オペラ座のリヴァハン ハンジはパリ・オペラ座のバレエダンサーだ。
生まれは北欧だが幼い頃に母を亡くし、ヴァイオリニストの父とともに各国を転々と演奏旅行しながらこの地にやってきた。だがその父も亡くなり異国の地で一人になってしまった。バレエが得意だった彼女は一人で生きるためにオペラ座バレエ学校の寮生となり、卒業後もそのまま座付きで働いている。
踊ってみれば高い身体能力を見せるハンジだが、いかんせんバレエでパートナーと踊るには背が伸びすぎたのが悩みだ。それに、実は彼女にはバレエよりも好きなものがある。
ハンジの大好きなもの、それは歌だった。
オペラの舞台ではコーラスガールもやっているのだが、いつかステージの真ん中で歌いたくて、毎晩欠かさず練習をしている。そのことはバレエ教師で振り付け師のエルヴィンやバレリーナ仲間である親友ナナバもよく知っており、いつも応援してくれていた。稽古の休憩時間にも仲間を前に歌って聞かせることが多い。
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