参考:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」よりああ、みてよイサン。
「ふむ」
あの赤い光、アンタレスって言うんだよね。
「...さり。」
だよね!古い本でしかみたことがなかったけど...本物を見れる日が来るなんて。炎のように赤い、書いてあった通りだ。綺麗だね...。
...
そういえばさ、さそりの火の話。ほら、小説に出てきた蠍座の成り立ちの話!昔読んだじゃないか。きっと君のことだから全部覚えてるでしょ?
「......然り。」
だよね!流石イサンだね。でもさ、あの今も燃やされ続けてる蠍は愚かだと思わない?
たくさんのものを奪っておきながら結局最期には自分の過ちに気づいて、どうしてこうなってしまったんだろう、ああすればよかったって、遅すぎる後悔をする、もう戻れないのに。祈りを捧げても無駄なのに...。ああそっか、それでも蠍は見つけてもらえたんだね。はは、そうだった。そうだったね。ごめんごめん、話が逸れたね。えーと、どこが愚かだってっていうとさ、逃げてしまったことを後悔しているのがだよ。命を惜しむことがそんなに悪いことなの?だってみんなそうじゃないか。自分が生き残るためには(何者かになる為には...)たとえ友人______大事な物でも、(摘み取らなきゃ)(壊さなきゃ)...変えなきゃいけない時がある。逃げることも...ね。動物たちがそうであるようにね。弱肉強食、自然の摂理じゃないか。わかるだろ?
「ドンラン」
必要なことなんだ。ねえ、何百何千何万もの犠牲の上に立って今も生きているんだよ、僕たちは。正しいことだ、間違ってない。だよね?だって、だって、そうじゃないと、僕のしたことに意味はあったの?変われたの?僕は...
「...ドンラン」
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結局は、蠍はさ、自分の死を無駄にしてほしくはなかったんだろう。自分の人生に意味を見出す為に。(蠍なのに人生なのかはわからないけど。)僕も、僕もさ、本当は見つけて欲しかったんだ。身近なものでも手の届く限り救う覚悟があった僕を、過去に置き忘れてしまった僕を。
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