体調不良茨くん 自己管理は社会人の基本で、自分はほぼ社会人であるからして、茨は不調を他人に悟られないようにより一層作った顔をしてミーティングに出ていた。ここ数日寝ていなく、猛暑のせいで寒い冷房が敷かれている室内、乾燥してドライアイになりながらも仕事を続けていたが、そろそろ限界かもしれない。頭がぼうっとする、という感覚も遠くなって、不思議と目が冴えていた。
「以上であります。それでは解散です」
立ち上がると血が巡らないような重い不快感が体を包んで、あ、立ちくらみだ、とわかった頃に体が強張った。いけない。不自然だ。動かなくては。でも倒れそう。平衡感覚がおかしい。吐きそう。
「……茨?」
凪砂が気付いてしまって、顔を覗かれる。
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