水無月の夜「藍湛…!早くしないと仕事遅れるぞー!」
「うん」
カーテンが開いた窓からは朝の日差しが溢れ部屋の中を照らしていた。
パタパタと忙しなく動き回りながら支度を進める1人の青年。
藍湛と呼ばれた青年は対照的に落ち着いた面持ちで支度をしていた。
忙しなく動いていた青年は、自分だけ慌てているのが気に入らなくて小言を漏らしてみる。
「お前が早く寝かせてくれればこんなにバタバタしなくて済んでるんだぞ」
「うん」
「うん。じゃないって!少しは悪いと思ってるのか?」
「…魏嬰こそ、乗り気だった」
その一言で昨夜のことを思い出した魏嬰の顔は、かぁーっと赤くなる。
「っ…!うるさい…!!」
目の前にあったティッシュの箱を藍湛に向かって投げるも涼しい顔でするりと交わされやり場のない気持ちが更に膨らんだだけだった。
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