共振:司レオ 家族のように大切な子が、いきいきと人を傷つけること。それはきっと、自身の一族が与えた宿命のせいに他ならないこと。心から理解し得ないその衝動に、相棒のあの人は共鳴していたこと。
――そもそも、どうにも手の出し様がなかった「レオさんの一件」に、報いを与えてくれたこと。
己が内に渦巻く全てを飲み下して、せめて、と出来ることを拾った、結果が――。
♪
人影が中空に放り出される。まさにその瞬間を、目の当たりにした。
時が止まったと錯覚するような一瞬。
そんな考えを嘲笑うかのように、重力が小さな身体の袖を引く。
そうした一連の出来事を、ただ眺めていた。
はく、と息ができなくなる。
反射的に窓辺へ駆け寄りながら、そうして、無駄だとよく理解しているのに、どこへともなく手を伸ばした――瞬間、強烈なデジャヴに見舞われるのだ。
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