愛を渡す「ごめん」
短い言葉と共に半田の目の前に小さな箱が差し出される。
今日は2月14日、バレンタインデー。高校の同級生、ライバル、友達の様な何か、そして最近になって恋人とも呼べる関係になったロナルドからの贈り物に半田は困惑を隠せなかった。貰った事自体では無く、その謝罪の言葉についてだ。
戸惑う半田を前にロナルドは頭を下げたまま辿々しく言葉を続けた。
「あのな……一昨日位まではちゃんと覚えてたんだ、バレンタイン。お前が俺からのチョコ欲しいかは分かんなかったけど……い、一応こいびと?になったんだし、ちゃんとしたの選んで送ってみたいなぁって……でも、退治依頼とか締切とか色々あって……気がついたら、今日で」
箱を握る指が震え、きゅっと力がこもるのが見てとれた。
1956