え!? なんで!? カマソッソいないと困るんだけど!?」
「自分の言葉に責任を持て、神官よ。オマエがオレにつがいと遊ぶことは意外と言った。それ即ち、つがいへの愛が足りないと同等。許せぬ。過ちだ。オレはつがいと遊ぶ時間を増やさねばならぬ」
「いや、カマソッソがクソデカ感情持ってることは誰もが知ってるけど!? そもそも遊ぶってなにして遊ぶの!?」
「あっ! それはまずいって!! 折角オブラートに包んでくれてたってのに!」
「遊びなどひとつしかあるまいよ。わかるだろう? 気になるならその男から聞け。ではな、神官」
「え! 本当に行っちゃった……。ど、どうしよ、他誰かいたっけ? でもカマソッソじゃないと難しいところだし……。つがいちゃんなんとか説得してくれないかな」
「(周回に気を取られてて助かった~! 流石にマスターちゃんに説明するのはセクハラでしょ、どー考えても)」
***
「あれ、カマソッソ様!? 今から周回では……?」
「むう。そのつもりだったのだがなァ。つがいへの愛が足りていないと気づかされてしまったのだ。神官の助言ゆえオレは素直に従おうとも! 受け入れようとも! しかし、つがいはこれから仕事か……どうしたものか。誰を脅せばよい?」
「お互い仕事に励みましょう! ね!? 仕事が終わったらゆっくり二人で過ごしましょう?」
「…………」
「拗ねないでくださいよぉ……」
困り果てた顔をしたつがいが、そっと顔を近づけてちゅっとキスをしてくれた。今回はコレでよしとしてやろう。お返しにたっぷりと愛を込めてキスをして、愛を示すために服に隠れていない箇所に痕を付ける。頬を赤く染めつつも、だめだと拒絶しなかったつがいが愛らしい。一仕事終えたらたくさん遊んでやるから、存分に期待していろ。
つがいと別れ仕方なしに神官のもとへ戻ると、よかった!!!と歓迎された。やはりオレがいなければ立ち行かんか。早くつがいに会うために迅速に事を終えよう。
「つがいが仕事に行ったからな、オレも倣うことにした」
「助かる~!! あ、そうだ、はじめちゃん。カマソッソの言う遊びって結局なに?」
「うっそでしょ!? ここで俺に振る!?」
「オレとつがいの遊びを知りたいか。そうか。ならば教えてやろう」
――まぐわいだ。
そう告げたオレの唇は自然と弧を描く。朝のつがいは夜とはまた違って、少し気だるげでふにゃふにゃとしているのだ。可愛いだろう?まあそんな姿をオレ以外に見せる日は一生来ないが。
「私、つがいちゃんに栄養ドリンクとか用意すべき?」
「それ逆効果だからやめておきなー」
ほう!栄養ドリンク!いいことを聞いた。対価さえ支払えば誰であれ作ってくれることだろう。仕事で忙しないつがいの体を癒すのは夫であるカマソッソの務めだ。つがいの体が元気であれば遊びも豊富にできるというもの。
で、あれば。この周回にも熱が入る。たくさん稼いで分け前を貰うこととしようか!
「神官! と、サイトウ? と言ったか? 疾くせよ!! つがいのためにオレは更なる稼ぎを得ねばならんのだ!!」
「…………。余計なこと、言っちゃった?」
「マスターちゃん、あとでつがいちゃんに謝っておきなよ」
「ウン…………」